ジーン・ワルツ

6.4/10
合計16件のレビュー
ジャンル   プロット
ランタイム   111分
言語   日本語
地区   日本
書かれた   林民夫
劇場で   02月05日 2011
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ジーン・ワルツ プロット

「チームバチスタの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋」などで知られる現役医師作家・海堂尊のベストセラー小説を映画化した医療ミステリー。「約三十の嘘」「NANA」の大谷健太郎監督がメガホンをとり、菅野美穂が主演を務める。帝華大学病院の医師で顕微授精のスペシャリスト・曾根崎理恵は、非常勤で廃院寸前の小さな産婦人科医院「マリアクリニック」の院長代理を務めていた。しかし、大学病院のエリート医師・清川吾郎に、そこで国内でタブー視されている遺伝子技術を用いた代理母出産を行ったという疑惑をかけられてしまう。

ジーン・ワルツ 俳優

ジーン・ワルツ 写真

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ジーン・ワルツコメント(16)

Ismonhkgpsx
Ismonhkgpsx
本作は、産婦人科の医師不足や妊婦のたらい回し、そして医療事故による産婦人科医の逮捕、人工出産による生命倫理など、一通りの産婦人科にまつわる問題点を、問題提起しています。よく2時間のなかで、原作の長大なテーマをコンパクトにまとめて、深く考えさせられました。

しかし本作の一番感動したところは、出産賛歌を貫いて、劇中登場する妊婦たちがひとりの子供も中絶させなかったことです。台詞では、理恵非常勤の医師として勤務するマリアクリニックの院長茉莉亜が語る、胎児に一度は光を見せてあげようというひと言。このひと言で、生まれてきてもすぐ死んでしまう未熟児を宿してしまった妊婦も、堕胎ばかり考えていた未成年の妊婦も、出産に希望を持つのでした。
そして主人公の理恵の、誰にでも出産のチャンスを提供したいという強い思いにも共感できました。妊婦と医師が一体となって、困難な状況のなかでも、出産にチャレンジしていくシーンは、大きな感動に包まれたのです。
だからもし、堕胎しようかどうか、迷っている人がいたら、ぜひ本作を見ていただきたいと思います。
生まれてこようとする魂に罪はありません。子供を堕ろすか、産むかの判断は、両親の身勝手な判断で決めて良いものでしょうか。それは生まれる前から、親子の縁を固く約束されてきたことです。本作の登場人物のように、産めばそこに大きな希望が花開いていくのです。菅野美穂も本作を演じてみて、無性に子供を産みたくなったそうです。
どうか本作がヒットして、一人でも多くの女性の方が、子供を産む勇気と希望を掴んでいただきたいし、水子となる魂を無くしたい、そう強く小地蔵は願います。
本作の台詞に、「出産には奇跡が起こる」ということも語られます。そんな神秘も味わっていただければと思います。

本作ではなんといっても主演の菅野美穂の演技が素晴らしかったです。代理出産に向けて秘密を隠している前半では、何か隠している怯えた表情。そして、代理出産に取り組みを具体化させる中盤では、使命感を感じさせる思い詰めた表情。そして、全てを成し遂げる後半では、希望に満ちあふれれ、慈しみに溢れた表情に変わっていくのです。その
演じ方の変化のなかに、理恵が目指した代理母出産の置かれた状況と、自分の立場の相克が見事に浮かび上がっていったのです。

現状では、日本では代理母出産はできません。それは産婦人科学会の自主的な倫理規定が、禁止しているからです。けれども理恵には、納得できません。なぜなら理恵自身、ガンで子宮摘出してしまった体だからだったのです。「産みたい人に産ませたい」とは、理恵本人の切実な願いだったのです。学会が変わるのを待っていられない理恵は、好意を寄せる同僚の医師清川准教授の制止を振り切って、学会に反逆。代理母出産に向けた「実力行使」を行っていたのでした。その方法とは、想像を絶するウルトラCだったのです。
こんな複雑な状況に置かれた理恵の心理を、的確に菅野美穂は演じきっていました。
それにしても、自分の子供の代理出産を目指した理恵ではあったのですが、清川の父親は好きな人なのか?という問いに頷いていました。じゃあどうやって、その「好きな人」から精子を気付かれずに採取したのか、疑問です。気がついた人は教えてください(^_^;)
さて本作の舞台となるマリアクリニックには、5人の妊婦が通院していました。ひとりひとりの出産シーンでも感動的だったでしょう。けれども本作では、妊婦たちが終盤でまとめて陣痛のため、クリニックに押し寄せることで、ドラマに一波乱を起こさせたのです。しかも台風一過で停電。強風で診療室の窓が割れて診療不可に、さらに看護婦は電車が止まり通勤不能に。こうした状況下で、理恵と清川の二人だけで、帝王切開を含む妊婦の出産に対峙しなくてはいけなくなりました。
このどうにもならない状況のなかで。登場するのが「奇跡の助っ人」。綱渡りのようなラストの出産ラッシュシーンは、困難な状況を越えて生まれてくる生命の強さにとても感動しました。
こんな緊迫したシーンなのに、被る音楽が素敵なのです。ゆったりと刻まれるワルツのテンポは、まるで永遠の生命を貫くジーン(遺伝子)の女神の息吹が脈々と流れているかのようでした。

最後にこれだけの内容のある原作を上手く詰め込んで、なおかつ登場人物の心理描写も巧みに浮かび上がらした大谷監督の手腕は、なかなかのものです。『NANA』から間が空いてしまっていましたが、なるべく早く次回作も見てみたいものだと願います。