「走れ、絶望に追いつかれない速さで」などの新鋭・中川龍太郎が監督・脚本を手がけ、第39回モスクワ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞とロシア映画批評連盟特別表彰を受賞したヒューマンドラマ。3年前に中学校の音楽教師を辞めた27歳の滝本初海は、現在は近所のそば屋でアルバイトをしながら暮らしている。そんなある日、彼女のもとに1通の手紙が舞い込む。それは3年前の春に亡くなった恋人が彼女に向けて書き遺したものだった。この手紙をきっかけに、初海の変わらない日常が再び動きはじめる。ヒロイン・初海役に、ジブリ映画「かぐや姫の物語」で主人公の声を演じた朝倉あき。初海に恋する青年・志熊役を三浦貴大が演じる。
四月の永い夢コメント(20)
いやな気分で、体調が悪くなりました。
そんな映画が好きな人はどうぞ。
辛い死別体験から少しずつ前を向いてく涙ありのあったかストーリーと思っていたが。
イマイチ何が辛いのか伝わらない。
どうして教師を辞めたのか。
主人公や登場人物に共感も同情も出来ない。
挙げ句の果てに死別する前に別れていたと。元恋人との思い出や人物像がもっと描かれていればよかった。
カメラワークも音楽も微妙でした。
手ぬぐいもキレイじゃない。
唯一、浴衣姿が素敵でした。
ゆっくりと流れていくストーリーですが、最後にやっと「なるほどな」と合点がいきました。
主人公は、恋人が亡くなって3年経つが前に進めない。何処かに行ってしまうような不安定な女性。
普通、教師まで辞めるか?辞めて蕎麦屋でバイトするか?
何故、そこまで恋人の死を背負って生きているのか?と思いながら観ていました。やっと最後に恋人の死亡時期と理由(自死?)の説明があり、だから自分を責めるように生きていたのか?と合点がいきました。
映画HPの人物紹介にあった「小さな秘密」。それが彼女を苦しめていたのですね。
別れた後の出来事まで背負ってくれる女性がどこまでいるのか分かりませんが、そういう女性がいて欲しいとも思えた作品でした。
はっきりとは示されていないが、別れた寸前の交際相手がおそらく自ら死んでしまい、それが心から離れず、さまよっているような女性主人公(朝倉あき)が心を回復させるために、交際相手の田舎の実家まで旅をし、その両親や妹と語り合い、そして現在、不器用なてぬぐい工員(三浦貴大)の下手くそなアプローチと、ラジオから流れてきた工員の書いたメッセージを偶然聴いた主人公の
ラストの思わずの笑顔が印象的な良心的な作品。惜しいのは、死んだ交際相手との回顧シーンにはっきりとはあらわされてはいないが手と手を絡ませるだけの映像で、婚外性交渉を予想されるような場面があったのは、私の感覚からは余計だと思ったので減点。だが、おそらくその交際相手とは結婚寸前までいったからこそ、喪服で桜と菜の花の中をたたずんでいる主人公の、ラスト同様に
印象深いシーンが示されていたのだろう。とにかくラストに思わず破顔してしまう主人公は心身ともに美しい。
忘れてくれと手紙を書いた彼、自殺して、忘れて欲しくないから、そんな手紙を書いた彼が嫌い。
でも、死ぬ前に別れていたとしても、それで、新しい生き方が出来ない彼女は優しいのか、彼が卑劣すぎるのか。
新しい出会いがある。
愛想笑いが出来ない彼女が好きだと。
最期のラジオの投稿で、新しい出会いの彼の謝りに吹き出す笑いは、間違いなく、明るい未来が見えるような気がしました。
これで、昔の彼の呪いの魔術から逃れる事が出来る。
繊細で、誠実で、思い遣りが溢れている、朝倉あき。
死んだ元彼の親のもとで義理を尽くす、自己犠牲の塊に、その親の無神経に腹がたつとともに、朝倉あきが可哀想で辛くなる。
最期の場面を見て、本当に嬉しかった。
自分の人生は自分だけのものだから、自分らしく生きて欲しい。
また忘れて観てしまうのだろうか。
見始めて、すぐにわかるが、やはり、最後まで目が離せない。
朝倉あきの素晴らしさがここにある。
こんな人がそばに居てくれたら、なんて、想像するだけで、幸せな気持ちになる。