「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のケイシー・アフレックと「キャロル」のルーニー・マーラの共演で、幽霊となった男が残された妻を見守る切ない姿を描いたファンタジードラマ。田舎町の一軒家で若い夫婦が幸せに暮らしてたが、ある日夫が交通事故に遭い、突然の死を迎える。病院で夫の死体を確認した妻は、遺体にシーツを被せて病院をあとにする。しかし、死んだはずの夫はシーツを被った状態の幽霊となり、妻が待つ自宅へと戻ってきてしまう。アフレックがシーツ姿の幽霊となってさまよい続ける夫役を、マーラがその妻役を演じる。デビッド・ロウリー監督がメガホンを取り、「セインツ
約束の果て」の監督&主演コンビが再結集した。
A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーコメント(20)
成仏の描き方がとても日本的、東洋的に思えたが、もしかするとこちらが勝手に日本的と思っているだけで、もしかすると万国共通に存在する価値観なのかも知れない。あのメモを見せるか見せないかで、大きく評価や感想が変わるような気がするのだが、未練を現世に残すという感覚は誰もが想像できることだし、その普遍性を描いていると思えば、われわれが具体的なメモの中身を知る必要もないのだろう。ただただ想いを残してそこにいる。地縛霊というほかない(わざわざ病院から帰ってくるのが面白い)存在であり、どこかしらにああいう存在が要るのかもしれないと想像が膨らむ、それだけでもこの映画を観る価値があるような気がする。こちらも思いを馳せはしても、あえて近づこうとは思わない。同じ世界に棲んでいてもいいし、棲んでいなくてもよい。なんとも不思議な魅力のある映画だ。
セリフはなくても、彼の想いは伝わるし、彼の想いが成就されて良かった。
最後のメモには観る人それぞれのメッセージが想像される。
途中から、この映画は何を伝えようとしているのか、何処へ向かっているのか、分からなくなりかけましたが、物語の終盤に来て まさかの展開でした。自分はあのエンディング、とても好きです。観る人それぞれの感想が有ると思いますが、素敵な愛の物語だと感じました。ケイシー・アフレックもルーニー・マーラも抑えた演技が上手で、改めて好きになりました。
夫が事故死して幽霊となり、妻を見守り続ける。
普通に考えて良い作品に仕上がりそうなものだが、幽霊となった後にまた自分たち夫婦が家に入居してくるのは意味が分からない。
また、最後になぜ成仏したのか。
ほぼ全編早送りの連続で終わった。
妻(M)より先に亡くなってしまった夫(C)の幽霊になってからの人生(?)を描いた映画。
強烈にシュール、そして観念的。なにせ、主人公である幽霊(ゴースト)は、一言も喋らない。そして、主人公だから、ずっと出ている。彼は、ほとんど動かない。だいたい立っている。幽霊とは、そういうものかも知れない。それをこれでもかと、長回しで写し続ける。
だから、私達観客は、この家で何が起きているかはわかっても、彼がどう感じているのか、何を考えているのかは、わからない。時折起こすポルターガイスト現象は、怒っているのかな、と思う程度だ。
彼の心中は、想像するしかない。自分は、talisman さんの解釈 (想像) が気に入ったから、本作を観ているのだが、M が残した小さな手紙の内容が、本当にそうだったのかは、誰も知らない。映画では、手紙の内容は見せないのだから。
想像は人それぞれだから、解釈は無限にあるのだろう。よくこんな映画を作ったな、と思う。"委ねきる勇気" とでも言うのだろうか。尊敬する。
ずっとこの家で彼女(M) と一緒に幸せでいたかったのに、自分は亡くなってしまうし、彼女はこの家を引っ越していってしまう。この家こそが、私たちが幸せだったことを、私たちの愛を証明する場所なのに … 。その無念さが彼(C) を、場所につく幽霊にした。
M が引っ越した後に、学生がすみ、パーティーをする。そこで一人の男がとつとつと語り続ける。「人は、遺産を、絵画を、技術を残そうとする。自分が存在したことを、記憶してもらうために。しかし、それらも崩壊する。未来は壁に阻まれる…」 彼は、男の話を、じっと聞き入る。
引っ越し前に彼女が書き残した内容は何だったのか。
ラストシーンを起こした文面は、どんなものだったのか。
1年に一度くらい、こんな映画を観るのも、悪くない。