「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督によるオリジナル脚本作品で、古田新太主演、松坂桃李共演で描くヒューマンサスペンス。女子中学生の添田花音はスーパーで万引しようとしたところを店長の青柳直人に見つかり、追いかけられた末に車に轢かれて死んでしまう。娘に無関心だった花音の父・充は、せめて彼女の無実を証明しようと、事故に関わった人々を厳しく追及するうちに恐ろしいモンスターと化し、事態は思わぬ方向へと展開していく。悪夢のような父親・添田を古田、彼に人生を握りつぶされていく店長・青柳を松坂が演じ、「さんかく」の田畑智子、「佐々木、イン、マイマイン」の藤原季節、「湯を沸かすほどの熱い愛」の伊東蒼が共演。
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今最も目が離せない監督・吉田恵輔 × 俳優・松坂桃李!! しかも松坂桃李主演『新聞記者』はじめ昨今の日本映画界を牽引する圧倒的熱量を放つ作品を次々と世に送り出しているスターサンズ製作。この組み合わせは見るしかない!…と以前から注目していた本作。何より古田新太の熱演、強烈なインパクト。演じるのはイカつく、確かに現実世界では関わりたくないような取っ付きにくいキャラクターではあるものの、その分非常に真っ直ぐで、己の価値観・信念のまま決して揺らがない存在感。影では文句も言いながら彼と独特な師弟・信頼関係のようなものを築いていくのは注目の藤原季節。彼も流石の存在感で魅力的。対するは、上述したように最新作が待ち遠しい脂乗りまくりな松坂桃李。こういう役似合いすぎる。そして彼の"理解者"?=寺島しのぶ。一見するとヤバいキャラ・オブ・ザ・イヤー。「正しいんだから!」と正しさを武器に振り回して、善意の押し売りという厄介さ。偽善とまでは言わないまでも、"皆に好かれたい"みたいな似たタイプの人で、以前苦手な人がいたので、いるいる分かると既視感覚えた。
他にも、符号的扱いでなく、それぞれの立場でしっかりと生きている登場人物たち。幾分極端な描き方をされているとしてもリアル。原因と結果、歯がゆく苛立ち憤る。例えばショック話題性や目先の数字に取り憑かれ、自らの見せたい部分だけを切り取るメディアの偏向報道や心無い人々。もちろんどこを撮=取り、編集し、伝えるか等の作業が不可避で、それら主観が入ってしまう時点で避けては通れない問題ではある。が、やはり当人たちが話すべきところを、周囲外野が余計にかき回し本質を遠ざけややこしくする。そうした波紋は悪いほう悪いほうへと予期せぬ形でまた広がっていく負の連鎖みたいに。吉田監督、今回もやはりスゴかった!
P.S.数えていないけど恐らく10回くらい、あるいはもうちょっと、10分に1回くらいスマホの着信音だかバイブだか鳴らしている人がいて、多分1席空いた隣の人だったけど、確信がなく黙っていた。けど腹が立った。まず本人はそれ気にならないのか?なんとも思っていないのか?神経図太すぎるだろ。…なんて思うけど、それはまだ今日というヤバいくらいツイてない日の始まりに過ぎなかったのだとその時は知る由もなかった(続く)
そんな中で、スターサンズの河村光庸氏と2度目のタッグを組み、世に放とうとしているのが今作。メインビジュアルで古田新太の姿を見た方々は、娘を失った父親がどんどんモンスター化していく様を思い浮かべるかもしれないが、それだと既視感のあるものになってしまう。
吉田監督はそんな安直な人ではない。古田の魅力を最大限に引き出すための“生贄”として、いまの日本映画界にとって欠かすことのできない松坂桃李を差し出すというキャスティングの妙にうならされる。
古田新太さんのリアリティにつきる
エンドロールでじわじわ涙が出てきて
止まりませんでした
楽しい作品ではないけれど
いい作品だと思います
スクリーンで見るべき作品だと思います
古田新太さん恐るべし
相対する松坂桃李さんも恐るべし
です
観る側から考えた観る側の人の心に届けるというより
当事者達の心の動きをこう見せたら絶対観る人の心に届くよねという感じ
それぞれの人物の内側が積乱雲のように入り乱れているからこそ出てくる感情の発露にどんどん引き込まれます
宗教があるから許しがあるのではなく、許しを求めて神を作るんだろうと思わずにいられません
地味ぃで、終始皆不幸で、でもちょっとほのぼの。
どこまでも現実的な(ドキュメンタリー的)物語。
重たい恨み怒りがぶつかり合うかと思いきや、複雑な感情が混じり合い、どこに肩入れするでもないそれぞれのリアル。
この猟奇的なお父ちゃんの言ってる事は無茶苦茶でも、なぜか感情としては自然で違和感を感じなかった。
バランスがとにかく素晴らしい。
人の心の救いとは、気持ちの折り合いとは、何とも意外な、まったく予想しない方向からふと、感じるものなのだ、という所に僕の心は持っていかれ、気づいたら終盤、二度涙を零しておりました。
良作です。