ベテラン俳優の渡辺いっけいが映画初主演を務め、引きこもりの青年と父親の関係を描いた人間ドラマ。「劇団チキンハート」主宰の俳優・遠山雄が、自身の知人をモデルに、実話をもとに生み出した物語で、遠山自身がモデルとなった知人にあたる引きこもりの青年・進一役で出演。渡辺はその父親である広志を演じる。30年前、進一の父・広志は妻の加代子が出産中に、加代子の実家に盗みに入り、進一の叔父にあたる牧師の源一郎にとがめられ、悪魔として村を追い出された。そして30年が過ぎた現在、母に甘やかされて育った進一は、どんな仕事も長続きせず、ひとりでは何もできない男になっていた。そんなある日、村で連続空き巣事件が起こり、村の人々から悪魔の子である進一が犯人だと決めつけられてしまうが……。
いつくしみふかきコメント(20)
どこか、自分に重ねてしまう部分、近い存在の不思議な心と気持ちの繋がり。
噛めば噛むほど(観れば観るほど)旨味が(深み)ある作品です。
そして人でなしすぎる!
一方息子の進一は過保護の母親のせいで30にもなってママの膝枕。超甘ったれのすねかじり。
前半は進一のふてこさにイライラ。
進一を演じた遠山雄さんはじめ劇団の方を中心に配役されていて新鮮でした。みなさんナチュラルで良かったです。
あの胡散臭い説教のシーンめっちゃ笑えました。
そして渡辺いっけいさんと金田明夫さんのバランスの良さ!後半には「おっ!」ってキャスティングもあってその辺りも楽しめます。(眞島さんが相変わらず素敵です)
軽い話ではないですが見やすくて展開がいい。
ちょこちょこ笑えてちょこちょこ泣ける。
父、母、息子。それぞれの30年。
時を経て再会する父と息子。父と母。
埋まらない距離。許せない思い。でも憎みきれない歯がゆさ。
父子は父子。どれだけ罵り合ってもやっぱり血で繋がっている。
終盤。進一の姿にどこか安心する。
不本意に故郷を出たけど、結果それで良かった。
坂道に苦戦しながらも自らの力で踏み進めて行く進一と、自ら作った魔のループから抜け出せなかった親父。
「ここからは歩きます」 真っ直ぐ伸びる田舎道。タテタカコさんの美しい歌声に乗せて新しい時間が、今、動き出す。
目を閉じたら思い浮かぶような素敵なラストシーンでした。
ホラーっぽいところ、コメディーのようなところ…
ぶっちゃけカオスな映画ですが、どんどん引き込まれていく自分がいて、最後までとっても楽しむことができました。
親子だからこその葛藤や恨み、そして想い…
涙あり笑いありで、とても楽しい映画でしたし、1度じゃなく2度3度と見たくなるようなような素敵な映画です。
落としどころは、寝覚めの悪い地獄のようなラストなのか、ヒューマンドラマのような泣かせなのか。
それは、タイトルの名に潜んでいる。それに、予告をみればなんとなく予想がつく。昭和の映画のようなねちっこい暗さを漂わせながら、息抜きのような笑いが紛れ込んでいるのだから。それがラストへの清涼剤ととれる人には、救いとなるのだろう。
個人的には、どっちつかずだった。「凶悪」のような後味の悪さに引きづり込むならやりきる、更生した姿を見せるなら運に見放された親父をとことん惨めに描く、どちらかに徹してほしかった。ただ、かつての「八つ墓村」ではあるまいし、ご当地映画とするのなら、救いのない映画は興行的にはNGだろうなあ。結局、全体的にこの形こそが、落としどころなんだろう。
役者はどの方もお見事。ふだんスクリーンで拝見することの少ない役者さんも深みがあった。で、有名どころをちょい役で使い回すところはむしろ小気味よく、いい流れを感じた。ロケ地も良し、音楽も良し、映像も良し。やはり、台本に不満が残る。あの親父が、わざわざ自分の身の置き所に苦渋する地方都市に居座る理由は後にわかる。しかし、服役もせずに?のモヤモヤが残ったままでは消化不良。絶賛のレビューばかりなのは、随分とゲタを履かせてもらっている気がしてしまう。主演は渡辺いっけいではなく、シンイチ役の若者だという目線で観れば、ラストシーンの台詞と映像が胸に迫ってくる。
二度観ると刺されまくる。