ライディング・ザ・ブレット プロット

モダン・ホラーの帝王スティーヴン・キングが1999年に交通事故で重傷を負い、臨死体験を経て生まれた短編小説を基にしたホラー映画。監督は、「スリープウォーカーズ」やTV映画『シャイニング』などで、何度もキングの映像化作品を手がけてきたミック・ギャリス。キング・ファンにはニンマリできるようなお遊び場面もあり。

ライディング・ザ・ブレット 俳優

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ライディング・ザ・ブレットコメント(1)

Elldnfhelpu
Elldnfhelpu
久々に、勝手にスティーヴン・キング特集その14!
今回はB級ホラーテイストの強いロードムービー
『ライディング・ザ・ブレット』を紹介。
監督はテレビ版『シャイニング』をはじめ、
キング原作映画化を数多く手掛けたミック・ギャリス。

舞台は1969年。
大学のキャンパスライフを楽しむ主人公アランの
元に、母親が急病で倒れたとの報せが入る。
金のない彼はヒッチハイクで故郷の病院を目指すが、
そんな彼の行く手を次々と奇妙な出来事が妨げる。
ハッパでハッピーなヒッピー、情緒不安定なじいさん、
銃をブッ放すイカれた連中、とっくに死んだはずの父親、
そして最後に現れる死神もどきの存在は、
アランにとある究極の選択を迫ってくる。
果たして彼は母親の元へと辿り着けるのか。

主人公は「人が死ぬのなんて当然だ、命なんて
そう重くもない」と考えているような人間。
ニュースや物語で“死”を見聞きしただけで
“死”を理解したつもりになっていて、
“死”を恐れない醒めた姿勢を自分のスタイル
(言い換えればクールな所)と考えている節がある。
そんな彼が、この一夜を通して様々な“死”に直面する。

こう書くと深刻で恐ろしい物語のようだけど、
(まあ僕が書くと何でも深刻な内容っぽくなる気がするけど)
実際は“怖い”というより奇怪だったりブラック
なユーモアを感じさせたりでいかにもキング的。
『B級やねえ』と軽めに笑いながら鑑賞できる内容だ。
次々現れるクセの強い人物たちは面白いし、『タイム・
オブ・ザ・シーズン』『インセンス&ペパーミント』等の
ザッツ・'60sなステキなナンバーもガンガン流れて楽しい。

だが、主人公が行った選択が意外な方向に
転がる終盤で、物語の印象が一気に変わる。
人によってはひっそりとしたオチを拍子抜けに感じる
だろうし、最後の最後に若干『スタンド・バイ・ミー』
風味になるのを観て「あっちを意識してます?」
と穿(うが)った見方もしてしまうかもだが、
それでも僕はこの終盤に泣いてしまった。

奇妙でオフビートだった物語が、
一気に現実との距離を詰めてくる。
過ぎ去った日々への後悔。
手にしていたはずのものが、
いつの間にか離れていく寂しさ。
大切なものは次々に僕らの人生からふるい落とされていく。
だけど情けない事に――
それらがどれほど自分にとって大切なものかに気付くのは、
大抵の場合、それらがふるい落とされてしまった後の事だ。

タイトル『ライディング・ザ・ブレット(弾丸に乗る)』は
幼かった頃の主人公が怖くて乗れなかった、遊園地の
ジェットコースター、“ブレット”に由来している。
幼い頃の恐怖、そして優しい母親を怒らせた苦い記憶。
ノスタルジーというやつはいつも後悔の念と共に訪れる。
人生は無慈悲なほどの速度で直進する一発の弾丸だ。
良い事も悪い事も関係なく、次々後ろに残して過ぎ去ってしまう。
僕らは必死に、その弾丸にしがみついて生きなければいけない。

主人公の苦い記憶の描き方が淡白であるなど諸々不満はあるし、
全体的にはまったりテンポのB級ホラーな印象が強いけれど、
清々しい余韻が残る、予想外の佳作。
気が向いたら御鑑賞あれ。

<了> ※2013.09初投稿