「新感染
ファイナル・エクスプレス」で一躍トップスターとなり、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品「エターナルズ」でハリウッド進出を果たすマ・ドンソク主演のバイオレンスアクション。凶悪なヤクザの組長チャン・ドンスが、ある夜何者かによってめった刺しにされた。奇跡的に一命をとりとめたドンスは、対立する組織の犯行を疑い、犯人捜しに動き出す。一方、警察サイドで捜査にあたるチョン刑事は暴力的な手段も辞さない荒くれ者として、署内でも問題刑事として知られていた。まだ世間の誰も気づいていない連続無差別殺人鬼がこの事件の犯人であると確信したチョン刑事は、その手がかりを求めてドンスにつきまとう。ドンスとチョン刑事は互いに敵意をむき出しにするが、狡猾な殺人鬼を突き止めるには互いの情報が必要であると悟り、共闘して犯人を追い詰めてゆく。2019年・第32回東京国際映画祭の「シン・ファンタ/復活!?東京国際ファンタスティック映画祭ナイト」(19年11月2日)で上映。
悪人伝コメント(20)
強い男って惚れますよね。男でも。
優しいし、貫録もあるし。
韓国映画は毛嫌いしてました。国政関係で。
でも映画はすごい。
これから観てみようと思います。
邦画も負けるなよ。
「仁義なき戦い」はどこに行ったんだ?
通常なら対立する力の強い奴同士が組むとこうも恐ろしいことかと思い知る。
最後の最後まで食えない歪な関係が、勧善懲悪とか変な友情とか気持ち悪い綺麗事物語になっておらずむしろ妙に現実味を帯びた複雑で感情の置きどころに困るいい映画でした。
本作も実際に起きた連続殺人を元にしたものだが、「極悪組長×暴力刑事vs無差別殺人鬼」という組み合わせで、さらに極悪の組長が絡んでくる。
ヤクザ同士の人間関係とパンチのあるシーンがプラスされている分、殺人鬼の残酷なシーンが凝縮され、フィクションのような面白さを感じながら見ることができた。
極悪組長を演じるマ・ドンソクの存在感はバイオレンスというより「不動なお兄さま」のような優しさとドスの効いた迫力があった。
そんな組長の存在(意志)は最後まで見逃せない展開となっている。
落ち着きのない暴力刑事を演じるキム・ムヨルと組長が手を組まざるを得なくなってきてからの駆け引きも面白い。
立場と展開は全然違うが「ルパンと銭形警部」が休戦をして手を組むようなノリ。
事件を追うごとに言動と表情が様変わりしていくキム・ヨヒル(刑事役)は、重たい内容を少し和ませてくれるので、暴力刑事という一言では表せない重要な役柄であることを実感した。
異様なコンビである2人のターゲットは、たった1人の連続殺人鬼。なぜその殺人鬼を通して組長と刑事が重なったのか?その理由は序盤の時点でわかるが、見逃さないようにしていただきたい。
連続殺人鬼を演じるキム・ソンギュの異質な笑みも印象的で、全く違った3人の個性が本作に滲み出ており、それぞれが自分の面子を賭けて戦っていく。
怒らせると誰が1番怖いのか?
バイオレンスというよりも「駆け引き」が最後まで気になる爽快劇だった。
って思って見てたけど、違った。
ただの怖かっこいいヤクザのマ・ドンソク映画でした🤩
マ・ドンソクは、髭をたくわえればマサ斎藤(故人=プロレスラー)だ。
刑事とヤクザが共同で無差別殺人鬼を追うという、B級劇画調のA級アクション。
ヤクザのボス役マサ斎藤は、登場場面からド迫力のインパクト。そういえば、越中詩郎というプロレスラーは人間サンドバッグと呼ばれたなぁ…
かつてゾンビたちをバッタバッタとなぎ倒した豪腕は、今度はヤクザどもをぶちのめす。得意の乱闘でマサ斎藤の肉体が躍動する。
主人公の熱血はみ出し刑事テソク(キム・ムヨル)は警察の捜査方針から逸脱して犯人を追いたい。もう一人の主人公ヤクザの組長ドンス(マサ斎藤)は自分を襲った殺人鬼を始末したい。
刑事側は非公認の捜査で、ヤクザ側はボスの号令一下の公式ミッションだから、ヤクザの組織力が発揮されることになるところが非常に面白い。
この両者には利害が一致する面と対立する面がある。逮捕して法で裁きたい刑事に対して、自分の手で殺したいヤクザ。連携して捜索はするが、先に捕らえた方がその処分を決める約束が成立する。
犯罪者と刑事がコンビを組む他のバディームービーとは、一線を画すところだ。
この対立点の決着のさせ方が、また秀逸。
反体制の刑事と、堅気衆には手を出さない極道。
男心を鷲掴みにするシーンが連続する。
殴り合って友情を固めるなんてできっこない、ひ弱な男が憧れる世界だ。
調査の結果をテソクとドンスが聞く場面は、まるで合同捜査本部のようで面白い。そこで、無礼な部下を殴り倒すテソクをドンスがニヤリと見やる。仁義を通す流儀が自分と同じだ(似てきた?)と感じたからだろう。
一斉ゲリラ捜索が開始される時、「情報を刑事さんに報告しろ」という指示が組員に出されるあたりも痛快だ。
そして、いよいよ殺人鬼を追い詰めるシーンが圧巻。狭く入り組んだ路地を使って逃げる殺人鬼と、追うテソクとドンスとその側近。夜の暗い路地をそれぞれが全力で走る。待ち伏せに合ったドンスの側近が致命傷を追う。駆けつけたドンスに自分のことよりも殺人鬼を追ってくれと言う。男の涙腺を刺激する演出だ。
殺人鬼の私生活がほんの少し見せられるが、人物像が分かる訳ではなく意味がないように思ったし、なぜ営利誘拐を起こしたのか(金が欲しいからだろうけど)唐突感は否めない。
一方で、対立ヤクザに二人が襲われた大乱闘の後、テソクが相手が死んだことで慌てるエピソードはリアリティがあった。後は任せろとドンスが死体処理をするが、大抵のアクション映画は殺しっぱなしだ。
スタローンがリメイク権を得たとか。
自身が演じるかどうかは知らないが、アメリカが舞台となると、銃撃戦を避けて肉弾戦中心にできるだろうか…手腕に期待したい。