やさしい嘘
プロット
フランス・ベルギー・グルジア合作
10月30日 2004 劇場で
やさしい人
プロット
フランス
10月25日 2014 劇場で
やさしい旋律
プロット
日本
12月20日 2008 劇場で
やさしい男 インターナショナル・バージョン
プロット
日本
10月23日 2020 劇場で
83歳のやさしいスパイ
プロット
チリ・アメリカ・ドイツ・オランダ・スペイン合作
07月09日 2021 劇場で
やさしいにっぽん人
プロット
日本
03月05日 1971 劇場で
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やさしい女コメント(10)
最後にひとひねりあれば、少しは評価上がったかも…
ブレッソン監督作品は、映画を観はじめた中学の頃に『白夜』を、その後『抵抗』を観たきり。
『白夜』が理解できなかったトラウマというかなんというか、そんなものがあって、永年その他の作品を観るのを無意識に避けてきた感じ。
今回、改めてブレッソン作品に挑戦してみて・・・
うーむ、素直に、おぉすごい、素晴らしい、といえないところがもどかしい。
なんというか、あまりに説明がなさすぎるというか、非情というか。
なかなか、心情的には判りづらい。
それもそうで、このハナシ、年若い女性に惚れて結婚した夫が「おんなは、わからない・・・」といっているのを、夫の視点・回想で進めているからだ。
「貧しい家庭で勉学にも困っている女性に惚れ、その境遇から助けたのだから、あとはオレのことを好きになってくれよ、困ったことなんかがあれば当然助けてやるから」
これが夫の主張である。
「男は愛よりも、結婚を望むのね。愛は互いを理解すること。けれど、結婚は、価値観を押し付けて、型にはめる代わりに、不自由な暮らしはさせないという約束にしかすぎないわ」
女はこのように言っている。
ただし、それを口に出さない。
なぜなら彼女は「Une Femme Douce」だから。
英語でいうと「A Gentle Woman」、弁(わきま)えた女、だから。
そういう女と男の成り行きを、ブレッソンは少ない台詞、短いシークエンスで繋いでいきます。
なので、心情的にわかる前に映画が進んでいきました。
ここが、素直に、おぉすごい、素晴らしい、といえず、もどかしいところ。
しかし、中盤、夫が妻は浮気をしているのではなかろうか、と勘繰る下種な展開になってから、俄然、おもしろくなりました。
そうか、夫は誤解しているのかぁ、いや、誤解でなく非解しているのだ、と気づいたから。
浮気現場を押さえんとして、車に乗り込む夫のワンカット、ヒッチコックも顔負けのサスペンスカット。
自動車の後部、ハンドルの後ろ側から質屋の入り口を見透かすカメラ。
質屋のドアを開け、自動車に乗り込む夫。
上着の裾がシートの上に引っかかったまま発車させる。
それだけなのに、恐ろべしいほどの緊張感なのだ。
じゃぁ、夫はなにを解かっていないのか・・・と、このあたりから考え始めた。
すると・・・
「男は愛よりも、結婚を望むのね」といった女の台詞。
金の十字架からキリスト像だけを質入れから返そうとした無情な(非愛な)夫。
彼女の好きな音楽や博物学に興味を寄せない夫。
そして、好きでもない観劇や旅行に誘う夫。
価値観を押し付けて、型にはめるばかり。
だから、会話するよりも、沈黙のほうがふたりには心地いい。
ああ、怖い。
すれ違う男女の心なんてものじゃないな、これは。
巻頭と巻末で、窓の外を舞う女の白いショールは、やっと解き放たれた女の象徴なのだろう。
あまり内容について書きたい気分にもならないのですが、しかし劇場を出た後、否応なくこの映画の世界を引きずっている自分がいて、この引力に素直に従ってみようと思った高評価なのです。
そしてこの世界に引きずられた私は、どこか自分が失っていた感覚を、その喪失感とともに味わっているのでありまして、その感覚こそは自分を自分たらしめていたもののように感じているのであります。
人と人とが軋み合ってしか一緒にいられないこの感覚こそが、何より自分が大切にしていたものだったことを思い出しました。
夫の物語がポジで、沈黙している妻がネガなのかな。
年配のお手伝いさんが、押し殺した何かを感じさせる。
ドミニク・サンドを観に行きました。
建物や内装、車、街並み、本、映画、シェイクスピア劇も映画を物語っていました。