《すばらしき世界》「ゆれる」「永い言い訳」の西川美和監督が役所広司と初タッグを組んだ人間ドラマ。
これまですべてオリジナル脚本の映画を手がけたきた西川監督にとって初めて小説原案の作品となり、直木賞作家・佐木隆三が実在の人物をモデルにつづった小説「身分帳」を原案に、舞台を原作から約35年後の現代に置き換え、人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男の再出発の日々を描く。殺人を犯し13年の刑期を終えた三上は、目まぐるしく変化する社会からすっかり取り残され、保護司・庄司夫妻の助けを借りながら自立を目指していた。そんなある日、生き別れた母を探す三上に、テレビディレクターの男とプロデューサーの女が近づいてくる。
彼らの真の目的は、社会に適応しようとあがく三上の姿を番組で面白おかしく紹介することだった。まっすぐ過ぎる性格であるが故にトラブルの絶えない三上だったが、彼の周囲にはその無垢な心に感化された人々が集まってくる。
素晴らしき、きのこの世界
プロット
アメリカ
09月24日 2021 劇場で
すばらしき映画音楽たち
プロット
アメリカ
08月05日 2017 劇場で
さらば美しき人
プロット
イタリア
06月16日 1972 劇場で
この素晴らしき世界(2000)
プロット
チェコ
06月29日 2002 劇場で
さらば愛しき大地
プロット
日本
04月09日 1982 劇場で
さらば愛しき人よ
プロット
日本
09月12日 1987 劇場で
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すばらしき世界コメント(20)
佐木隆三の「身分帳」は、人生の大半を獄中で暮らした男の刑務所内の個人記録を基に、その人物の生き様をたどったノンフィクション小説。1990年の刊行だが、映画では舞台を現代に置き換え、携帯電話などのアイテムをストーリーに活かしている。
元殺人犯の三上は出所後に自立を目指すが、前科者ゆえに働き口が見つからず、さらに体の不調もあってままならない。人懐っこい面と、筋が通らないことには“瞬間湯沸かし器”のようにすぐカッとなる暴力的な面を併せ持つ複雑な人物像を、役所広司が実に人間味豊かに体現している。真摯な役作りの賜物であるのはもちろんだが、さらに演技を超えた“人間力”が映像に焼き付いているように思えた。
共演陣も皆素晴らしいが、特にテレビディレクター役の仲野太賀と役所の風呂場でのシーンが泣ける。あと、アイヌのムックリのような民族楽器のビヨンビヨンという音色とホーミーの不吉な感じが絶妙だった。
公開前からあらすじを読んで気になっていたので公開初日に鑑賞しました。
NHKで西川監督を特集した番組を拝見したせいか期待値が高くなっていました。
感想は、面白かったです。ただ、少し分かりやすすぎるストーリーだったなと思いました。
すこし不満があるのは三上以外の登場人物の描き方。
津乃田はなぜ急に使命感に燃えて、三上を支援するようになったのか見えにくい。(人間の行動はいつも理由があるとは限らない、あいまいで良い加減ということなのかもしれないですが、、、)
六角精児演じる松本も同郷というだけで良い奴すぎませんか笑
長澤まさみ演じる吉澤もチョイ役すぎて、物語に必要だったのかなぁと思いました。
そして三上もなぜ死なないといけなかったのか。原作ものだから仕方ないのですが、このタイミングで死ぬのかぁと残念に思いました。
映画全体を通して、刑務所帰りの人間に対して、社会は不寛容で、生きづらい世界であることが、よく描かれていました。更生とは、言うのは簡単ですが、現実は非常に難しいです。まともな仕事に就けず再犯する確率も高い。
西川監督はそういう現実も描きたくて、2年かけて取材をされたでしょう。
下稲葉の妻が、シャバは生きづらいけども空が広い、と三上に逃げるよう説得しているシーンは刺さるものがありました。
三上が死ぬ直前にコスモスの匂いを嗅いで、なにを思ったのか。
職場でいじめられている知的障害のある同僚は社会から邪魔者扱いされる、まさに三上と同じ境遇。そんな彼を助けられないもどかしさを感じながらも、三上自身も社会に適応するため、見て見ぬふりをする。コスモスは三上の複雑な心情を表すものなのかと思いました。
学生時代に、刑事政策を学び、刑務所の見学や、出所後の方と話す機会を通じて、犯罪者の更生について考えることがありました。
今の日本社会は一度でも罪を犯した人間に対して、非常に不寛容です。統計をとれば、厳罰化を望む国民が大半です。(被害者の人権も大切であることは十分わかっています)
犯罪者は同じ人間ではないと心のどこかで線引きしてしまっているのです。
しかし、犯罪者全員を一生刑務所で飼い殺すことなどできません。出所後の人間もまともな仕事に就いて、お金を稼がないと生きていけない。
にもかかわず、感情的に厳罰化を望み、彼らを社会から除け者にすることは、更生から遠ざけ、再犯のリスクを高めるだけです。
「すばらしき世界」が指すものとはなんなのか。
映画では答えは出ません。観ている側への問いかけなのでしょう。
社会から邪魔者扱いされる者にとって、今の世界は良い社会なのでしょうか。
下稲葉を白龍が演じていたのは笑いました。あの場面だけVシネマでした笑
彼は左上半身にだけ入れ墨の下絵(筋彫り)を入れていますが、まだほとんど色は入っておらず、中途半端なままで放置されていて、彼の中途半端な人生を示しています。
ただ、彼の暴力には一定の傾向がありました。
自分の正義感に反することに遭遇した瞬間、決して許せず見逃せずに、後先考えずに暴行に走る、それが彼の一貫した傾向でした。
自分を抑えることを学び、物事には何通りもの見え方があるということを教えてもらうべき幼年期に両親から捨てられてしまったことが、こんなところに深い影響を及ぼしているわけです。
ほとんどの累犯と同様、この初老の元暴力団員にも絶望的に欠けているのは人間関係でした。
だからこそ、自分を捨てた母親に一目会いたいと願い、その気持ちにつけ込んだテレビ局の取材を許してしまうのです。
冷血で嘘つきなディレクターを演じる長澤まさみの登場シーンは、実はほとんどありません。
なので彼女期待で観た人は、ちょっとガッカリするかも知れません。
演技は上手いのですけどね。
この映画の凄いところは、「マスゴミ」側だった仲野太賀が、人間として目覚めていくところかも知れません。
まったく一寸の緩みもなく、見事に演じており、ほとんど主役級の活躍で、感心しました。
というわけで、ほぼ満点ペースだったのですか、最後の最後で、映画監督が安易なところに逃げ込んでしまったのが、返す返すも残念でなりません。
あんなエンディングではなく、もっとキチンと、描きにくい面を、真正面から肝を据えて描き切らないと、本当に胸を打つドラマにはなれないと思うのです。
実話ベースだけに正しく「事実は小説よりなんとか…」を地でいく作品。
ストーリーもだけでど、始まり方から終わり方まで隙のない作り。
確実に自分の好きな作品の中で5本指に入る。
エンディングで涙が止まらなかった…
思わず映画終わりに本屋で原作小説を購入した。
そして役所広司の演技が圧巻だった。
佐木隆三が実在の人物をモデルにつづった小説「身分帳」が原案だが、舞台を現代へと移している。人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男にとっては、現代ほど生きにくい世の中はないのではないだろうか。本編でも不寛容な社会が描かれており、正義感が強く直情的な主人公・三上(役所広司)は、いたるところで壁にぶち当たる。劇中であっても珍しい、役所が声を荒げる光景を目の当たりにすることができる。シリアスなだけではなく、くすりと笑える描写も多々ちりばめられている。散々な状態のときにこそ、思わぬ人から温かい言葉をかけられた経験は、誰にだってあるはず。行きにくい世の中にあって、三上は幸福を探し出すことが出来たんだろうか……。とにかく劇場でご覧いただきたい作品。