悪人

6.8/10
合計16件のレビュー
ジャンル   プロット
ランタイム   139分
言語   日本語
地区   日本
書かれた   吉田修一
劇場で   09月11日 2010
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悪人 プロット

芥川賞作家・吉田修一の同名ベストセラーを妻夫木聡&深津絵里主演で映画化した人間ドラマ。長崎の外れの小さな漁村に住む祐一(妻夫木)は出会い系サイトを通じて佐賀在住の光代(深津)と出会う。逢瀬を重ねる2人だったが、祐一は世間を騒がせている福岡の女性殺人事件の犯人だった……。監督は「69」「フラガール」の李相日。共演に岡田将生、満島ひかり、柄本明、樹木希林。

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悪人コメント(20)

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どこか昭和を感じさせるムードのある、愛についてしっかりと語っていながら、哀愁で包み込んだ映画。
台詞や展開はそう多くないのに、気がつくと妻夫木くん演じる祐一の心の純粋さを私たちも知っていて、そして岡田将生はこんなにも悪人然としている。

自分のことを全部包み込んで受け入れてくれる・幸せを願ってくれる人の存在を、側で感じられることによって、自分にも大切な人ができていく心の移り変わる様
大切な人がいるだけで行動力に繋がっていく登場人物それぞれの決意の瞬間
そういったものが、うまく切り取られた風景や灯台からの朝焼け、さらには私たちに乗り移った感傷や悲哀を撫でるように染み入ってくる挿入音楽によって、非常にまとまりよく描写されていました。

エンドロールを見たら久石譲さんだったので、なるほどやっぱりなと思いました。
Sxspmkonhig
Sxspmkonhig
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ずっと見たいと思っていたまま、10年が経過していた。スマホ普及による凄まじい情報化社会になる、移行時期、境目時期にある2010年だったと記憶している。

作中でも折りたたみ携帯電話やメールでのやり取りが出会い系に使われていて、今やアプリで出会った人との結婚も主流になりつつある時代。背景がよく見えない相手との出会い方に疑問を抱く意見は今後も消し去られる事はないだろうが、顔がわかる合コンやナンパで出会ってもクズはいる。

出会い方や出会う数や相手のステータスより、出会った縁をどれだけ大切にできるか、人の気持ちを見つめ尊重できるか、が結局自らをも温めてくれることがよくわかる作品。

台詞が少なくても演技で伝わってくる俳優さんばかり。

満島ひかり演じる佳乃が自分で撒いた種なのは否めないが、実家の床屋を抜け出す人生を踏み出すために、久留米で一人暮らしを始め、孤独を感じる中ナンパしてきた大学生の増尾に入れ込んでしまったのは、深津絵里演じる光代が、佐賀の国道沿いに人生が集約されているところから裕一と出会い違う世界を知り人を好きになり、大胆な逃避行を選んだのと気持ち的には変わらない。

妻夫木聡演じる祐一に対してや家族への振る舞いを比べれば、佳乃は利己的で光代は優しく包容力と見えるが、見栄を張ったり利己的な嘘をつくかどうかの違いだけなことに気付く。

肉体労働でもいつも長崎から久留米まで来てくれた妻夫木聡演じる祐一は言葉数が少なくても佳乃をちゃんと愛してくれていたのに、裏切り、母親から置き去りにされた過去を持つ祐一を捨てるような言葉を吐いて傷つけ、まさおに振られひどい仕打ちを受けた腹いせに、祐一をレイプ犯に仕立て上げるとまで罵った佳乃の言動は簡単に許される物ではない。友達といても見栄を張り嘘をつき、保険の仕事に協力もしてくれているお父さんをも社会人にもなって都合よくあしらう佳乃。

それでも、亡くなれば悲しむ両親はいるわけで、人間誰かしらが誰かの幸せを願っている。増尾のように、そういった事すらわからず、軽んじて大きな顔をする者はやはり嫌なやつである。常に周りに友人や女性がいて軽口をたたくには事欠かないが、中身薄。
一方、地域の老人や祖父の病院通いを献身的に助け、無口で決して派手ではないが優しい若者だった祐一。車が好きで同世代という点以外、増尾とは正反対だが、両親が大切に想っている佳乃の命を奪ってしまったのは祐一。

「世の中、大切な人すらいない人間が最近多い。
失う物がないから、強いかのように振る舞うが、人間そういうものではない。」

そう話す、娘を失った悲しみの淵にいながらも、娘の欠点にも気付いていた父親の言葉は重く沁みる。それでも、娘を失えば仇を打ちたい怒りにとらわれ、理性で必死に制御する悔いと取り返しのつかない悔しさと、やり場のない怒り、思い知らせたい怒りと葛藤する、柄本明演じる父親役がとても印象に残った。

佳乃も祐一も光代も、愛を求めて必死に生きて前に進もうとしていただけなのに。嘲笑う増尾でさえ、奥底には孤独があり、取り繕った強さなことが露見される。

被害者の父親と、加害者を育てた樹木希林演じる祖母という2人の間にも、大切に育ててきた子で良いところも沢山ある子とわかっているのに、何を間違えてこうなったのかという自責の念が共通していると思う。

途中まで、悪い事はしていないと思っていた祐一は歌舞伎なら正義を示す赤を着ているが、途中、自分の罪を自覚し後悔にかられてからは悪人の青に変わる。祐一を守っているかのように見える光代が赤を着始めるが、光代との幸せを台無しにした後悔と殺人の悔いに苛まれ、祐一を苦しませているのは光代でもある。でも、所謂殺人犯なんだから、俺は悪いんだ。祐一がそう言いたいかのように、光代の首を絞めるラストシーンは、光代に何も背負わせず祐一を悪者として忘れる事で幸せになってほしいという、去り際の祐一の九州男児としての男気を感じる。祐一の過去を知り、もう一度灯台に置き去りにさせたくないと、一度交番に匿われても抜け出して灯台にどうにか戻ってくる光代に、祐一はやっと見つけた愛の喜びと共に、佳乃から何を奪ってしまったのかもよくわかるようになっただろう。

何にも巻き込まれない保証は全くないけれど、本物の愛に出会える事だって出会い系はあるようだ。辛い思い出の場でもあるが裕一と光代の思い出の場でもある灯台を訪れた2人の瞳はキラキラしているし、会って話し身体を重ねる2人はとても美しかった。
先に光代に出会えていれば。
でも、佳乃への誠意を通したがために、踏み外した祐一。満島ひかりを殺めた翌朝の解体現場でも、祐一の瞳は澄んでキラキラとしていて、佳乃も祐一も増尾も、まだ未来ある若者が、未熟者がゆえ、人の心を踏みにじったり、取り返しのつかない行為をして仇となる、非常に惜しい気持ちになる作品。

「お前は悪くなか」作中何度も出てくる言葉。
仮に結果に対して何らかの関わりがあったり、何らかの非はあったのだとしても、自分を責めていたとしても、責任を背負う立場ではなかったりする。
みんなが悪人要素はあって、そうやって社会的に犯罪者迄にはならない悪人もいるが、殺めてしまえばどんなに良いところがあっても悪人。作中の本当の悪人は、無責任に祐一を取り残して育てず、事件後平然と現れて文句を言う母親のように思えてならないが。
そういう人ほど自覚なし。

その人が本当は悪人でないと知っていても、世間から見たら殺人犯。祐一に初任給で買って貰った大切な巻き物と共に、孫を守りたい気持ちを断ち切り、実際に被害者がいる現実と向き合う覚悟を表すかのように、事件現場に結ばれた祖母の巻き物に心が苦しくなる。

どんなに愛した人でも、鉢合わせた被害者の父親の気持ち、世間の声を考慮すれば、被害者に加害者側が今花を手向けるのは勝手にあたると遠慮し、相反する気持ちと向き合う光代。どちらも、「お前は悪くなか」と声をかけられた事で、現実と向き合う強さが出た部分もあるのかもしれない。

口は災いのもと。言葉は罵るよりも、誰かを軽くするために使いたい物である。
Reotnergha
Reotnergha
「フラガール」の監督の李相日が手掛けた、ミステリーヒューマンドラマです!
ロケ地は福岡、佐賀、長崎の九州3県で行われたそうです。
リアリティ過ぎる内容はとても、他人事とは思えませんでした!
Mxosnsikghp
Mxosnsikghp
佐賀市在住なので、ロケ地が身近に感じました。
役者の演技は本当に素晴らしかった。すごく引き込まれました。

私には小学生の娘がおり、軽い女性にはなって欲しくないし、
3人の女友達が、その場に居ない人に陰口をするという、女性に多いのかなぁ。。。怖くなりました。
どの人を指して悪人と言っているのか?
いや、どんな人にも悪人といえる一面を持っている、ということか。
正直者が馬鹿を見る時代と言われて久しいが、とはいえ虚像ではありたくない。

自分自身、家族に置き換えて、すごく考えさせられました。
Uocplverrapo
Uocplverrapo
ネタバレ! クリックして本文を読む
まあまあ暗い気もちになる映画だけど、評価は4です。
殺人事件を通じて、男女関係を通じて、加害者、被害者、登場する人々の様々な心情を生々しく描いた映画である。

映画「愚行録」を一ヶ月前にみたが、この映画「悪人」での演技もあっての愚行録だったのかなあ。妻夫木聡は、まあすごい俳優だ。

しかし、満島ひかりは、またまた幸薄い役柄で出演している。彼女はどうか明るい役柄も与えてもらえないか。心配になる。

殺人は絶対的な悪である。
祐一(妻夫木聡)の育った環境や、それまでの人生は決して、恵まれたものではなかったかもしれない。しかし、なぜ殺人を思いとどまる事ができなかったのだろう。
しかし、満島ひかりに侮辱され、レイフされたと嘘ついて訴えると言われ、逆上して、彼女の首を締めてしまった。
確かに祐一は、悪い人間とは言い切れない。父の病院に連添い、祖母と温かな会話を交わしながら細々と暮らしていた優しい青年ではなかったのか。

後半で話されるが、幼少期の体験から自分の言った言葉なんて信じてもらえないと彼は思い込んでいた。人を信じる事ができない。冤罪を恐れ恐怖し混乱に至っての行動だったのかもしれない。衝動性は誰にでもあり、怖いなと感じる。

もっと早く光代(深津絵里)に出会えていたら、劇中にある言葉の通りなんだがなあ。

一方で岡田将生の役柄は醜い。
まだ学生にして、人を使い捨てにしか考えないような人間。娘を殺され柄本明が、なぜ車から下ろし置き去りにした!と詰め寄るシーン。この悲痛な叫びにすら何の感情も動かさない。人の子として、生まれてきたのに、彼の人間性はどうやって形成されたのだろう。

最後のシーン。
なぜか、本当に自分の人生を捨ててまで、祐一を信じて愛した光代の首を、祐一は締める。俺はあんたが思ってるようないい人間じゃない。謎だった。
祐一は、祐一を誘い逃亡してしまった光代に罪が及ぶことを恐れ、自分が連れ回して殺そうとしたという事実を作りたかったのだろうか。本当に殺す気があったのか?
ないよね?意味わかんないし。僕にはこの謎がわかりませんでした。

また昨今の世情を考えてみる。恋愛というか男女の関係において、いや社会の仕組みもそうなってきている、人を自分の道具にしか思わない人間が増えているのではないかと思わされる。悲しい現実だ。
昔々見た映画「静かな生活」の中で、人は人の道具ではない。その言葉を聞いた時にググッと気持ちを揺さぶられた思いを思い返す。
満島ひかりも、被害者ではあるが、祐一を道具としてしか見ておらず、皮肉な事にその満島ひかりも岡田将生に道具のようにしか扱われなかった。山中の路上に放置するなど物いがいの何ものでもないだろう。
人間は物ではない。

考えさせられる映画のひとつだろう。