エッセイスト・高山真の自伝的小説「エゴイスト」を、「トイレのピエタ」の松永大司監督が映画化。14歳の時に母を亡くした浩輔は、田舎町でゲイである本当の自分を押し殺して思春期を過ごし、現在は東京でファッション誌の編集者として働きつつ自由気ままな生活を送っている。そんなある日、浩輔は母を支えながら暮らすパーソナルトレーナーの龍太と出会う。浩輔と龍太はひかれ合い、時には龍太の母も交えて満ち足りた時間を過ごしていく。母に寄り添う龍太の姿に、自身の亡き母への思いを重ねる浩輔。しかし2人でドライブの約束をしていた日、龍太はなぜか現れず……。主人公・浩輔を鈴木亮平、龍太を宮沢氷魚、龍太の母を阿川佐和子が演じる。
エゴイストコメント(10)
映画の予告編を目にした瞬間から下心だけを持って映画館に向かいました。
目の動き、手の動き、呼吸 首の角度 血管
言葉にならない感情の表現がまさに今目の前で起きているドキュメントを見ているようでした。
温かい眼差しや気持ちが滲み出ていて
相手の思いを汲み取る場面がたくさんあり
今の自分にとても必要な気付きでした。
好きなシーンをひとつご紹介させてください。
ニヤニヤしっぱなしで観劇中、玄関のシーンで氷魚さんを見送った後、亮平さんが照れながらニコってするシーン。私もずっと同じ顔してたとハッとしました。映画を観ている途中でふと我に返り自分と重なったのは、あまりにもリアルで現実と錯覚したから。あの場に立ち合って照れた感情が溢れたのです素敵なシーンでした。
とても深い映画で心に温もりがじんわり浸透し目にはじわじわと涙が溢れじんわりたっぷり潤いエンドロールが流れた瞬間に今まであたためていた感情とあたたかい心が沁みて涙が滲み出るような包まれるような愛がありました。
人と出逢い、心を通わせて自分が救われていく。とてもあたたかい気持ちで満たされました。舞台挨拶での監督の
「映像にない部分を想像して受け取って欲しい」と語られた言葉が今、味が濃くなって
鑑賞後、会う人に映画の話ばかりしています。公開後3回は映画館に足を運べそうです。
大画面で観るからこそ分かる表情
大音量で聴くからこそ分かる呼吸
映画館で映画を観て自分と対話する時間とっても大事な時間だと思いました。
あたたかい映画をありがとうございました。
エゴイストという言葉から受けるイメージから、どんな激しい映画かと思っていたが、実際のストーリーはかけ離れていた。
ひたすら恋人を愛おしむ主人公、浩輔を鈴木亮平が演じる。恋人、龍太も素直で一所懸命な若者。恋愛そのものは純愛と言ってもいいほど、まっすぐでひたむきだ。
だからなのか、激しいといえばセックスシーン、これはBL的なサービスシーンなのか?
……と思うほど、前半はそうした描写が多い。
たしかに、そこにいきなりの恋人の死が来れば、衝撃は大きいだろうが……。
後半はガラリと雰囲気が変わって、恋人の母親を巡る物語になる。
俳優の肩先に据えたのかと思うような「近いカメラワーク」は、視野の狭さ、情報の無さをもたらす。
原作を読んでいないので、主人公のこれまでの人生も断片的なことしか分からない。ハイブランドのファッションが鎧だと主人公は独白するが、肝心のファッションがあまり出てこず、分かるのは衣装持ちらしいことだけ。
ものを食べるシーンが多いのは、前半の性欲と対比させるためか。
恋人の母親への援助も、母親の生活がどういうものなのか分からないのでモヤる。そもそも息子が、(いくら風俗を止めたとはいえ)なぜ昼も夜も働いて稼がなければならないような状態だったのか?
ラストは感動的だが、疑問が解決されないので、気持ちはあまり上がらなかった。
同性婚の制度も進まない、この国。だが、そうした問題意識は、あまり感じられない。
あるいは、同性同士の恋愛と思いきや、「母」への思慕の物語だったのか……? 見終わって数日、そんなことも考えている。
ゲイという要素が前面に出ていて、男性同士のセックス描写も激しいです。なので拒絶する場合もあるとは思いました。
個人的には、性的な表現と筋トレの表現がうまいこと絡み合っていて、肉体的・身体的美しさを表していたのかなぁなどと肯定的に捉えることができましたが─。
鈴木亮平を筆頭に出演陣みんなのパフォーマンスが素晴らしかったです。また、それらを引き出すような映像や絵つなぎも秀逸でした。
正直、あらすじとこのタイトルからして全く見る気がしなかったです。
いざ見出しても、タイトル通りの、なかなかいけ好かないストーリーに引いた気持ちになりそうに・・・それをくい止めてくれたのは、何といっても出演者の演技だったように思います。面白かったし、強烈でした。
そして何よりもこの映画のラストが最高です。俳優の演技、描写、編集、そしてこの題名・・・エンドロールの流れる決まった音楽とともに、素晴らしい映画に感涙。