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死刑台のメロディ プロット イタリア 04月19日 劇場で
死刑 プロット 日本 11月04日 2022 劇場で
処刑台の獣たち プロット イギリス 01月01日 1900 劇場で
悪夢のエレベーター プロット 日本 10月10日 2009 劇場で
絞死刑 プロット 日本 01月01日 1968 劇場で
刑事ニコ 法の死角 プロット アメリカ 10月08日 1988 劇場で
死刑台のエレベーターコメント(14)
映画.comの緒方明監督のインタビュー記事(2010年10月8日)を読んで、9日に「死刑台のエレベーター」を観た。
「不倫の果てに人を殺してしまうということは、50年前と現代ではまったく意味合いが違うわけです。おそらく不倫の概念そのものも変わっているでしょう。そこをリアリズムで埋めていく作業っていうのが、演出家としては一番気を使ったところですよね」
緒方明監督のこの言葉に期待して観たのだが、残念ながら、1958年にフランスで公開された『死刑台のエレベーター』のリメイク作品を作るならば、エレベーターに閉じ込められるという設定自体を変えたり、結論を変えたりするくらいの大胆さが必要だったのではないか、と感じる作品だった。
吉瀬美智子、阿部寛は熱演だったと思う。雰囲気のある映画ではあった。
ところが、まず、ストーリーを進めるための仕掛けがあまりにも不自然。なぜ、停電になるとわかっているエレベーターに乗るのか。犯罪の証拠になりうる携帯電話をなぜ車に置き忘れるのか。なぜキーをつけたまま車をとめておくのか。完全犯罪を目指す男がここまでドジかと思わせる場面が多すぎた。これでは「完全に犯罪が成立」してしまう。
そうした細部だけでなく、なぜ、追ってきた男に暴力団組長が優しくするのか、赤の他人だった女性が、人を殺した人間となぜ一緒に死のうと思うのか。なぜ主人公たちは社長を殺そうとするのか、登場人物たちのコミュニケーションや頭の中が理解できないのだ。
数えきれない不自然さをあえて気にしないよう努力し、せめてラストで決めてくれればと期待して観ていたが、ラストは「なぜこんなことで死刑になるのだろう」というエンディング。これでは、50年前と変わらない。
映画はフィクションなのだから、事実と違うじゃないかと怒ったりはしない。何百発も銃で撃たれても主人公には当たらない。それはいいと思う。練習もしないで本番を迎えたオーケストラが名演で観客を泣かせる。それもかえって作品を盛り上げる。
しかし、不注意としか思えない矛盾に満ちたストーリーの不自然さがここまでくると、もう喜劇にもならない。
この映画はサスペンスなのだろうか。一つもどんでん返しや驚きがなかった。
例えば、ビルが5:30に全面停電するといった現代にはありそうもない設定はやめ、インテリジェントビルの社長室に侵入するために組んだプログラムが裏目に働いて、エレベーターもとまってしまうとか、完全犯罪が成立したかにみえた数年後に刑事が証拠をつかみ、犯人を追いつめる・・・くらいのリメイクをしたほうがよかったと思う(エレベーター、完全犯罪にこだわるなら)。
もとの作品の本質的なテーマをリメイクするならば、こんな無理な作品にはならなかったはずだ。
とても、時間が長く感じられました。
俳優さん達の演技がどうというのではなく、
脚本そのものがあまりおもしろくなかったような気がします。
何も得るものもなく、感動もなく、驚きもなく....何もなかった...。
キャストだけで面白いのかと思ったが、間違った時間の使い方だった。ただただ後悔。駄作も良いところ。
脚本なのか演出の問題なのか、どの殺しにも強い動機が感じられず、ただただ吉瀬美智子だけが一貫してドジな阿部寛を求めて、好き放題暴走している状態。脇役に深みのある演技をする俳優さんが沢山いるにも関わらず、吉瀬美智子が出てくる時間がひたすら長く、ストーリー性も台無し。吉瀬美智子は確かに綺麗だけれど、この役を背負うには安っぽさ胡散臭さが先に来てしまう。
過去に彼女を取られ、殴られて銃も取られた警官が組のトップを躊躇いもなく殺すのも意味不明。翌日あっさり泣くほど謝るのも意味不明。巻き込まれたに近い彼女役の北川景子は、お客さんの車だから好奇心があったのかもしれないが、アホで写真を撮ったりフィルムを他人に渡したり。殺しの現場に巻き込まれているのに恐怖を抱いている様子もないし、フィルムを預かった写真屋さんのおじさんに至っては、写真館に刑事や玉山鉄二が出入りしていても、その場にいない。どこに行ったのか意味不明。全体的に不可解すぎる。
完全犯罪に終わるはずが、エレベーター停電のせいで計画がなにもかも崩れ去り、更には2つの事件が偶然交錯して一見複雑になってしまったが、どちらもただの痴情のもつれでこうなっただけの浅い浅いものでしたという結論に至るまで、ただただ引きずられて、トリックも何もなく終わる。
恋愛が絡む事件では必ず証拠が残るから、完全犯罪はありえないという刑事さんの言葉のみ、納得できる映画。