マダム・ウェブ
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02月23日 劇場で
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02月23日 劇場で
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ニカラグア・メキシコ・オランダ・ドイツ・フランス・ノルウェー・スペイン合作
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水平線
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ドリームプランコメント(20)
ビーナス姉妹の強烈な強さは天性の才能プラス、この父親あってのものなんだなー、と。アメリカらしく自信と強烈な自己主張のなせるわざ、と人種差別に苦しんだ父親の反骨芯、それに家族愛。謙虚な日本人にはちょっと同調しずらいかも…。
あと、もっと幼少期からのエピソードが見たかったのは贅沢か。
ウィルスミスは高評価がわかる演技力。ただの父親にしか見えなかった。
でも、自分の中で一番盛り上がったのは、姉妹の母であり、リチャードの妻であるオラシーンの強烈な一撃。独善的でビーナスの全てをコントロールしようとするリチャードに堪忍袋の緒が切れてしまうんだけど、あまりの剣幕にリチャードは逃げようとする。オラシーンは、逃げることを許さずリチャードに追撃を放つ。その追撃が、あまりにも芯をくっていたので、とにかくスッとした。リチャードもリチャードで、あれだけ立派なこと言っていたのに、そんな事実があったなんて。
それくらいリチャードにイラッとしたのは事実。ただ、リチャードが生まれ育ったルイジアナ州で白人にリンチなどにあうなど人間の尊厳を傷つけられたことを考えると、リチャードの考え方もわかる。貧困から脱出して、リスペクトされる人間になるためには、教育が大事であり、良い環境に引っ越すためには、お金も必要。偶然にも運動神経のよい子供を授かったなら、それにかけるしかない。
ビーナスが、ジュニア大会で浴びた周りからの冷ややかな目が、とても印象的だった。公然とした黒人差別意識がある中で、成功するのは並大抵のことではないと思う。リチャードが単なる経済的な成功をゴールにしていたのではなく、黒人の地位向上と全世界から尊敬されるスポーツ選手を目指していたことが大きい。
勝負が終わったら勝者も敗者もなくお互いに健闘を称え合って、謙虚でなければならない。いいこと言うよね、パパさん。
2人がテレビで活躍していた頃から、父親が凄いという情報を聞いたことはあったが、実際はどうなのかわからないまま時間が過ぎていた。個人的には、テニスコートの観客席で家族が応援しているという印象が強かった。
そして今、2人の生い立ちを映画で見ることができる。しかもアカデミー賞でも盛り上がっている。【作品賞】、【主演男優賞】(父親役ウィル・スミス)、【助演女優賞】(母親役アーンジャニュー・エリス)、【歌曲賞】(ビヨンセ)、【編集賞】、【脚本賞】と堂々6部門ノミネート。もちろん賞の話抜きでも文句なしの傑作だ。
独特な手法でビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を育てた父親に関する伝記のようなストーリーかと想像していたが、蓋を開けてみると「家族の物語」が芯にあった。そして人種差別などの深い問題も関わっていた。
父親のブレない思想や教育、家族と自分を守る交渉術は本作の中で具体的に示され、作り込まれたドキュメンタリーの如くリアルに心に響いてくる。父親が中心であるのは間違いないが、家族のチームワークなしでは成立しなかったドリームだということを、細かな描写と台詞で明らかにしている。144分という上映時間であるが、好奇心と探究心が途切れない映画で、体感時間は短く、一言で言えば無駄がない。
親やコーチとの特訓シーンは抑え目にして、人間関係や心理描写で鑑賞者を魅了する。そして試合シーンについてはスポーツ感を全面に感じられるよう、様々なカメラワークで臨場感を出しているところは圧倒された。
日本での題名が『ドリームプラン』となっているように、計画がどのように進んでいくのか、山あり谷ありなのかなど見所は多く、テニスに興味のない方にも楽しめるはず。
親によって子は変わる、子供によって親も変わる、夫婦の関係で家族(周り)も変わる、など様々な視点で鑑賞すると、より評価が上がるという深さを併せ持つミラクルな映画。