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ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶コメント(13)
米軍基地は日本軍の基地であった。
戦争は人を殺す。
人を守らない。
本作は言うまでもなく、1945年3月から6月に沖縄諸島で展開したアジア・太平洋戦争最大の激戦を、膨大な当時の記録映像と生存者の証言で綴っています。主に米軍が撮影した記録映像はカラー映像も多く含まれており、そこに写しこまれた光景は悲惨の一言に尽きます。作品冒頭では、イメージカットがやたら多いな、とかワイプの入れ方などの技法がちょっと古くさいな、などとも思っていましたが、「対馬丸」の生存者の証言が始まると彼らの言葉、映像から目が離せなくなりました。
証言者の多くは当時沖縄でごく普通の生活を送っていた人々です。
沖縄では民間人だけで約9万4000人が死亡し、これは全島民の約三割に相当します。その中には、もちろん戦闘に巻き込まれた死者も含まれます。しかし多くの人々が証言するのは、彼らがかつては「友軍」と呼び、少年達にとっては憧れの存在であったはずの日本兵による、食料略奪、防空壕からの強制退去、そして集団自決の強要による死でした。日本兵に要求され、母親が本心では守りたいはずの子供達を自ら手にかけ、絶望の中で命を絶った証言などは、到底涙なくして観ることができません。
沖縄戦での民間人の犠牲としては、学童疎開「対馬丸」の撃沈事件やひめゆり学徒隊の集団自決などが特に有名ですが、本作ではひめゆり学徒隊の生存者の証言がなく、この点は少し不思議でした。そうした本作が「語らなかったこと、語り得なかったこと」を考えることも、大きな意味があるかも知れません(なおひめゆり学徒隊を題材とした作品は、ドキュメンタリー映画『ひめゆり』[2011]などが複数制作されています)。
なお、ナレーションは宝田明さんが担当されています。終戦時の混乱の最中、満州で一命を取り留め、その後平和について発信し続けている宝田さんが担当されている意味は、非常に大きいです。
本作を通じて、ハリウッド映画、特に『ハクソー・リッジ』が民間人の犠牲を殆ど描かなかったことで、沖縄戦の意味がどのように改変されたのかが痛烈に理解できました。
これだけの地上戦やって、占領されて、
“特別の御高配”はどうなった?
責任取らず、約束も守らない。
こんな大人たちの姿を子供が真似しないようにしないと。
裁判にまでなった集団自決はなかった!
全くの強制死だったのがわかった。
為政者が歴史を書き換えてたんだ!
こんなに酷いこと、というより、無意味な辛い出来事を仕向けた人はここに映らない。それが憎い。
これは教育の生んだ悲劇であり、都合よく教育されないようにしないといけない。
生き延びる道はあったのに、それを阻んだものが何だったのかを今一度考えてみたい。