本作が長編デビュー作となるスペインの新人女性監督カルラ・シモンが、自身の幼少期の体験をもとに、思春期前の少女の繊細な心の機微を、カタルーニャの風景を舞台に描いていく。2018年アカデミー外国語映画賞スペイン代表作品。両親をある病気で亡くしたフリダは、若い叔父夫婦のもとで暮らすこととなった。叔父と叔母、そしていとこのアナは、バルセロナからカタルーニャの田舎へと引っ越してきたフリダを家族の一員として温かく迎え入れてくれるが、フリダたちが新しい家族として生活するためには、お互い時間が必要だった。初めて生と死に触れた少女の特別なひと夏をみずみずしく描き、ベルリン国際映画祭やゴヤ賞で新人監督賞を受賞。第71回カンヌ国際映画祭では、映画界で活躍する女性をたたえる「ウーマン・イン・モーション・アワード」などを受賞。
悲しみに、こんにちはコメント(20)
90年台前半のスペインが舞台となっている。エイズで母親を失った少女が、叔母の家に引き取られ、新しい家族に馴染んでいくまでを子どもの視点に徹底して寄り添っている。カメラの高さもほとんどが子どもの目の高さに置かれ、終始観察的な(監督の言葉で言うとホームビデオ的な)目線で、ひと夏の思い出を映像に焼き付けている。
母親はエイズで亡くなっているのだが、作品中にその言葉が出てこない。主人公の少女の目線で語られるので、まだ理解の及ばない言葉であるからだ。しかし、母親が何か周囲から「敬遠される」ような理由で亡くなったことだけは、主人公にも空気感のようなものでわかる。
とにかく空気感のようなものに、とても敏感な映画で、やさしい雰囲気もトゲのある空気も高い精度で伝わってくる。
これが長編デビュー作だそうだが、素晴らしい才能だ。
田舎者の自分、いや田舎というものをちょっとでも知っている人や単に知っているという人でさえも琴線に触れること間違いなし!たぶん。
子供にはなかなか受け入れられない現実だ。生きるとは、家族とは何か、考えさせられる。子供の演技は、自然で、演技らしくない。子どもには、なかなか受け入れられない現実を、この後、どのように消化していくのだろう。ラストシーンは、必見である。
主人公の女の子の気持ちがとてもセンシティブに描かれていて切なくなる。親戚里親に預けられて、試し行動的なこともするのだが、なにしろ相手が親戚里親だからけっこうすぐにうざがられてしまう。愛着障害にならないか心配だった。
演出と演技が凄まじく自然で凄かった。ただドラマとして展開があまりなくて退屈した。
4歳くらいの実子の女の子がお父さんといちゃついているのを見せ付けているのが、女を感じさせてぞっとした。
簡単に
ラスト直前に母親の事を質問するフリダ。
その後のあの長廻し。全ては、この長廻しの為に有る。
それまで観客は、ひたすらこの子の一挙手一投足を追い続ける。
作品全体がそのに集約されるのだが…。
もう〜あんなの反則だよ。絶対に〜!ぐっと来ない訳無いもの(ノ_<)
2018年8月28日 キネマ旬報シアター/シアター1