香港を代表する名優アンソニー・ウォンが主演を務め、孤独なタクシー運転手と難民の少年の心の交流を描いたヒューマンドラマ。パキスタンから香港へやって来た難民の両親のもとに生まれ香港で育った少年ハッサンは、家族とともにカナダへ移住することを夢見ていた。ところがある日、父が交通事故で亡くなり、その夢は突然奪われてしまう。ハッサンは難民で構成されたギャングに加わるが、警察のギャング対策に巻き込まれて追われる身となる。一方、1970年代に本土から香港に密入境したタクシー運転手チャン・バクヤッは、警察官として働く息子との関係がうまくいかずにいた。バクヤッはハッサンの逃亡を手伝うことを決心し、2人の間には絆が芽生え始めるが、やがてハッサンはバクヤッこそが父の命を奪った事故を引き起こした運転手だと知る。本作が映画初出演となるパキスタン出身のサハル・ザマンがハッサンを演じ、2023年・第41回香港電影金像奨にて10歳にして最優秀新人俳優賞を受賞。本作が長編第1作となる新世代監督ラウ・コックルイがメガホンをとった。
白日青春 生きてこそコメント(1)
バクヤッは乱暴で無知で、自分勝手であり、衝動的で本能的に行動し、善意から悪いことをしてしまう男。ですが、悪人ではなく、多くの後悔を抱えて償いたいと思っており、そんな人間をウォンがリアルにユーモアを交えて演じています。ラストにバクヤッが下す決断は深い余韻を残し、新世代監督による第2の香港ニューウェーブの到来を決定づける1本ではないでしょうか。