フジヤマコットントン
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迷い婚 すべての迷える女性たちへコメント(2)
親子三代と関係を持ちその誰からも選ばれないどこか残念な色男ボーがなんとも言えない哀愁を漂わせていてそこが好き。
実に身勝手な女性を描いて男性が振り回されるのだが、なんとなく世の中の男女の関係ってこんなもんだよな〜…って思わせる感じがあって必要以上に女性の身勝手さを感じない構成が良かった。
この映画の設定は1997年。サラ(ジェニファー・アニストン)の母親が映画『卒業』(1967)のモデルであったとすると、サラは33歳。さすがに現代にすると、年齢的にも難しくなってしまうのでしょう。その他、ネット関連の先駆者で大金持ちであったと思われるボー・バローズだって、1997年だからこそ上手く設定できたわけで、「AOLとタイムワーナーが合併したらすごいことになるだろうな」という会話にもあざとさを感じてしまいました(この映画の配給もワーナー)。
弁護士ジェフと婚約したばかりのサラはニューヨークで結婚・死亡欄専門のジャーナリスト。ロスのパサディナの実家に帰ると、部屋にはジョーン・ジェットのポスターやエレキギターも置いてあるくらいのロック少女だったと想像できます。多分「アイ・ラヴ・ロックンロール」なんかも歌っていたのでしょう。そのジョーン・ジョットの在籍したバンドが「ランナウェイズ」ですが、このバンド名の由来が『卒業』からだったかどうかは定かではありません。
親子丼などという話なら小説や映画の世界では珍しくないのかもしれないけど、『卒業』でのベンジャミン(ダスティン・ホフマン)のモデルとなったボー・バローズ(ケヴィン・コスナー)はその娘サラとも寝てしまうという親子三代丼という偉業を達成してしまったのです。これはもうダブルバーガーの上を行くトリプルバーガーと同じ域です。とまぁ、すごい設定のラブコメだったことに驚いてしまいましたけど、そのボーがネット関連の仕事、自家用ジェット、大学は中退などといった設定からすると、どうしてもホリエモンと重なって見えてしまうのです。そう考えたら、感情移入なんて2人にできるわけもなく、弁護士ジェフ(マーク・ラファロ)をつい応援したくなりました。
他の俳優陣では『スタンドアップ』でもセロンのお父さんだったリチャード・ジェンキンスがとても良かったのですが、トンネルで息を止めるなどといったエピソードが妹アニーの息がつまったという事件に絡んでいるのかどうかがよくわかりませんでした。また、クレジットには載っていない意外な俳優キャシー・ベイツの登場!サラのお祖母さん(シャーリー・マクレーン)の役名もキャシーだったし、映画『卒業』でのエレン役はキャサリン・ロス。なんと3人のキャシーという共通項が現れるではありませんか・・・だからどうなんだと言われても仕方ないですけど・・・
ストーリーの面白さは「実はモデルがいた」という設定だけで、むしろ小ネタが面白い映画でした。クリントンやゲバラの合成写真、『タイタニック』ネタやリチャード・ドレイファスネタでブハハと笑えること必至です。
【2006年6月映画館にて】