クロッシング・ガード
プロット
アメリカ
01月01日 1900 劇場で
バーバリー・コースト
プロット
アメリカ
03月12日 1936 劇場で
モスキート・コースト
プロット
アメリカ
02月07日 1987 劇場で
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コースト・ガードコメント(2)
男女の極限まで追い込まれた緊張状態をテーマに、スリリングなファンタジーを描き出す事を得意とするキム・ギドクが戦争に挑む。朝鮮半島の境界線上を舞台とすると聞いて、単純に戦争の無常さ、悲しさを表現するとは思えなかった。観賞してみたところ・・・やはり、一筋縄ではいかない曲者戦争作品に仕上がっていた。
朝鮮半島、韓国と北朝鮮の分断線において警備に当たる軍隊。その緊張とは対照的に、侵入者はなかなか現れず、兵隊達の鬱憤は最大限まで高まっていた。そんな中で起こる、一つの誤射事件をきっかけに、バランスを保っていた軍隊は静かに、確実に破滅に向かっていく。
とにかく、戦争映画と聞いて深刻な歴史絵巻を想像された方、まずはその先入観を捨てていただきたい。
血気盛んなチャン・ドンゴンのキレっぷりを筆頭に、人間の本性、欲望の爆発を、観客をいかに物語に集中させ、楽しませるかを第一に考え尽くされ、描かれる。常識外れの展開と、まさかのエンディングはもはや、戦争ドラマであることを忘れ、喜劇の域に達している。
男臭さは、桁違い。女性の繊細な駆け引き、情念を見事に引き剥がし、泥と汗が溢れ出す男の園が華麗に構成されている。チャン・ドンゴンの甘いサスペンスを観たい方には、自信を持って勧めない。
怒涛の喧嘩と、嘘くささ。これぞ韓国のガチンコ肉体映画。残念な事に、チャン・ドンゴンは汚れている。泥にまみれきっている。でも、格好良い。
カン上等兵(ドンゴン)は血気盛んな兵隊。スパイを撃ち殺してやると燃えていた。顔には迷彩色で化粧して、持ち場を離れてでもスパイを撃とうと身構える。昼にレクリエーションを楽しんでる兵をよそに彼一人だけ畑に潜んでたりするのだ。誤射して殺してしまったカンは村人からも殴り蹴られるなどの暴行を受け、罪悪感から精神に異常をきたす。恋人を殺されたミヨンも精神がおかしくなり軍の近くで奇行を繰り返す。
通常業務不可能と診断され、兵役半ばにして除隊となったカン。しかし、彼の精神異常は重症で、軍服を着て舞い戻ってくる。隊の中でもミヨンと関係を持ったものが多数出てきて、彼女を妊娠させてしまう。彼女の兄も暴れるし、外には武装したカン上等兵。コーストガードもボロボロの状態となってしまう。
毎度のことながらギドク映画は予想がつかない。狂人兵士と狂人。いや、民間人だって、規則違反を犯したわけだから、罪がないとは言えないところがミソ。みんなどこか狂わせてしまう37度線。軍部批判とまではいかないけど、人を殺してしまうことの罪深さや正常と精神異常の境界線を絶妙なバランスに仕立て上げている。そして階級の差や、兵と民間人の境目。些細なことが発端となって、人間は常に狂ってしまう弱い動物だということがわかる。
ラストシーン。一等兵を殺そうと基地の周りをうろついているかと思われたカンはソウルの街の中で群集に囲まれていた。なんともやるせない・・・