シン・ちむどんどん

9.0/10
合計10件のレビュー
ジャンル   プロット
ランタイム   98分
言語   日本語
地区   日本
劇場で   08月19日 2023
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シン・ちむどんどん プロット

ラッパーのダースレイダーと時事芸人のプチ鹿島が選挙戦を突撃取材した「劇場版
センキョナンデス」のシリーズ第2弾で、本土復帰50年の節目となった2022年9月の沖縄県知事選と、その争点となった基地問題に切り込んだドキュメンタリー。プチ鹿島は当時放送中だったNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」を推す候補者たちにさまざまな質問を投げかけ、その人物像を浮き彫りにしていく。一方、ダースレイダーはSNS上に溢れる県知事選についてのデマを問題視し、候補者を直撃。そして2人は基地問題について話を聞くため、座り込み抗議が約3000日にわたって続く辺野古の現場へと足を運ぶ。前作に続き、「なぜ君は総理大臣になれないのか」などのドキュメンタリー監督・大島新がプロデュースを手がけた。

シン・ちむどんどん オンライントレーラープレイ

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シン・ちむどんどんコメント(1)

Xpniosskhmg
Xpniosskhmg
ラッパーのダースレイダーとお笑い芸人のプチ鹿島が監督及び主演を務める”選挙密着ドキュメンタリー映画”でした。4月に観に行った「劇場版 センキョナンデス」の第2弾でしたが、前作が面白かったので、8月19日の東京での劇場公開に先立って行われたネット配信で鑑賞しました。(配信と同時に沖縄の桜坂劇場では既に公開されているようです。)

第1弾では、2021年10月に行われた衆議院選挙の香川1区と、2022年7月に行われた参議院選挙の大阪選挙区及び京都選挙区にスポットを当てていましたが、今回は2022年9月に行われた沖縄県知事選挙をテーマにしていました。沖縄県知事選挙となると、最大の論点は基地問題であり、今回も普天間基地を辺野古に移設することの是非がメインテーマになっていました。現職の玉城氏は、移設に反対、沖縄の米軍基地縮小を訴えており、自公政権が推薦した佐喜真氏は政権の方針に沿って移設推進派。第3の候補であるオレンジクジラこと下地氏は、これ以上の辺野古埋め立ては行わず、既に埋め立てられた箇所を活用。また普天間の訓練を馬毛島に移設することで普天間返還を目指すと訴えていました。

本シリーズは、一般メディアにおける報道にはない切り口で選挙を取り上げており、前作は「選挙は祭り」ということを土台にした「選挙漫遊記」として楽しめましたが、本作はエンドロールとともに映し出された沖縄料理店巡りの写真が出てきたくらい箇所が漫遊記っぽく感じられるのみで、前作に比べるとジャーナリズム色の濃い仕上がりになっていました。短い時間に言いたいことを詰め込むためには致し方なかったのでしょうが、漫遊ファンとしてはちょっと残念ではありました。
ただその分知事選挙や基地問題に関する切り込みは十二分に行われており、今まで知らなかったことも多々知るところとなり、非常に興味深い作品となっていました。

まずは本作らしい切り口として、プチ鹿島の「ちむどんどん」に関する質問が面白かったです。各候補ともNHKの連続テレビ小説「ちむどんどん」を好きな番組として挙げていたことから、同番組のどこが好きかを質問。佐喜真氏は「見ていない」と驚愕のコメント。下地氏は、全く見ていない訳ではないようだったけれども、ちょっと突っ込まれると目が泳ぎながら取り繕った感じで誤魔化した印象。玉城氏のみ「ちむどんどん」に共感した部分を具体的に挙げて回答。プチ鹿島曰く「ここで嘘を言っていたら、ほかの政策も嘘かも知れない」って。確かに目の付け所がプチ鹿島♪

さらに本作では、佐喜真氏の主張の矛盾について解説。政府の計画でも2034年にならないと辺野古基地は完成しないのに、佐喜真氏は2030年までに普天間返還を実現すると主張している点を指摘。いわば4年間も基地がない状態が許されるなら、そもそも普天間も辺野古も不要じゃないかという話。沖縄県知事選挙に関する報道はそこそこ東京でもされていたけど、この大矛盾については初耳でした。
あと佐喜真氏は、台湾で行われた統一教会の合同結婚式に参加するなど、選挙当時中央政界でも大問題になっていた統一教会銘柄だったこともあり、各種業界団体が応援に回ったものの、最終的には玉城氏が再選を果たすことになりました。

前作「劇場版 センキョナンデス」では、昨年の参院選挙最終盤に安倍元首相が襲撃される事件が発生し、そのことについても触れていましたが、本作では後半、選挙後の辺野古周辺を取材しており、むしろこちらがメインになっていたと言っても過言ではありませんでした。
2004年に米軍のヘリコプターが墜落した沖縄国際大学の前泊教授を取材。同大学は普天間基地に隣接しており、教授の研究室からも基地内を見ることが出来ましたが、最近でも新しい建物が建設され、また建設中の建物も確認できました。2030年に返還するなら、新しい建物なんか作らないという指摘は、至極ごもっとも。
また、普天間ばかりが俎上に上るけれども、実際は規模においても事故件数においても嘉手納基地の方が遥かに大きく、基地返還運動の本質を誤魔化すために、普天間を利用しているという解説にも首肯させられました。(嘉手納基地の面積は19.8㎢、普天間基地の面積は4.7㎢で、嘉手納は普天間の約4倍の広さがあります。)

普天間の辺野古移設に関しては、普天間の危険を除去するんだから文句を言うなという意見が主に「保守派」とか「右派」からなされることがありますが、そもそも辺野古基地を作ったからと言って、必ずしも普天間が返還される訳ではありません。本作でもそうした話は出て来ますが、本作で明示されていない話として、2017年当時防衛大臣だった稲田朋美の国会答弁がその証拠です。稲田防衛相は、野党の質問に対して、「普天間の前提条件であるところが整わなければ、返還とはならない」と明言しています。どういうことかと言えば、2013年に日米両政府で合意された普天間の返還条件は8つあり、そのうちの一つとして、「代替施設では確保されない長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善」という条件が、現在に至っても満たされていないからです。普天間基地には2700mの滑走路がありますが、建設中の辺野古基地の滑走路は1800m。従って辺野古以外に滑走路を用意しないと普天間返還が実現しないのですが、そんな長い滑走路は全く用意出来ていません。本件は一部で報道されてはいるものの、もっと大々的に知らしめるべき話でしょう。

また本作は、2019年に行われた辺野古移設の是非を問う沖縄県の住民投票についても取り上げていました。結果は72%が反対で、圧倒的に反対意見が多かったものの、当時の安倍政権はこれをガン無視して基地建設を進めています。一体「民主主義」って何なのと、改めて感じざるを得ない話でした。
しかも建設予定地の軟弱地盤問題も表面化し、昨今のマイナ保険証問題とか大阪万博同様に、混迷の極みに達しています。
さらに、「論破王」ひろゆき氏が、キャンプ・シュワブ前の基地反対派の座り込みを揶揄したツイートをしたことや、それに対して27万以上の「いいね」が付いたことなども取り上げ、本作のトリと言うべきダースレイダーの基地前でのラップでそれに応じたことは、感動的ですらありました。

かつて評論家の西部邁は、本土は沖縄を3回裏切っていると指摘していました。
1回目は戦時中。大本営は「1億総玉砕」、「本土決戦」と喧伝し、国民全員死ぬまで闘えと言っていました。現に沖縄は壮絶な地上戦を行い、軍民合わせて約20万人の人が亡くなり、文字通り玉砕した訳ですが、本土と言えば2度の原爆投下とソ連参戦で、玉砕も本土決戦もせずにあっさりと降伏。
2回目は1952年の独立回復。7年間の占領はあったものの、本土は命令通り地上戦を戦い、結果玉砕した沖縄を置いて独立を回復。一方沖縄が日本に復帰したのはこれから20年後の1972年。
3回目は日本に復帰して米軍が去るものと思っていたら、実は米軍基地は残り、固定化されたままだったこと。いまだに基地負担を沖縄に押し付けているやまとんちゅう。それでいてひろゆき氏を始め、多くの人が沖縄差別に加担する現状。

でもダースレイダーもラップの中で指摘してたけど、東京周辺の空域にも米軍が管轄する「横田空域」があり、旅客機はそこを避けなければならないのが実状。実質占領されているのは、沖縄だけじゃなく、日本全体なんだということを、もう少し自覚しなきゃいけないと、改めて感じさせてくれたドキュメンタリーでした。

第3弾も期待してます。ってことで、評価は★4.5とします。