1970年代後半のイギリスで、音楽を通して人種差別撤廃を主張し続けた若者たちによるムーブメント「ロック・アゲインスト・レイシズム」に迫ったドキュメンタリー。経済が破綻状態にあった当時のイギリス。国民の不安と不満は、第2次世界大戦後に増加した移民たちへと転嫁され、イギリス国民戦線を中心とする過激な排外主義運動が高まっていた。街に暴力があふれかえる中、芸術家のレッド・ソーンダズら数人の若者たちが、人種差別に対してロックで対抗する組織「ロック・アゲインスト・レイシズム」を発足。彼らの発信するメッセージは、ザ・クラッシュ、スティール・パルスなどのパンクやレゲエ音楽と結びつき、多くの若者たちに支持されていく。監督は、BBCでドキュメンタリーを手がけてきたルビカ・シャー。
白い暴動コメント(16)
この作品を観て当時のイギリスの人種差別の厳しさを知った。デイビッド・ボウイやエリック・クラプトンまでも白人史上主義者を支持し差別発言をしていたということを知りショックを受けた。白人史上主義という思想は排他的で本当に嫌な思想だ。そんな腐敗した政治に音楽で立ち向かった当時の若者達の姿が本当に格好良い。その中でもやはり最後のライブのThe Clashは凄い。他のバンドとは完全にオーラが違う。ジョー・ストラマーは本物のカリスマだ。欲を言えばもう何曲か見たかった。
しかし、この作品にドキュメンタリー作品としてのクオリティの高さを感じることは出来なかった。特徴が無く面白味に欠けた極普通の作風で、テレビ放送で十分なレベルのクオリティに感じた。そこが凄く残念だった。
The Clashの「White Riot(白い暴動)」は今でも時々聴く。全く飽きることがないアルバム。当時は感性やノリで聴いていたが、今聴くとそれに加えて歌詞と姿勢が本当に格好良い。あの時のツモは只のツモじゃなく役満だった。
「ナショナル・フロント」なる移民排斥を掲げた政党などのレイシズムに対する、パンクやレゲエを旗頭とした平和的な運動。こうしたレイシズムが10年後の「カセットテープ・ダイアリーズ」の時代もほとんど変わらず(サッチャー政権の結果強くなったとも…)、「SKIN」の現代アメリカもほぼ同じ、というのも恐ろしい現実だが。
パンク時代のアートの雰囲気がとても良く伝わるが、音楽は期待ほど掛からなかった…
音楽がたくさん聴けると思ったら、あまり多くなくて、特にクラッシュには以前から興味があったので楽しみにしていたのだけど、期待したほどではなかった。しかも、出番にこだわったりして売れっ子気取りでお高い感じがして好感度が下がる。当時、音楽のジャンルで大きな断絶があるのが興味深い。スキンヘッドでオイパンクは右翼で怖いと80年代の後半に東京で友達に聞いたのだけど、それだった。今もそういうのはあるのだろうか。きゃりーぱみゅぱみゅが安倍政権を批判して炎上して、政治的発言をするとCMに出れなくなるなどと言われていた。主張ごとに放送局が分かれていたり、スポンサーのつきかたが変わったりした方がむしろ健全だ。
この作品の背景にある風潮は『ボヘミアン・ラプソディ』や『カセットテープ・ダイアリーズ』といった作品との背景と繋がっていて、そんな不寛容にNOを突きつけるロック、パンク、レゲエが大きなうねりにとなっていく様を当事者達が語る言葉の一つ一つがずっしりと重く、クライマックスのライブ映像が捉えた熱狂に胸が熱くなりました。当時の実情を捉えた非常に貴重な資料であると同時に、社会不安が蔓延しこのような差別主義が未だ払拭出来ないどころか世界中に広がるばかりの現在において、特に若い世代に観てもらいたい力作です。
個人的にはライブ映像がもっとあると良かったんですが…
でも当時こんなに人種差別が強かったとは知らなかった。教養・知識を広げるためにこの辺の音楽が好きな人は抑えておいて良い作品だと思います。
映像が出てきて思い出したのですが、スージー・スーは確かにナチスの腕章付けてましたね。ファッションかと思ってたけどとんでもない事ですね。