THE CAVE サッカー少年救出までの18日間

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まだ記憶も新しいタイのサッカー少年達の救出劇。あれからそんな年月が経ったのかなと調べるとまだ2年前の話。そんな短い期間で映画化される事に驚きながらも期待して鑑賞した。

率直な感想としては期待し過ぎていたのか映画作品としてはまぁ普通かなといった印象である。
というのもこの作品においては、救出側の視点がメインとして描かれている為、洞窟の中で約2週間の間サッカー少年達とコーチがどういう状況で乗り越えたのかと言った被害者側の視点が殆ど描かれていない。
その為救出の方法、見守る側をほぼほぼ100分近く描かれているため、ドラマ性はあまりなくドキュメンタリーに近い作品である。
それはそれで面白いのだが自分が期待していたのと違ったという点では少し物足りなさは感じてしまった。

また、自分が少し疲れていた事もあってか暗闇シーンが続いたりカメラがよく動く事もあって見ていて少し疲れた。

ただ国が一つとなり、そして世界が一つになっていく様は当時ニュースを見ていても実感したが、この作品で改めて感じる事ができる。世界が一つになる姿はやはり美しい物だ。

犠牲者は出てしまったが、少年たちが全員無事生還できた事は奇跡的でありとても喜ばしく思う。

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Now that they're known to be alive attention is turning already to
how to get them out. The authorities have three options on the
table... No. 1 : Drill holes into the mountain, create an alternate
passage... Option 2 : they can pump the water out of the cave as
much as they can. But this is method could take 4 months until
the monsoon season is over. So the last option... Is to do it the
hard way. That means sending divers in, to bring them out through
the flooded passage. The way they went in, basically.
日本でも長雨による被害が、多くの方々の生活を狂わし、尊い人命も奪っている。同じようにタイ国では6月から11月にかけて雨季というものが存在し、2011年に起こった水害は、この映画の舞台となったチェンライからバンコクまで多くの地域や都市に水害が発生し、甚大な被害をもたらしいる... そのニュースはまだ記憶に新しい。

See those lads, they only have single cylinders on their backs. In
cave diving you usually wear two cylinders. Those guys are not
geared up for Cave Diving. Then, why don't you go to Thailand and
pull those kids out of the cave?
Jim'll fix it, eh?
バンコクから遭難現場となったチェンライまで行く交通手段として、陸のルートならタイ国国有鉄道バンコク駅から北本線の2段ベッド(特等)からなる寝台特急に揺られてチェンマイ駅まで調子が良ければ9～11時間で着く。(特急料金に軽食が含まれていたけど、だいぶ前なので今は不明)チェンマイからタイの北部ラオスの国境付近に位置するチェンライまでは乗り継ぎが良ければバスで3時間ほどで到着する。それとは別に空のルートを選択するとバンコクのどの空港からもチェンライ空港までは約1時間半のフライトで快適？な旅ができる... チェンライまでは行ったことがないけどのお話...

Each of the lead divers will take one boy each and lead them from
chamber nine through to chamber three. You're gonna help them
change tanks and importantly, you're gonna check that the positive
pressure face masks are tight against the faces. You know, if those
masks leak those boys will drown. Especially because they'll be
heavily sedated with ketamine. What do you mean by sedated?
Totally unconscious.
遭難事故映画となれば、普通なら遭難した子供を含む13人の遭難者を中心にヒューマンドラマに仕上げたほうが、嫌な話し、映画の資金集めや興行成績も先が読めるところをタイ系アイルランド人のトム・ウォーラー監督は、それよりもむしろ、タイ軍水難救助隊、海外から集まったケープ・ダイバー、地元住民の協力者、米軍など、この類まれな遭難事故救助活動に携わった側に焦点を敢えて当てている。そのことで今まさに目の前で起きているかのようなリアルタイムの映像を過去に起こった出来事というタイムラグを感じさせないドキュメンタリータッチに描いていることに注目したい。
さらに、この映画には当時実際に救助活動に参加した小型給水装置（ターボ・ポンプ）を提供した地元タイ人の方やアイルランドから参加したケープ・ダイバーの方も映画に重要な場面でカメオ出演している... 何故か？　　普通に考えるなら、映画にド素人（失礼）なんかを使うなんてと眉間にしわを寄せそうな演出でもその事が反って、緊迫感や臨場感を自然と盛り上げ、彼らの救助活動を目の前で見ているような疑似体験もできる憎い演出となっている。特に映画のコンサルとして、アイルランドからの実際の救助の立役者とも言っても良いケープ・ダイバーのジム・ウォーニー（ご本人）に焦点の当て方は、プロの役者とアマチュアの役者とをミックスしたキャスティングにしたことで、映画自体がドキュメンタリースタイルとハリウッドアクションスタイルを同じようにミックスしたのように感じられ、またそれが意外とテンポが良く、また救助を臨むくだりから、救助活動そのものの半端がない困難さや疲労感が直に伝わってくる視覚的に分かり易いシナリオにもなっている。
狭い洞窟の閉塞感を色々なアングルから撮影することで映像の枠を超えたカメラワークの冴えたるものでドキュメンタリーでは成し遂げることのできない、決して味わうことのできない映像を提供し、洞窟内の閉ざされた空間なのに、それを逆手に取ったような躍動感も感じられる。

外国人の製作者では、映画を製作するだけでもハードルの高いタイ国独特の風習やお役所仕事.. 特にラオスとの国境の近いところでは、タイ政府はもちろんのこと地元警察や地元の有力者からの撮影許可を承認されるのは映画を作るよりも相当至難の業と思われる。その歪みが仕方のない事として、残念ながら映画の一部にその事の妥協点が表れている。タイという国のお役所仕事が難敵な事が分かるのが、ほとんどの撮影が終わってからタイ政府当局から撮影を承認されている。(Geographical magazineより)
今現在2020年2月の段階ではこのタムルアン洞窟は閉鎖されており、将来は森林公園から国立公園になる計画もあると聞く...　この映画の影響が大きいことがうかがえる。

トム・ウォーラー監督の映画「The Cave」に対する想い...
「地球上の他のみんなと同じように、私はとても期待を込めて救助活動のニュースをフォローしていました。」と彼は語り、「タイの映画製作者として、この物語を語ることのできる唯一の立場にあることに気づきました。」映画「The Cave」は「救助者のボランティア精神と、任務に携わった人々の秘話」に焦点を当てており、「タイの物語の中に深く記憶に留めるものとなっています。」と彼は言う。
「タイの物語に深く記憶に留めるもの」という言葉を紐解くと、遭難事故を描く場合避けては通ることのできないタイ軍の水難救助隊の一人が活動中に亡くなってしまう事実... この事は日本のニュースでも取りあがられたと記憶している。普通ならただ亡くなっただけのシーンを流せば事足りるところを映画では、タイの一般的な仏教徒のあいだでは、サーイシンと呼ばれる霊糸を用いた、厄除けの意味もある葬儀のシーンを加えている。これはタイ出身の監督でしか分からないことで、アングロフォンの社会や習慣で生きている者では描くのは無理と言える。

The superego develops last, and is based on morals and judgments
about right and wrong.
スーパー・エゴ(super-ego) のひとつ、 "無心" ... この事を分かり易く、視覚化している事が、映画「The Cave」の賞賛されるべき重要性... と捉えたり、認識できる人間性を持ち続けたいと思える自分でありたい。

この映画.comの映画情報ははっきり言わせてもらうなら、トム・ウォーラー監督は、確かにイギリスの学校に通っていたことはあるが、父親がアイルランド人で母親はタイ人であることから、ほとんどの映画サイトのバイオ紹介では、彼をタイ系アイルランド人または、タイ・アイルランド人と紹介しているが、どのサイトもイギリス人とは載せていない。イギリス人もアイルランド人も良く似ているからそう載せたというなら仕方のない事.. 冗談です。そんなことありません。　　嫌味でした。重箱の隅を突くものより。

2018年6月に発生した、タイ王国チェンライ県のタムルアン洞窟の遭難事故を遭難者側の視点ではなく、救助者側にたって描いた作品。

主役の英国ダイバーは本人が演じており、タイに救助に行く決断までの迷い、救助中の苦難の気持ちをプロの俳優顔負けで演じている。

13人を無事に救助するためにタイ国内だけではなく、世界中からあたたかい手が差し伸べられてられていたことにあらためて驚かされる。決して売名行為でもなく、政治的な行為でもなく、純粋に人を助けたいという声は奇跡を超えて多くの困難を貫く強い力となった。

まるで当時の状況を、傍でレポートしているかのような緊迫感が最初から最後まで途切れることなく続く。

もちろん日本からも救助の支援も来ているのでポジティブな面はきちんと評価すべきであるが、こういう事件がおこると必ず出てくる、「自己責任」の声。
当時も某落語家が「どれだけ迷惑をかけているんだ。反省しろ！」と自己責任論をぶっていたのは記憶に新しい。

ダイバーや軍人を派遣した欧米諸国や、多大な動員と経済的負担を負ったタイ国内でも自己責任論はあがっていなかった様子。

「13人の命は何よりも代え難い」というコンセンサスは誰も口にしなくてもとれていたのだ。

対して、なんと心貧しきことか…。