「地下室のメロディー」のアンリ・ベルヌイユ監督が「勝手にしやがれ」のジャン=ポール・ベルモンドを主演に迎え、第2次世界大戦下におけるダンケルクの戦いを映画化した戦争ドラマ。1940年、ドイツ軍のフランス侵攻により、港町ダンケルクに英仏連合軍の兵士40万人が追い込まれた。フランス人兵士ジュリアンは、イギリス軍を撤退させる軍艦に便乗しようとしたものの失敗してしまう。そんな中、彼は現地の少女ジャンヌと親しくなるが、ドイツ軍による攻撃は日ごとに激しさを増していき……。2018年、フランス映画界を代表する名優たちの主演作を集めた「華麗なるフランス映画」(18年2月~、東京・角川シネマ有楽町)で、4Kレストア版が日本初上映。
ダンケルク(1964)コメント(3)
仲間の元神父にジャン=ポール・ベルモンドは問いかける。
「何で人を助ける事が出来ないんだ!」
「神は助けてはくれないのか?」…と。
その昔にゴールデン洋画劇場(確か)等で、数回テレビにて放送される度に観ているが、当時は30分くらいカットされての放送だった筈。
その後にLDが発売されて直ぐに購入し鑑賞してはいたが、今では本体が…。
…って事で、ノーラン版の公開による恩恵であろうか?以来うん十年を経ての念願のスクリーン鑑賞。
LD版の時は、やや退色が進んでいた記憶が有るので。今回の上映に際して観られる4Kレストア版は、もの凄くクリアな映像で驚いた。
ストーリーはノーラン版を観ている人には大体お分かりかと思う。歴史的な悲劇に遭遇してしまった1人の若いフランス兵士に起こる出来事。
つい先ほどまで隣に居た人間が、次の瞬間には無惨な死体となって地面に横たわってしまう無情感。
実はダンケルクとゆう、特定の土地からなかなか抜け出せない話ではありながら。彼がこの土地で出逢った人との間に起こる様々なエピソード集と言って良い。
言って見れば、どこかロードムービーに近い話だと思って良いのではなかろうか。
当時はまだCGが無い時代。画面の奥にまでエキストラを配しての映像には思わず胸に熱いモノが込み上げて来る…。
オサーンなのであった(笑)
数多いベルモンド主演作品の中では『リオの男』に次いで好きな作品で、カトリーヌ・スパークの小悪魔的魅力が弾けている。
2018年2月18日 角川シネマ有楽町
砲弾が空気を切り裂く甲高い音と、その後また日常に戻る兵隊達の背景に流れる飄々としたとも悲しげとも言えないBGM が後を引く。
ラスト、砲撃直後の砂丘をヒロインがピンクのワンピースで駆けてくる姿は、鮮やかで美しい
風刺をたっぷり使ったコミカルなタッチでもその中身は反戦映画。どことなく虚しく感じさせるベルモンドの雰囲気もいい。色男だけあって、民間人のジャンヌ(スパーク)とも仲良くなり、彼女が味方兵にレイプされそうになる現場に遭遇し、彼ら二人を射殺する。しかし、その後に彼女から求めてきて寝てしまったことにも虚しさを感じさせるのだ・・・
最後にはマイヤも壮絶な空襲によって死亡するのだが、結婚しようと言ったジャンヌが荷物を持って死んだ彼のもとへと歩いてくる姿が虚しくエンディングを迎えるのだ。