インドネシア・ラマレラ村で、伝統の捕鯨を400年間続けながら暮らす人々を捉えたドキュメンタリー。インドネシアの小さな島にある人口1500人のラマレラ村。住民たちは互いの和を何よりも大切にし、自然の恵みに感謝の祈りを捧げ、言い伝えを守りながら生きている。その中で、「ラマファ」と呼ばれるクジラの銛打ち漁師たちは最も尊敬される存在だ。彼らは手造りの小さな舟と銛1本で、命を懸けて巨大なマッコウクジラに挑む。2018年、ラマファのひとりであるベンジャミンが捕鯨中に命を落とした。人々が深い悲しみに暮れる中、舟造りの名人である父イグナシウスは家族の結束の象徴として、伝統の舟を作り直すことを決意。1年後、彼らの舟はまだ見ぬクジラを目指して大海へと漕ぎ出す。ライフワークとして30年間ラマレラ村の人々を追い続けてきた写真家・映像作家の石川梵監督が、2017年から19年までに撮影した映像を基に制作。自然とともに生きるラマレラ村の人々の日常を、繊細かつ臨場感あふれる映像で描き出す。
くじらびとコメント(20)
おそらく思い入れが強く、同情してしまうところもあるのでしょう。ドキュメンタリーにおいてはそういった同情は不要です。
本映画のHPではSDGsについて書かれていましたが、それについての明確な“演出”は見受けられませんでした。持続可能な社会、持続可能な生産、これは先進国の人たちが勝手に作り出した理想論という欲望であって、あの島の人たちにとっては全く理解不能なのではないでしょうか。ですから敢えて訴求しなかったのかもしれません。
ただ私としてはこのクジラ漁が彼らの伝統であり産業であり、そして文化芸術たる所以をもう少し知りたかったのです。彼らの生活にどれだけクジラが密接な役割をしているかと言うことをもう少し突っ込んで欲しかったです。
クジラは捨てるところがないといいます。であるのなら彼らの「つま先から頭のてっぺんまで、すべてクジラによって成り立っている」くらいのメッセージが欲しかったです。
あとドローン映像が多すぎる気がしました。30分に一回で良いです。飽きちゃいます。ドローン映像を差し込むと俯瞰で見る形となり、第三者として冷めた目で見てしまうところがあるんです。
であるなら船に乗ってカメラを担いで接近して撮影する方が躍動感と彼らの人生が伝わると思いました。
次回は和歌山で続編を撮って欲しいですね。
『運だぜ!アート』のluckygenderでした
同じ捕鯨でも油だけ?肉だけ?必要以上に貪り、たくさんの人間が群がり組織を作りリスクは最小限、それを維持発展させるための捕鯨。
鯨の立場ならどうなのか?
捕鯨そのものに良いとか、悪いはない。
その美しさに涙がでます
今の私たちの生活には沢山の余計なものが加わってしまったのかもって思いました
見たくないものは見えない振りをして表面的な美しさで飾って、本来大事なものを沢山失ってしまったのを感じます、、
銛を撃つ銃のようなものは決して使わない。
船も、その船の帆も、銛も、すべて彼らの手作りだ。
くじらを小さな木造船で追い、漁をする。マンタやエイも漁の対象だ。
人間の手で、くじらに向け銛を放つため、命を落とす者が出てくる。しかし、彼らは文明の力を使うことを良しとしないのだろう。
実際のくじら漁は、息をのむ緊迫感が伝わってくる。船に乗り、映像を撮る方も命がけだろう。
巨大なくじらは捕れれば大きな恵みとなるが、いつ捕れるかはわからない。彼らの住む場所には、文明や貨幣経済も存在しない。狩猟と農耕と物々交換の世界があるのみだ。
彼らの内のひとりが、「バリ島にいたときは金に追われていたが、ここでは、金が無くても生きていける。」と言っていた。まさにそのとおりだろう。
この映像を撮り続けるのは大変な労力だと思う。本当に見る価値のあるドキュメンタリーだ。
映画館のスクリーンで、ぜひご覧いただきたい!