失踪した娘の捜索を依頼された私立探偵が、調査をしているうちに、麻薬密売組織にぶつかり生命を狙われる。アラン・ドロンの出演第61作目に当り、彼が製作し初めて監督を手掛けたサスぺンス・スリラー。彼とクリストファー・フランクが、ジャン・パトリック・マンシェットの77年作“ Que d'Os”(翻訳題は映画と同じ『危険なささやき』、ハヤカワ・ミステリ文庫)を脚色した。撮影はジャン・トゥルニエ。音楽担当はクレジットされてない。クリスタル・ゲイルの「瞳のささやき」、ニール・ダイヤモンドの「セイ・メイビー」などが挿入されている。出演はドロンの他に、アンヌ・パリロー、ミシェル・オークレール、ザビエル・デプラスなど。不動産業者の地産の第1回配給作品で、東映ユニバースフィルムが配給協力に当たっている。
危険なささやきコメント(1)
ストーリー: 70
キャスト: 75
演出: 65
ビジュアル: 70
音楽: 65
アラン・ドロンが主演だけでなく製作・監督も努めた作品。全体的にハード・ボイルド路線な犯罪映画でそれなりに見れる。
だがハード・ボイルド路線はいいのだが、その雰囲気を出そうと意識しすぎているのか演出がちょっとわざとらしい。男と女・わざわざ高速を逆走するカーチェイス・スーツ姿の殺し屋の襲撃とあまりにお手本どおりのように進めすぎたのか、80年代の映画なのにそれ以上に古いハード・ボイルド映画のようにも感じた。
「ニキータ」で主演をしたアンヌ・パリローがヒロイン役で出ている。ちょっとだけ謎めいてちょっとだけ小悪魔的な役柄をやっていて、ニキータのときの印象があまりに強くてそのときと雰囲気が違っていて全く気がつかなかった。バレーで鍛えた若い細身をおしげもなくさらして、こういう正統派なヒロイン役もやっていたんだと少し驚いた。彼女の存在が映画に花を添えた。