ポビーとディンガン プロット

英国北部を舞台に生活苦からストリッパーになる男性たちを描いたコメディ「フル・モンティ」のピーター・カッタネオ監督が、ベン・ライスの同名小説を映画化。オーストラリアの田舎町で暮らすアシュモルとケリーアンの兄妹。ケリーアンにはポビーとディンガンという空想上の友だちがいたが、彼女はある日、彼らがいなくなってしまったと言って元気をなくしていく。兄アシュモルは空想上の存在と知りながらポビーとディンガンを探すのだが。

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ポビーとディンガンコメント(1)

poprya
poprya
オパール鉱山という珍しい舞台設定。乾いた空気、埃っぽい岩地に青い空。この独特な雰囲気の町そのものがファンタジーを感じさせてくれます。この手の映画では空想上の人物自体がファンタジーとなりがちですが、かなり現実世界を重視しつつ「信じることの大切さ」を謳っている内容でした。

空想上の人物、ポビーとディンガンが突如いなくなってしまったと心配になる妹ケリーアン。存在を信じているわけでもない家族も懸命に捜索するのですが、他人の鉱山を荒らしたとして父親が訴えられる。オパールを盗ったという事実がなければ不法侵入の罪だけのような気もしたのですが、大多数の町の人々は住人となって間もない家族をいじめ抜く。もしかすると、ポビーとディンガンが実在の人物として現れてこれを解決するのでは?と、ありきたりな展開を想像していると、意外な展開を見せてくれて、心が和んでしまいました。

妹を真剣に思い遣る幼い兄ちゃんもいいキャラでしたが、イジメや報復といった問題もさらりと味付けして、空想に浸る9歳の少女に優しく現実へと目を向けさせる方法がもっと良かった。まるでカウンセラーの教則本のような最適の選択でした。裁判が行なわれたのは田舎町の簡易裁判所なのでしょうか、扇風機がカラカラと回り、暑そうな室内で住民たちも熱くなり、窃盗や不法侵入といった争点がいつのまにか「少女ケリーアンがポビーとディンガンの存在を信じているかどうか」という争点に変化していきます。映画史上、最も和む法廷モノ映画と言えるのかもしれません。

それにしても子役が素晴らしかった。スーパーの店長夫妻も良かったし、突然弁護士になったオパール加工のおっさんが素敵でした。