「アメリカン・ハッスル」「世界にひとつのプレイブック」のデビッド・O・ラッセル監督が、クリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デビッド・ワシントンら豪華キャストを多数迎え、ある巨大な陰謀に巻き込まれた3人の男女の行く末を、史実とフィクションを巧みに交えて描いたクライムストーリー。1930年代のニューヨーク。かつて第1次世界大戦の戦地で知り合い、終戦後にオランダのアムステルダムで一緒の時間を過ごし、親友となったバート、ハロルド、ヴァレリー。3人は「何があってもお互いを守り合う」と誓い合い、固い友情で結ばれていた。ある時、バートとハロルドがひょんなことから殺人事件に巻き込まれ、容疑者にされてしまう。濡れ衣を着せられた彼らは、疑いを晴らすためにある作戦を思いつくが、次第に自分たちが世界に渦巻く巨大な陰謀の中心にいることに気づく。「アメリカン・ハッスル」でもデビッド・O・ラッセル監督とタッグを組んだクリスチャン・ベール、「アイ,トーニャ
史上最大のスキャンダル」「スキャンダル」のマーゴット・ロビー、「ブラック・クランズマン」「TENET テネット」のジョン・デビッド・ワシントンが物語の中心となる3人を演じ、共演にも「ボヘミアン・ラプソディ」のラミ・マレック、「アイリッシュマン」のロバート・デ・ニーロをはじめ、クリス・ロック、アニヤ・テイラー=ジョイ、ゾーイ・サルダナ、マイク・マイヤーズ、マイケル・シャノン、テイラー・スウィフトら豪華キャストが多数集結した。
アムステルダムコメント(6)
むしろ、テーマはタイトルの『アムステルダム』にあるのだと思う。ベール、ロビー、そして、ジョン・デヴィッド・ワシントンが演じる兵士の主要キャラクター3人が、政治的陰謀に巻き込まれる前、第1次大戦後に移り住んだオランダの首都で紡いだ、自由と友情のひとときに、ラッセルは青春へのオマージュにも似た純粋な想いを捧げていると感じた。
好みは分かれるだろうが、筆者は最後の最後にそんなラッセルの想いをギリギリで汲み取って、心の中でOKを出したのだった。
“歴史は繰り返す”ように、陰謀論や背後にある組織など、現代の日本にも通じて観る理由はしっかりあるのだが、物語がいかんせん面白くない。話の大筋は決して難しくないはずが、回り道を繰り返すことで混乱を招く事態になっているのだ。
さらに、その曲がりくねった道中は、緊張感もなく、かと言って思わず笑ってしまうほどのユーモアもほぼない(少なくとも笑い声が漏れてしまうほどのユーモアはなかった)。とにかく、俳優たちと衣装、美術といった視覚的な部分で映画をもたせている。
それが“ほぼ史実”なのだとしても、そこは映画の演出の見せ所だと思えてしまう。デヴィッド・O・ラッセル監督の過去作『アメリカン・ハッスル』も、実際の事件を元にした映画だが、そちらは面白さはちゃんとあった。同様に『世界にひとつのプレイブック』で描いた、クレイジーさのなかの絶妙なユーモアも本作では感じられない。
はっきり言えば退屈だし、眠くなる人も多いと思う。例えるならウェス・アンダーソン風に描こうとして散らかったようなプロットだった。蛇行せずに、クリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デヴィッド・ワシントンの3人の友情と愛の行方をちゃんと描く物語にフォーカスすればずっといい映画になったと思えてしまう。
キャストの無駄遣いとまでは言わないものの、もったいなさを感じずにはいられない作品だった。
イギリスで留学中に映画館にて鑑賞。
まず驚いたのはキャストの豪華さ。
クリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デヴィッド=ワシントン、ラミ・マレック、アニャ・テイラー=ジョイ、そしてロバート・デ・ニーロなどなど。
普通の映画だとだいたい有名なのは主人公とその相棒とヴィランの3人くらいで、こんなに主役級の人が多く出る映画はなかなか観れない気がする。観ていて贅沢だなと感じた。
そしてなんといってもロバート・デ・ニーロのオーラがすごかった。
時代は第一次世界大戦後で、第二次世界大戦の手前くらい。主人公のナレーションで物語が進んでゆく。
元ネタは実話らしいが、かなりコメディー要素を入れているためそのまま信じないほうが良いが、大まかな内容は実際にあった話と思って良いだろう。
個人的に、主人公を演じるクリスチャン・ベールのファンなので内容に構わず鑑賞。今回も彼の凄さが伝わってきてよかったと思う。また、その他の俳優との掛け合いも面白かったしカメラワークも好きだった。
クリスチャン・ベール、ロバート・デ・ニーロなどの出演者の中に好きな方がいる場合は観ることをお勧めする。また、特に出演者を見てもパッとしない方でも内容は十分に楽しめると思う。大人がクスクス笑うようなシュールなジョークが多かったため、対象年齢は少し高めかと思うが子供(R15)でも楽しめる作品だと思う。
退役軍人というと老人、圧力団体といったイメージが強いがこの映画の彼らは「復員兵」だ。戦闘の記憶も傷跡も生々しく大勢が後遺症に苦しみ治療を受けているまだ若い人々。大怪我をした傷病兵を山ほど見た看護士も仲間だ。そんな彼らを見るとウクライナ、ロシア、アフガニスタン、世界のあちこちの戦争と紛争で戦い傷ついた兵士とその家族を思う。「五人委員会」にいたっては今の日本。戦争が一番の金儲けというのも昔も今も同じ。
衣装やアクセサリー(ネクタイ、帽子、スカーフ、靴全て)は時代の空気を纏い、アムステルダムのアトリエみたいな部屋で仲良く歌いダンスする三人からは友情は続くんだぞ!という思いが伝わり涙がでた。ヴァレリーのアートはエッジが効いていてとてもいい。沢山の弾で作った作品は皮肉で悲しみで笑いで怪我をした兵士への愛だ。
クリスチャン・ベール適役!ジョン・D・ワシントンは居てくれるだけで暖かさと優しさを醸し出す希有な人。マーゴットぴったり!男友達との友情を真っ直ぐに表現していた。アニヤ・テイラー=ジョイは売れっ子!個性的で肝っ玉が据わっていてこの映画でも堂々としていた。デニーロに至ってはなにも言う必要がないほどの貫禄でいい役。登場人物全員が個性的で面白かった。そしてセリフも良かった。「必要から?それともあなたの選択?」どんな事柄・対象にも当てはまる表現だと思う。
エンドロールのアートやモノクロ撮影は美しく懐かしい感じがした。「アムステルダム」っていうタイトルもいい。アムステルダムには世界中の若い人達が集まってくる。いろんな言語が通じる寛容の街。生き生きして面白いことが起こってずっと居たくなる街。笑えるシーンも沢山あって見てよかったと思える映画でした。