「ブレードランナー」「ブラック・レイン」のリドリー・スコット監督が女性2人の友情と逃避行を描き、「1990年代の女性版アメリカン・ニューシネマ」と評されたロードムービー。ある週末、主婦テルマとウェイトレスのルイーズはドライブ旅行に出かけるが、途中で立ち寄った店の駐車場でテルマが男にレイプされそうになり、助けに入ったルイーズが護身用の拳銃で男を撃ち殺してしまう。ルイーズには、かつてレイプ被害を受けたトラウマがあった。警察に指名手配された2人は、さまざまなトラブルに見舞われながらメキシコへ向かって車を走らせるうちに、自分らしく生きることに目覚めていく。ジーナ・デイビスがテルマ、スーザン・サランドンがルイーズを演じ、ハーベイ・カイテル、マイケル・マドセンが共演。キャリア初期のブラッド・ピットも短い出演時間ながら印象を残した。カーリー・クーリが脚本を手がけ、1992年・第64回アカデミー賞で脚本賞を受賞。2024年2月、スコット監督自身の監修により製作された4Kレストア版でリバイバル公開。
テルマ&ルイーズコメント(20)
乱暴者の恋人と距離を保ちながら気ままな独身生活を送るルイーズと、幼稚な夫の言いなりで自分を抑えて生きている専業主婦のテルマ。
二人は退屈な日常から抜け出すためにドライブ旅行に出かける。
が、途中で立ち寄ったバーで下心丸出しで近づいてきた男と親しげになったテルマは、泥酔したところをレイプされかけてしまう。
ルイーズはテルマが持参した護衛用の銃で男を脅すが、男は悪びれることもなく卑猥な言葉で彼女らを侮辱する。
頭の中で何かがフラッシュバックしたルイーズは、その場で男を射殺してしまう。
今まで犯罪とは無縁の生活を送ってきた二人だったが、現場から逃走したことで二度と引き返せない深みにはまって行くことになる。
状況がどんどん絶望的な方向へ転がって行くのに対して、二人の人間性が吹っ切れたように開放されていくのが面白い。
特に最初は自分では何も決められず、簡単に人に心を開いてしまうために裏切られてしまうテルマと、絶望的な状況の中でもしっかりと計画を立て、毅然と前に進んでいくルイーズの関係性が変化していく過程が興味深かった。
ルイーズは距離を置きたいと思っていた恋人の思わぬ行動に、改めて自分が彼を愛していたことを思い知らされる。
夫から大切にされず、本当の愛を知らなかったテルマは、行きずりで出会ったJ.Dという青年とのセックスで本物の性の快感を知る。
結果的にテルマは裏切られ、ルイーズの逃亡資金も持ち逃げされてしまうのだが、心の糸が切れたように項垂れ泣きじゃくるルイーズに対して、テルマは根拠のない自信を持ってルイーズを奮い立たせようとする。
そこに今までビクビク怯えていた彼女の面影はない。
さらにテルマは強盗を働き逃亡資金を調達する。
もはや立派な犯罪人になってしまった彼女らに怖いものはない。
スピード違反を取り締まろうと近づいてきた警官を銃で脅してトランクに閉じ込め、何度も卑猥な言葉を放つタンクローリーの運転手を説教した末に、タンクを銃で撃って大爆発させる。
彼女らの行動が過激になればなるほど、観ていて痛快な気分になるのは、いつしか彼女らの目線に立って物語に没入しているからだろう。
それにしても登場する男たちが下衆過ぎて胸クソが悪くなる。
何故彼らは皆自分たちが支配者であり、女性とは自分の言うことに従うものだと信じて疑わないのだろうか。
本人の口からは語られないが、ルイーズはかつてレイプされた経験があり、それがトラウマになっているらしい。
彼女たちを追い詰めたのは男たちの身勝手さであるともいえる。
唯一彼女らに手を差し伸べようと働きかけたのが刑事のハルだが、彼の想いは二人には届かない。
ラストシーンはとても切ないが、ここまで引き返せない道を選んだ彼女らに、残された選択肢はなかったのだと強く思った。
もし、引き返せる道があったとしたら、それはどこだったのだろうと考えさせられた。
全ての発端は無神経で傍若無人な男性側にあるのに、なぜ彼女達がここまで傷付き、追い詰められなければならないのか?胸が締め付けられました。それと同時に旅が進むほど逞しく活き活きとしてくる彼女達が清々しかったりもします。また、こうでもしないと吹っ切れないくらい彼女達は日々追い詰められていたのかと思うと哀しくなったりもします。
自分はほぼ哀しい目線で観ていたのですが、他の方のレビューを拝見すると、前向きに捉えている方が多く、驚きましたが勉強になりました。時間を置いてまた観てみたいです。今度は前向きに。あのラストもまた違って見えてくるかもしれません。
中盤から描かれるテキサスの話もちゃんと落ちが着いていて素晴らしい。
追う側も二人に同情しているから誠意を持って接しているし、しかしもう男は信用は出来ないと、歯がゆい話になっている。
イーストウッド監督の「パーフェクトワールド」はこのラストからヒントを得たのかもしれない。こちらも名作だが。
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しっかり者のルイーズと、ややそそっかしいテルマの親友コンビ。
テルマは結婚していたが、旦那に不満で、勝手にルイーズと共に旅に出る。
テルマがレイプされかけた所をルイーズが助け、勢いで男を射殺してしまう。
2人はメキシコに逃げようとするが、テルマが別の男と不倫し、
この男にうっかり大金を盗まれてしまう。
仕方が無いのでテルマは泥棒男の強盗の体験談を参考に、強盗をする。
逃げる途中スピード違反で止められ、仕方なく警察官を銃で脅して逃走。
さらには卑猥な言葉をかけて来たトラックを銃で撃ちまくり爆破。
そしてグランドキャニオンに到達する。
が、たくさんのパトカーに囲まれ、狙撃班に照準を合わされ万事休す。
手を上げて降伏しろと言われるが、あえてそうせずに車ごと滝に飛び込んだ。
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やはりこういう古い映画がおれは好きみたい。
普段はろくでもない夫と結婚し、精神的な自由を奪われていたテルマらが、
強盗したり警察から逃げたりするうちに心からの解放感を得るという話。
無茶苦茶してはいるが、彼女らには悪意や狡猾さはなく、気持ちがいい。
でも客観的に見れは凶悪犯以外の何者でもない、という矛盾。
最後はやや強引な展開であっけなく終わる。
諦めて心中を選んだってことなのか、逃げのびれる可能性があると思ってか?