ニューヨークを拠点に活動し、本作が長編デビュー作となる福永壮志監督が、ニューヨークとアフリカを舞台に描く移民の物語。シスコはリベリア共和国のゴム農園で働きながら、家族を養っていた。過酷な労働環境改善のため、仲間たちとともに立ち上がるが、状況は一向に変わる気配がなかった。そんな折、シスコはいとこのマービンからニューヨークの話を聞き、より良い生活のために愛する家族をリベリアに残し、単身アメリカへ渡ることを決意する。ニューヨークのリベリア人コミュニティに身を置き、タクシードライバーとして働き出したシスコは、移民の現実に直面しながらも、多種多様な人が住み、騒がしい都会での生活に少しずつ順応していく。しかし、予期せぬタイミングで元兵士のジェイコブと再会したシスコに、リベリアでの忌々しい過去がよみがえってくる。
リベリアの白い血コメント(8)
過酷な労働と貧しい生活から何とかしようとアメリカに渡ったものの、そこで遭ったのは同じような貧しさと世間の厳しさ。
移民の大半は豊かさと希望を求めて異国へ向かうが、そこで得られる賃金も僅かばかりで本国で暮らしているような大変さが窺える。唯一良い点は安全さだろうか。
しかし本国の人間は移民となった人間に妬ましさを覚える。きっとアイツは稼げているに違いない。大金持ちだ。そうしていつか機会が訪れれば移民となるのだろう。
異国で暮らすこと、また本国に対するジレンマがこの作品からは感じた。
1日16時間も労働しても暮らしは貧しく、アメリカンドリームという程大きな野望がある訳でもないけれど、少しでも良い暮らしが出来ればというのは無茶なのか。
アメリカでも同じぐらい働いて仕送りをし、人と深く関わりを持たない様にする主人公が幸せである様にはみえなかった。
マリアとジェイコブの件はわかりやすいけどちょっと極端な感じがして、もう少しストイック寄りでも良かったかな。
反面、本当にこれを日本人監督が撮ったんだ、すごいな、と思ったのは、俳優陣が魅力的なところでした。特に主人公の妻役の女優さんが素晴らしかったです。