「クラウド アトラス」「空気人形」などで国際的に活躍する女優ペ・ドゥナが、2年ぶりに母国・韓国の映画に出演し、「アジョシ」「冬の小鳥」で演技派子役として注目されたキム・セロンと共演を果たした主演作。とある港町の派出所へ左遷された、ソウルのエリート警察官ヨンナムは、母親が蒸発して父親と義理の祖母に虐待されている少女ドヒと出会う。ドヒを救おうと奔走するヨンナムだったが、自身のある過去が明らかにされ、窮地に陥ってしまう。そんなヨンナムを救おうと、ドヒはある決断をする。2014年・第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、日本でも同年の第15回東京フィルメックスのコンペティション部門で上映された(映画祭上映時タイトル「扉の少女」)。監督は本作が長編デビューとなるチョン・ジュリ。
私の少女コメント(19)
少女役のキム・セロン、どっかで見た顔だなーと思ったら、『アジョシ』の女の子ですよ。よその子は知らないうちに大きくなりますねー。
そんなキム・セロンも14歳の少女の役。13歳の娘がいる僕にはちょっとキツイ映画でした。
評論やレビューでは児童虐待問題とか不法就労問題とか村社会とか女性の生きづらさとかの要素が語られますけども、それらは物語に彩りをつけるための添え物のような気はします。
かといって、少女の中の悪魔性を暴いていくサスペンス・ミステリーでもなかったですし、
過去に傷を持つペ・ドゥナが少女との出会いを通して再生していくヒューマン・ドラマともちょっと違うようでした。
僕にとってはこの映画、ラストのペ・ドゥナの“選択”に想いを馳せるための映画だったなぁと思いました。
ラストのペ・ドゥナの選択というのは、何だったんでしょう。
それは、「クソババアを死なせた罪」への対応だと思うんです。
「父親を嘘でハメた罪」は、父親は死んでないし、まぁ自業自得でもありますし、
「クソババアもこういうやり方で死ぬように仕向けたんじゃなかろうか?」と想起させるためのヒントという位置づけなんじゃないかなって僕は思います。映画の見せ場としてはクライマックスでしたけどもね。
じゃあ「父親を嘘でハメた罪」を除外すると、焦点になるのは、
「暴力から逃れるために、人を死なすことまでやっちゃう怪物性」
になってきます。
でもそれはキム・セロンがまだ幼いからで、大人になれば分別もつくだろうという考えもアリではあります。
でも、キム・セロンを怪物にさせたのは誰か?って問題もあるわけです。キム・セロンはペ・ドゥナに出会わなければ、是非はともかく、「虐待される生活がデフォルト」という生き方もできたかもしれません。でもペ・ドゥナと出会い、「普通」を知ったことで、自分ちの「異常」が耐え難くなってしまった。米の味を知ったら麦なんて食えないって話です。
とはいえ別にペ・ドゥナは悪いことしたわけじゃなくて、「普通」なことをしただけでした。
だからキム・セロンの人生を背負う義理はありません。
最初の別れで会いに行った時、ペ・ドゥナには、「少女の罪を知らずに去る」という選択肢がありました。ここでペ・ドゥナの失敗は、「クソババアもあなたが殺ったのか?」と尋ねてしまったことです。
「知った上で去る」のは警官として罪です。罪を見逃すというのは、優しいようで、「償う機会を奪う行為」でもありますね。それでも自分だけの胸にしまっておけば、という思いで去ったのでしょう。
そしたら部下が言うわけです、「ぶっちゃけあの子、何考えてるかわからない、バケモノじみたとこがありますよね。」
自分だけの胸にしまっておけば済む話じゃないって気がつくんです。
じゃあどうするべきなのか?ペ・ドゥナが選択したのは、厄介な者から逃げるのではなく、法の下に裁くのでもなく、キム・セロンの人生を背負うことにしたんですね。
そのペ・ドゥナの根っこにあるものが、正義でも同情でも、なんなら欲情でもいいんです。とにかく少女はあの生活から脱出できたわけです。その結末が少女にとって「幸運」だったのか「計画通り」だったのかは、眠っててわかりませんでしたけれど。
少女の眠る車の外は雨で、晴れ晴れとはしないラストシーンでした。けどその分車の中は、傷ついた者同士の安息感で満たされていたのかもしれませんね。
が、それじゃレビューの意味がないんで少々駄文を綴るとします。
扱っているテーマは虐待と男尊女卑、偏見と低賃金でコキ使われる不法就労者というどれも日本と同様の問題だ。
とてもシリアスな話だがそれを ギリギリ重くなりすぎないものにしたのは、監督の手腕と主演二人の透明感の賜物でしょう。
゛私にも、あの子が怪物に思えたから。
怪物を作ったのは大人達だから。
今救わなければあの子は怪物のままだから ″
最後のヨンナムの決意は感動的だが、果たして立場が同じならあの決断ができるだろうか。
秀作です。
キム・セロンは薄幸な役柄が続いたんで、次はコメディなんか観てみたいねえ。きっとそちらも巧いはず。
主演二人のファンじゃなくても、オススメ。
そして、この後、どうなるのか?
一抹の不安を覚える内容だった…。
何より思春期に入ったアジア世界最強の子役「キム・セロン」氏の魅力に尽きる一本
。
「人の闇」を語らせたら邦画の数倍、逆立ちしても敵わない韓国映画の。
それでもマイルドな分類なのに、胸に苦い…
何より、ロリコンの属性は皆無な自分なのに。
味わうこの背徳感ったら…
もしかしたら韓国でしか作れない映画かもしれない。
けれどもそこの最前線を走る、そのためのど根性を思わずにはいられない作品。
継父からの虐待、継父の母親からも。
母親からと捨てられ…子供のどうしようもない辛さ悲しさ本当に胸が痛む
今も虐待が凄くニュースで報道されてるけど
この映画みたいに誰かが手を差し伸べくれるのを待ってるのかもしれないですね。