ジョンQ 最後の決断 プロット

息子の命を救うため病院の救急病棟をジャックする男を描いた社会派サスペンス。監督は「シーズ・ソー・ラヴリー」のニック・カサヴェテス。撮影は「クイルズ」のロヒール・ストッフェルス。衣裳は「ワンダー・ボーイズ」のベアトリス・アルーナ・パストール。出演は「トレーニング・デイ」のデンゼル・ワシントン、「シックス・デイ」のロバート・デュヴァル、「サンキュー・ボーイズ」のジェームズ・ウッズ、「6デイズ/7ナイツ」のアン・ヘッシュ、「ブロウ」のレイ・リオッタ、「愛されし者」のキンバリー・エリス、「ヴァージン・ハンド」のエディ・グリフィン、「地上より何処かで」のショーン・ハトシー、これがデビューの子役ダニエル・E・スミスほか。

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ジョンQ 最後の決断コメント(17)

pifiur
pifiur
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アメリカの医療保険制度が映画の中で根本的な問題だと思います。裕福な家庭や貧しい家庭もあり、保険に加入できない人も現在でも多くいるのがアメリカです。

「医療にはお金が掛かる」

病院経営者レベッカが映画の中で何度か言った言葉です。決して嘘でも軽い断り文句でもなく、人の命を助けるには治す為の機材・器具・薬を揃える為、治す人を雇う為にお金が掛かります。

ここからネタばれです。

主人公ジョンと妻デニースの大切な一人息子マイクが心臓病で倒れ、移植手術をしないと助からない事態になりました。突きつけられた多額な手術代・医療費・ドナー登録費。彼等は友人の助け・家具の売り出し・そして様々な機関に助けを求めます。

その中で職場で加入していた保険が会社の都合で労働時間を削られた時に加入内容・雇用契約まで勝手に変えられていた事が判明し受けられる保険料が少ない事が判明しました。それでも頑張ってかき集め25,000ドル(300万円くらい)の支払いまでしていたのですが病院は強制退院をさせようとしました。

つまり、病院はもう息子の命を助けないと決めたんです。(総費用250,000ドルが必要でした)病院はお金とマイクの命を天秤にかけ、21万51千ドルの未払いを鑑みて強制退院させる事を選んだのです。

※ちなみに最近は知りませんが、この映画の頃はアメリカで自己破産する人の多くに医療費が関わっています。オバマ政権になって弱冠変わったようですが。まだまだ問題点はあるそうです。

病院からの強制退院通告に動揺してしまう妻デニースが、ジョンに助けを求めました。頑張ってきたのに報われず一人部屋で悩むジョン。そして、ある決断をし病院にいる心臓外科医のターナーを訪ねます。

ジョンはターナーに強制退院にならないよう、協力してほしいと話しました。ここでの言葉は、父親として必死なジョンに惹かれた場面でもあります。

「調べたんだがこの病院では年間300件もの心臓手術が行われている・・・なのにたった1件、息子の手術をできないのか?俺は既に2万5千ドルを病院に払った。時間が掛かっているが残りも必ず払う。神に誓い俺の人生全てを懸けて払うと約束する。だから頼む。」

しかし、ターナーは自分には権限もないし勘弁してくれと断ります。その言葉を皮切りに、ジョンは銃を片手に病院を占拠してしまうのです。病院には多くの傍観者と警察が集まりました。

目的は息子の心臓移植手術を実現する為です。

占拠と一緒にターナーを含めた人質も取りました。中には妊娠中で出産間近の女性と旦那のカップルもいて、拘束中に出産する事になりました。初めての出産に不安そうに待つ旦那にジョンは話しかけます。旦那は「どんな子が生まれてきても、元気で健康に生まれてきてくれたらそれだけで良い。」とジョンに言います。

同じ父親としてなのか、息子を思い出したのか、ジョンは言葉を詰まらせ涙腺が緩んでいました。

警察からはベテランのフランク・グライムズがジョンの説得に当たっていました。彼自身も本当にジョンが悪い人間なのかと疑問を持っていた一人です。そしてここから様々な人間達の言葉が作品を色濃くしていきます。

警察の調べに対し、レベッカは毅然とした態度で話します。

レベッカ
「重篤患者はジョンの息子だけじゃない。HIVの患者がいる現場に行った事はありますか?とても酷いものです。世界では毎日誰かが病気で死んでいます。私は毎日そのような現場で決断をしなければいけません。事実この国に保険に加入できていない人が5000万人もいるんです。それをまず改善するべきではないのですか?そして医療にはお金が掛かるんです。」

確かにその通りで、これはジョンに限った話ではないです。レベッカ程の人間なら経験も知見もあるが故に単純明快な世の中ではない事を知っているんでしょう。

テレビのインタビューでは、ジョンの友人でもあるジミーが話します。

ジミー
「率直に言うと、全てに腹が立っている。最低だ。こんな状況は避けられた筈だ。ジョンがもし金持ちだったらね。まあ、彼はそこには執着していない人だから・・・彼は解っていないんだ。世の中は彼の思いなんて尊重していない。大切なのは『価値』なんだ。持つ者、持たない者、色の違う者同士、病院内でも相手にされる者、されない者がいる。そして25万ドルを払えない人は大勢いるんだ。そういう者を追い詰めようとする世の中なんだ。俺が思うに、世の中で何かが間違っていると思う。何かは分からないけど・・・ただ俺はお前(ジョン)の味方だぞ。」

ここは友人の大切さを象徴するようなシーンで現代人の核心に触れていた気がしました。

病院内では人質の一人であり若手医療スタッフのスティーブがジョンのある問いについて答えます。ジョンはターナーに「毎年健康診断を受けていたのに何故息子の心臓病は発見できなかったんだ?」と聞きます。ターナーは「検査の不徹底が原因だろう」と言いました。そしてスティーブが更に入り込んだ話をします。

スティーブ
「HMOという保険組合に入ってるんでしょ?HMOは医師に余計な検査はさせない。コスト削減の為だ。精密検査が必要でも医師は黙ってるんだ。HMOの意のままに動いているとクリスマスになって医師はHMOから多額のボーナスがもらえる。重傷者がきても金がなければちょっとの対応で後は患者を追い出す。バンドエイドのような応急処置だけだ。」※HMOは実際にあります。

その後、警察のガス・モンロー本部長が水面下で計画していた強行突破がフランク刑事の反対を押し切って実行されます。

しかし強行突破計画がジョンにバレてしまいジョンを射殺しようとしたスナイパーは返り討ちに遭います。ジョンはフランクに怒り、こう訴えます。

ジョン
「息子はもう死にそうだ。助けが必要なんだ。」

フランク
「気持ちは解る。男らしく生きる為には辛い時代だとも思う。だが銃を下ろして投降した方が良いジョン」

ジョン
「話を聞いてないのか!俺の息子は助けが必要なんだ!それだけだ!もし病気になったら皆助けるべきじゃないのか?病気なら助けろ!俺は息子の葬式なんて絶対しない!息子が俺の葬式をするんだ!」

ここは海外でも評価される程の名台詞です。

そしてジョンは「息子をここに連れてきてくれたら皆を解放する。」とフランクに言います。ここまでのジョンとの対話で彼を信じるフランク。息子を病院に連れて行きます。

病院内ではターナーが息子マイクの状態を診てはジョンに言います。

ターナー
「とても危険な状態だ。すぐにでも手術をしないと助からない程に。」

そしてジョンは驚きの提案をします。

ジョン
「俺の心臓を息子へ移植してくれ。俺はここで自殺するから。」

ターナー
「何を言ってるんだ?簡単な話じゃない、血液検査や心臓のサイズ、様々な条件が揃っている状態で初めて手術ができるんだ。」

ジョン
「心臓移植できる事は知っている。今言った事は既に前から検査している。マイクの心臓のサイズも通常の3倍なら俺のも入る筈だ。」

人質のレスター・マシュー
「よく聞いてくれジョン。この状況は最悪だ。でも自殺なんてするな、受け入れよう。」

ジョン
「受け入れるって何をだ?」

ターナー
「マイクの死だ。」

ジョン
「嫌だ!絶対に受け入れない!頼むよターナー。」

ターナー
「気持ちは解る。でもそんな事は倫理に反し常軌を逸している。」

ジョン
「常軌を逸している?それはこの状況、この世の中のシステム全体だろ!俺は息子を助ける為だったら何だってする!息子は生きるんだ!」

ジョンの説得に、なんとターナーは手術をする事を決意します。「使える心臓を無駄にしない」とも言うターナー。

その後、ジョンの銃には弾は一発も入っていなかった事、彼は1発の弾を別に持っていただけでそれはこの時の為だという事が判明しました。

人質を取っていたにも関わらず、これらの事実やそれまでのジョンの言動で彼等全員が最終的にはジョンの味方になっていた事。これこそがジョンが人格者であるという証拠です。映画ではありますが、心にきた光景でした。

そして意識が朦朧とするマイクの元へ行き優しい声で話しかけます。

マイク、心臓を持ってきた。お前の守護神のおかげだ。今からお前に話したい事があるんだ。よく聞いてくれ。お母さんの言う事はいつも聞くんだ。彼女はお前の一番の理解者だ。毎日愛していると伝えなさい。お前に彼女ができるのはもっと先になるだろうけど、できたらお姫様のように扱いなさい。何かをやると決めたり、何か約束をしたら必ず守りなさい。大切なことだ。チャンスがあったらお金儲けもしなさい。お父さんのように貧乏で苦しくなるな。人を押しのけてでも良い。お金があれば思い通りになる。タバコは吸うな。人に親切にしなさい。誰かが助けを求めたらベストを尽くすんだ。悪い人達とは付き合うな。頼むから。これから希望に満ちた素晴らしい未来がお前を待ってる。楽しい事も沢山ある。ずっと見守ってる。ずっとお前と一緒だ。ここにいる。(ジョンは手をマイクの胸に当てました)

ジョンは抑えきれない涙を流しながらマイクへ思いを伝え離れて行きました。

そして別室で自殺を図りますが、慣れていないせいかトリガーが掛かった状態でやった為に少しのロスが発生し、妻デニースが突然病院に駆け込みました。息子の心臓が見つかったという事、手術を受けられるという事実を伝えられました。

実はこれらのやりとりの間にデニースはレベッカからドナーを登録してあげるからジョンを説得してくれと言われていました。デニースはレベッカの言葉を信じ病院まで走ったのです。

その結果ジョンは死なずに済んだだけでなく、別の心臓をマイクの為に使用できる事となりマイクの命は助かりました。

※冒頭では割愛しましたが、実は映画の最初にある車が衝突事故を起こし亡くなった運転手から検出された心臓がマイクに適合するという事が映画の途中から分かるようになっていました。その心臓が奇蹟的なタイミングでマイクに適合すると判明し間に合ったのです。

ジョンは人質になった人達を含めて様々な人達から支援をしてもらいましたが、結果的に病院占拠は無罪放免となったものの人質を取った事で有罪判決を受け最低でも2、3年以上と見られる服役を余儀なくされました。

そして法廷を離れる際、

人質だったレスター・マシューが「お前は俺のヒーローだ」と伝え、

息子のマイクは「ありがとう」と言い、大好きなボディ・ビルダーのポーズを見せて物語は終わりました。

展開としては色々と細かい事を抜きにしていますし、ストーリーや推理性などの仕掛けが施されてきた昨今の作品に比べてシンプルな映画です。矛盾もあります。しかし、とてもシンプルな問いかけをしている作品です。

この作品を観た時に、当時の私には父親になりたいという気持ちが芽生えました。そして自分のベストな映画の一つになった事にとても感謝しています。

また、一部の否定的な意見、タラレバ等は本当に無意味に思えます。この作品はその時に関わった人間達の背景・経験からタラレバで語れるような次元の話ではないのです。映画ではありますが一瞬の判断から出てくる言動に人格も混ざって素晴らしいものになっているんです。否定的な意見の殆どは、合理的じゃない、身勝手というものばかり。人生経験の無さ、人を信用していない面、本当にそれに直面した時に出る人間性についてよく考えられないのは、論理的で完璧主義、ルールを作るのが大好きだけど柔軟性の無い日本人によくありがちな事だと思います。

逆に感動していた人達は本当にラッキーだと思います。この映画には日常的に抑えられた本来大事にしていたものを呼び覚ましてくれる要素があるからです。

皆さんの大事な人がもし命の危険に曝される時に、隣の人間の道徳観や倫理観に正されて行動を止めますか?

ジョンはヒーローになろうとしたんじゃないんです。

ただ息子を助けたかった。それだけなんです。
Smokgpxishn
Smokgpxishn
極論ではあるが父とはこうあるべき、と伝えられた気がした
金がすべて、名誉、地位、保身に渦巻く世の中に貧しいながらも全力で訴えかけ、ただ息子を救いたい心優しい男のはなし
ずっと語り継がれるべき名画です

デンゼルワシントンここにあり この作品で彼を知りましたが素晴らしい名優
子役も大変いい演技で引き込まれた