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映画 深夜食堂コメント(20)
小林薫主演の大人気ドラマ『深夜食堂』の劇場版第1作。
東京の片隅で、深夜だけ営業している定食屋「めしや」の元に集う人々の人間模様を描き出す人情もの。
「めしや」の常連であるヤクザ、剣崎竜を演じるのは『クローズZERO』シリーズや『探偵はBARにいる』シリーズの松重豊。ドラマ版から引き続きの出演である。
交番のお巡りさん、小暮を演じるのは『舟を編む』『渇き。』のオダギリジョー。こちらもドラマ版から引き続いての出演。
本作からのキャストとして、訳あって「めしや」で働くことになる女性、栗山みちるを演じるのは『フィッシュストーリー』『君に届け』の多部未華子。
原作は未読だが、ドラマ版はシーズン3(本作が公開された段階での最終シーズンであり、この後シーズン4&5が作られる)までは鑑賞済み。ドラマ版では何度も涙しました…😭
監督はドラマ版でも監督として参加している松岡錠司さん。
記念すべき第1話や、マイベストの1つである第6話、涙なしでは観られない第11話、胸が締め付けられる第20話、谷村美月がキュートな第24話など、彼が監督したエピソードは名作が多い。
ドラマ版が好きなだけに、映画化には向かない作品だよなぁ、とは思っていた。
都会の片隅で生きる人々の、良くも悪くもこじんまりした物語の作品なので、30分という尺ならまだしも120分という長尺はちょっと厳しいんじゃないの?なんて。
製作サイドもそう思ったのか、本作は3つのエピソードからなるオムニバス作品となっている。
…うん、気持ちはわかる。1つのエピソードを120分で展開するのは厳しかったんだろう。
でも、3つの独立したエピソードを並べるだけじゃ、ドラマとなんの違いもないじゃない。
映画独自の『深夜食堂』が観たかったのに、ドラマの延長を観させられたらやっぱりガッカリする。
「めしや」で持ち主不明の骨壷が見つかる…。という掴みは最高だと思うんです。
これまでとは一味違う、サスペンス的な展開が期待できた。
でも、結局この骨壷のエピソードがなんか有耶無耶、っていうかギャグ的な展開で終わったのにはガッカリ…😞
せっかく掴みは良かったのに、それを上手く活かせていなかった。
オムニバス形式にするのであれば、それぞれのエピソードが最終的に骨壷のエピソードに集約していくとか、そういう仕掛けが観たかった。
ただ短編のエピソードを並べただけじゃあねぇ。ドラマ観ればいいじゃんって話だ。
特に第1話の「ナポリタン」。あれ、特に面白くないし感動もしないし、なんで映画にしたのか不明。
第2話の「とろろご飯」が本作の中心となるエピソードであり、尺も1番長い。たしかにこのエピソードは中々良い。
多部未華子って特別美人って訳では無いんだけど、すごく華がありますよね🌸✨
本作の多部未華子もすごく魅力的だった。ドラマ版でレギュラー出演して欲しいくらい。
彼女の物語をもっと掘り下げて、90分くらいの中編にしてしまえば結構良い映画になったんじゃないかな。
第3話は如何にも『深夜食堂』らしい、ビターでシビアな物語。
こういうエピソードは嫌いじゃないんだが、ドラマで十分だな。
特にレギュラーメンバーの紹介なんかはないんだけど、一見さんでも十分ついていけると思う。元々ストーリーのあるドラマじゃないからね。
むしろ全くドラマを観たことがない人の方が、「めしや」の雰囲気に新鮮味を感じることが出来て楽しめるかも。
いずれにせよ、個人的には満足することが出来ない作品だった。
やっぱり『深夜食堂』は、30分くらいの尺をのんびりと観るのがお似合いだと思うなぁ。
マスターの佇まいや客に干渉しすぎず大きな懐で見守ってくれる所が素敵でした。
客はややアウトローな人からかわいい女性まで、千差万別とまではいかないけど、いろんな人が集まって自然に会話が生まれ昔からの知り合いのような空間に羨ましさを感じました。
あんな場所、私にもあったらいいな。
短編3本で構成されています。
多部未華子さんの話は、居場所のない辛さがひしひしと伝わって来ました。
普段はきれいな女優さんなのに、最初は見事に訳ありな女性になってて驚きました。
何でもいいから、特技をひとつ持っているのは身を助けますね。
カレーライスの話は、福島で被災した男性とボランティア女性の話です。体験しないと分からないリアルな葛藤でした。遺体がみつからなかった遺族の気持ち、そこまで考えてませんでした。悲しみから救い出したい、でもやり方が間違っていたんじゃないか。人を救うことの難しさを知ることが出来ました。
最初の短編も含めて、少しずつ私と似ていました。
みんな少しずつだめで、起こってしまった不幸が原因でさらに下へ落ちそうになる。
でも、この深夜食堂は落ちそうな所でそっと手を差し伸べてくれて、頑張れる力を貸してくれます。
日本中にあればいいのにな。
落ちそうな時に本気で心配してくれる場所があれば、みんな頑張れます。
東京繁華街の片隅で、深夜にだけ開く食堂“めしや”。
マスターと、常連客たち訳あり客たちが織り成す悲喜こもごもの人間模様。
コミックを基にしたTVドラマの劇場版。
コミックは未読でTVドラマも未見だが、難なく作品世界に入って行ける。
と言うか、こういう人情劇が好きな自分にとっては、ドンピシャ! 美味しくお腹満たしてくれた。
口コミ人気は知っていたが、納得!
まずはこの雰囲気。
大都会の中へ中へ入って行くと、まるでタイムスリップしたかのように残っている昭和下町風情。
間違いなく現代が舞台なのに(東日本大震災や東京オリンピック2020などの背景あり)、昔ながらの氷屋が登場した時は、昭和かよ!…と。
まだまだ残ってるんだね。
そんな路地裏の店並びの中に。見落としちゃうくらい、ひっそりと。
開店は深夜12時。暖簾をくぐって中に入ると、古ぼけてこぢんまり。
だけど、それがまた乙な味。
メニューは数品しかないが、マスターが作れるものなら何でも作ってくれる。
今にも潰れそうに見えて、客足は悪くない。
この雰囲気や美味しい料理もあるが、それもこれもマスターの魅力。
こういう昭和風情の小さな店の店主って、昔気質で頑固なイメージ。
確かに口数は多い方ではないが、とにかく温かく優しい。
お節介はしないと言いながらしてしまう。面倒見が良く、困ってる人が居たら放っておけない。
THE人情男!
見守ってくれる眼差しに安心させられる。
客は皆、このマスターに会いに来るんだろうね。
小林薫が好演!
TVドラマからの常連客も顔を見せているらしいが、映画オリジナルのエピソードやゲストが初来店。
最近パトロンと死別したばかりの色っぽい愛人。冴えない風貌の年下男といい感じになるが…。
福島の被災者の男性とボランティアの女性。男は彼女を追って東京にまでやって来て…。
冒頭から店に置き忘れの謎の骨壺。やっと現れたその持ち主とは…。
高岡早紀、柄本佑、筒井道隆、田中裕子ら実力派揃い。
どのエピソードもユーモアありちょっぴり切なかったりしみじみさせるが、やはりみちるのエピソード。
ある日、無銭飲食した若い女性、みちる。
後日、謝罪と迷惑掛けた分働いて返したいと申し出る。
マスターは腱鞘炎になった事もあり、住み込みで手伝って貰う。
包丁を綺麗に研いだり、料理の腕も上手い。
無一文でネットカフェに寝泊まりし何日も風呂に入っていない。
彼女に何があった…?
聞けば、店を持たせてやる…と、男に騙された田舎娘。よくあるっちゃああるが、やはり同情してしまう。
騙した男に居場所を突き止められ現れるが、きっぱり断ち切る。
マスターや常連客たちとの出会い、ここの穏やかな暮らしで自信がついた生き方に悩む若者の成長と再出発。
マスターの馴染みの女将さんの計らいで、女将さんの店で料理人見習いとして働かせて貰う事に。
お世話になったマスターとの別れ。
これ一本で話が見たかったくらい、まるで寅さんでも描かれそうないい話。
多部ちゃんも好演。
幼馴染みのヒデコちゃんの事を語るシーンの表情や演技は秀逸であった。
各エピソードに伏線や繋がりは無く、淡々と代わる代わる語られていくだけ。
劇的な事件や展開も無く、毎度の事ながらこの手の作品がお気に召さない方には退屈かもしれない。
確かに絶品料理ではないが、誰もが美味しいと思える庶民的な味。
甘い卵焼き、タコさんウィンナー、ナポリタン、とろろご飯、カレーライス…どれもこれも食べてみたいマスター特製料理。
ごちそうさま!
また食べたい。
マスターの小林薫の佇まいと声がいい。みんななにかしらをかかえながら生きていて食べものひとつひとつに想いがあって、じわじわと心温まる。観おわったと少し気持ちがふかふかするいい映画。
ドラマで良くない?か?感。