プライベート・パーツ(1972)

6.8/10
合計15件のレビュー
ジャンル   プロット
ランタイム   87分
言語   英語
地区   アメリカ
俳優   ルシル・ベンソン  
劇場で   01月01日 1900
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プライベート・パーツ(1972) プロット

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プライベート・パーツ(1972)コメント(1)

magjoet
magjoet
『デス・レース2000年』で知られるポール・バーデル監督の輝ける処女作。製作はジーン・コーマン(ロジャー・コーマンの弟君ですね)。同名の映画として、有名DJのハワード・スターンの自伝映画(97)もあるが、完全に別物である。
「プライベート・パーツ」というのは、デリケートゾーンとかといっしょで、口、胸、性器、尻の婉曲表現だ。これが、単に劣情をそそるための雰囲気タイトルかと思いきや、さにあらず。観終わってみれば、なかなかにいいタイトルだと思う。

冒頭いきなりのセックス・シーン! それをカーテンの影から覗き見する不審者。
出だしから、貧乏くさいB級感で鼻腔がみたされる。
うーむ、この70年代の場末映画館の臭気。たまらん。

見とがめた彼氏のほうが、不審者を引きずり倒す。
実は、この不審者のほうが今回のヒロイン、シェリルである。
スキニーで腺病質な感じのうぶな少女だが、性的なものにはいたく関心があって、セックスにうつつを抜かすブサイクなルームメイトを覗き見してはハアハアしてるらしい。
いい加減にしろと騒ぐ友人とのあいだで大喧嘩になり、海辺のシェアハウスから勢いで飛び出したシェリルは、おばのマーサが経営する街のおんぼろホテルに転がり込む。
最初難色を示していたマーサおばさんも、数日の逗留ならと態度を軟化させ、シェリルは3階の空き部屋をあてがわれる。

このホテルがとにかく怪しさ満点。
似非紳士に、謎めいたカメラマン、飲んだくれの巨漢に、くるった宗教家、認知症の前家主……。
どいつもこいつも、うろんなことこのうえない。
マーサおばさんも、一見厳格で堅苦しい未亡人といった風情だが、じつは白ネズミをペットとして偏愛し、新聞の訃報記事を切り抜いてはカメラをかかえて葬式めぐりをしているかなりの変人である。彼女が葬式ハントを趣味にしているのは、「肉体は魂の牢獄であり、そこから魂が解放される瞬間は尊い」かららしい。
対するヒロインのシェリルのほうも、負けていない。
序盤こそ、ダリオ・アルジェント映画に出てくるような細身の清純派少女に見えるが、映画が進むにしたがって、冒頭から明示済みの覗き見趣味を徐々にエスカレートさせ、中盤からは合いカギをつかってほとんどやりたい放題(笑)。さらには「覗かれ趣味」のほうも開花させ、だんだんと「女」へと生まれ変わるなか、彼女はあらたな危険な「遊び」に目覚めてゆく。
本作は、そういった奇妙でビザールなホテルの住人たちが繰り広げる、「ザ・変態」映画である。

映画の宣伝でもはっきり名前を出しているので敢えて隠さないが、本作がアイディアやプロットなど多くの部分で『サイコ』の影響を受けているのは、ほぼ疑いようがない。
ただ、メインテーマについては、むしろそれと同じ年に海の向こうで撮られたもう一本のジャンルの始祖的作品(敢えて名前は伏せる)からの影響のほうが大きそうだ。
まあ、お話の部分にあまり触れると興をそぐから、これ以上は言及しないが、ばかばかしいB級スリラーに見えて、実はものすごく深遠な肉体と精神にかかわる思想と実験が展開されている可能性もないとはいえないので、ゆめゆめ油断せずにご覧になるといいだろう。

キーワードは、「窃視」と「倒錯」。
「抑圧」や「改変」もつけ加えていいかもしれない。
じつは、とても現代的なテーマを包含する映画でもあるのだ。

とにかく、特定のシーンにおける、異常なまでのフェティッシュなこだわりは素晴らしい。
作品の大半が、ゴミと、凡庸さと、素人演技でできているのに、いくつかのシーンだけで伝説に残る。そんな映画である。
とくに、某登場人物が、水(お湯?)でビニル製のラブドールを膨らませていくシーンの、粘度の高い描写! これなんかは、本当に属性を超えてぐっとくる。
なんか、しぼんでたジャニーズのスケスケ衣装みたいなビニルの皮が、だんだん膨らんでいくんですよ、水の注入とともに。
ぼこっ、ぼこって出っ張りが徐々に飛び出して、生き作りのエビみたいにのたうちながら。
しかも、その最後の仕上げは、「血分け」。 なんて美しいんでしょうね!
無機的で中性的だった物体が、文字通り「命」を吹き込まれ、性的でフェティッシュな存在へと変容してゆく。その過程は、あまりに煽情的で、どこまでも神秘的だ。しかも、「外皮と魂」というテーマは、実は本作の重大なテーマとも通底している。本当に侮りがたい。

その他、異様なオブジェで埋め尽くされた狂牧師の部屋とか、エロティックな写真で装飾されたスイートルームとか、びっくりするくらい薄汚いシャワールームとか、その横にあるさらに薄汚い覗き部屋とか、舞台美術の凝りようは、結構ただごとではない(コーマン一派の映画って、こういうところは凝るんだよね)。

しかもこの映画、実はミステリーファンなら垂涎の大ネタが仕込まれている。
終盤、まさに「驚きの」というしかない、とある真相が露見するのだ。
その衝撃はメガトン級。僕は、まったくの不意打ちをくらったうえ、しかもそれは本作の根幹にかかわるものだったので、大いに驚倒した。
とはいえ、このギミック、フェアといえるものでは到底ない。「やられた!!」ってよりは、椅子からずり落ちながら「なに考えとんねん、アホかこいつwww」と爆笑するたぐいのネタである。
なので、あんまり期待しすぎないように……でもお楽しみに!
(前例をあげるだけでネタバレになるのであえて挙げないけど、このネタでうまくいっている名作ってのもいくつかあって、それらはきちんと「映像上」そのネタと向き合っている。本作はまったく向き合っていないどころか、盛大にズルをしている)

出来としてはロジックはゆるいし、スラッシャーとしては拍子抜け(規制がかかったのか、あちこち残虐描写が不自然にカットされている気配がある)。誰が犯人かあまり隠す気がないわりに、最後まで見ても誰がなんの役割を果たしていたかよくわからない。回収されないほのめかしや伏線もたくさんあって、なし崩し感は半端ない。正直、たいした映画ではない。

でも、ジャンルの愛好者にとっては、必見の怪作、珍作だ。
機会があれば、ぜひごらんになってほしい。