「未来世紀ブラジル」の鬼才テリー・ギリアムがブルース・ウィリス主演で描いたSFサスペンス。謎のウィルスによって人類のほとんどが死滅した近未来。生き残った人々は汚染された地上を捨て、地下での生活を余儀なくされていた。科学者たちは1996年にウイルスをばら撒いたとされる集団「12モンキーズ」について探るため、服役中の囚人ジェームズ・コールを過去の世界へと送り込む。誤って1990年にたどり着いたコールは不審な言動から逮捕され、精神科医キャサリンの立ち会いのもと精神病院に収容される。そこでジェフリーという若い患者に出会い、彼の助けを借りて脱出を図るが……。共演に、本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされたブラッド・ピット、「ラスト・オブ・モヒカン」のマデリーン・ストウ。「ブレードランナー」のデビッド・ピープルズが妻ジャネットと共に脚本を手がけた。
12モンキーズコメント(20)
WHOの調査団はコロナパンデミックの発生源とされる中国武漢での調査を終えたそうです
ワクチンの各国争奪戦と接種方法について侃々諤々の騒動が渦を巻いています
東京や大阪の緊急事態宣言は延長されてしまいました
1996年の映画
今からちょうど25年も昔
しかし、まるで今年作られた映画のようです
今日を予言したようなものです
コロナ禍の前と後では、全く見え方が変わってしまった映画の筆頭であると思います
1990年と、1996年のアメリカ
もちろん誰もマスクなんかしていません
街中の雑踏は密でごった返しています
夜遊びも、会合も自由です
そんな当たり前の光景がコロナ禍にある私達の目にには、主人公のジェームズのように奇異に写るのです
コロナ禍以前の生活の方が異常に見えるのです
ロックダウンされてステイホームしている私達は、もはや地下に潜んでウイルスから避難している2035年の人々と同じ視点になってしまっているのです
もし2019年の秋に、つぎのようなことを大声で町中でわめいたら、どうなったでしょうか?
もう直ぐ未知のウイルスで人類はパンデミックに襲われるんだ!
世界中の国々で何億もの人々が感染して、何十万の死者がでる
海外の国々との往来は禁止され、自宅から出てはいけないと強制されることになるんだ
武漢から世界中にあっと言う間に広まってしまう!
ミラノも、パリも、ロンドンも、NYも、東京も大阪も名古屋も福岡も!
今すぐ国境を封鎖しろ!
緊急事態宣言が発出されるんだ
街はロックダウンして、誰一人出歩いてはいけない
会社になんか行くなテレワークでやれ!
旅行なんかとんでもない!、会食も禁止だ!
握手するな!、マスクしろ!
スーパーのレジにはビニールカーテンを張れ
レジ係はマスクだけじゃなくて手袋もしろ!
オリンピックなんか絶対無理だ!
どうです?
むちゃくちゃな荒唐無稽のことに聞こえます
こんなことを大声で言えば狂人とされて劇中のジェームズと同じように精神病院に入れられたに違いないのです
しかし、全て本当に起こった現実なのです
そしてキャサリン博士のような人に、映画のように出会うことになるのかも知れません
物事には原因があって結果がある
コロナ禍にも必ず原因はあったはず
WHOの調査団は真実を突き止められるのでしょうか?
しかし現実はタイムトラベルはできません
コロナ禍の発生は止められないのです
少年のジェームズのように私達はコロナ禍の発生の前後に何があったのか、何がどう変わってしまったのかを直接目撃し、克明に記憶した世代なのです
私達は今後何世紀も歴史に残る人類への衝撃の最中にあるのです
それを後世に伝える責務があるのです
このことを驚くべきことに本作は、25年も前に映画にして既にやっていたのです!
監督はまさに現在から1996年にタイムトラベルして映画にしてみせたかのようです
圧倒的な感慨に襲われます
「この素晴らしき世界」(What a Wonderful World)は、ルイ・アームストロングの有名な曲
エンドロールで長く流れます
その歌詞がコロナ禍にある私達の心に深く深く心に染みいります
素晴らしき世界は訪れるのでしょうか?
また、ヒッチコックをかなりオマージュしてたというか、レイトショーの映画館ではそのままヒッチコック特集をやっていたようです。『鳥』とか『めまい』とか・・・あ、このシーンは覚えてない!なんて洒落ています。ネットで調べてみると、撮影もめまいっぽい光線があったりするらしいです。そしてヒッチコック監督お得意の“マクガフィン”ですが、もう12モンキーズそのものがマクガフィンであったかのように、終盤の展開には驚かされるのです。
本来はタイムトラベルものとして捉えるべきが、色んな小ネタを散りばめてあるために、全てがブルース・ウィリスの妄想とも思えるストーリー自体の謎も考えられる奥深さ(ただし、妄想と仮定するとライリーもそうなる)。空港での銃殺シーンを何度も夢見るウィリス。ブロンドねーちゃんがそのままブルネットヘアーのキャサリン・ライリーなんじゃないか!とも途中で気づくのですが、倒れたロン毛の男はわからないまま。こうして秀逸なラストに繋がっていくのです。
今回見た字幕版は誰の翻訳だかわかりませんが、細菌とウイルスという訳語が混在してますが、コロナのおかげで違いははっきりわかるのでウイルスに統一してもらいたかったです。まぁ目に見えないという点では同じなんですけどね。
ストーリーはすごくいいし、タイムトラベルする度に記憶喪失気味になるところは上手いし、同じ時間・場所にホセが登場するのもいい。ただ、未来の研究所がとてもチープなために未来感が湧きません。これもヒッチコック作品に似せるための意図的なセットなら肯けるのですが、象とかキリンとかに街を歩かせたりして、予算をそっちに持っていかれたのでは?という疑問が・・・ドン・キホーテの失敗に通じます。
やっぱり、ゴールデングローブで賞も獲っているブラッド・ピットがピカイチ。精神病を患ってる男や12モンキーズのリーダーだったりする演技は最高でした。結局、未来は変えることができたのか?何度繰り返してもブラピは失敗する気もします・・・
イヤ、テレビドラマを見てしまったから、比較してややこしくなってしまったか…