トルコの気鋭監督ベキル・ビュルビュルが、亡き妻を埋葬するため棺を背負って歩き続ける老人とその孫娘の旅を、リアリズムと虚構を交差させながら描いたドラマ。荒涼とした冬のトルコ南東部。年老いた男性ムサは他界した妻との約束を守るため、彼女の遺体を故郷の地に埋葬するべく棺を背負って旅をしている。紛争の続く地域へ帰りたくない孫娘ハリメは、親を亡くし仕方なくムサと行動をともにする。彼らは旅の途中で出会ったさまざまな人たちから、神の啓示のような“生きる言葉”を授かりながら進み続ける。シリア出身で、戦争から逃れるためトルコに移住した新人俳優シャム・シェリット・ゼイダンが孫娘ハリメ、トルコの映画・舞台・テレビドラマで活躍するデミル・パルスジャンが祖父ムサを演じた。2022年・第35回東京国際映画祭「アジアの未来」部門では「クローブとカーネーション」のタイトルで上映されている。
葬送のカーネーションコメント(3)
亡くなった妻を故郷に埋葬するため、棺を背負い歩む老人とその孫娘の旅。
台詞が、取り分け親子の会話がほぼ無く、その代わりに旅の途中で触れ合う人たちの言葉が優しく彩ます。
そして舞台となるトルコの景色や自然が雄大。そしてそのカットが実に美しい。
絶望感さえ感じる荒野なのですが、すごい魅せられました。
BGMもほぼ無く、風や雨や獣など自然の音だけです。
それぞれの立ち位置やバックボーンも語られる事なく、逆にその一瞬一瞬だけが浮かび上がるよう。
何となく感じる二人の難民らしさと、根付いたイスラムの思想も感じました。
孫のハリメと老人ムサの間にも"仕方なく一緒にいる”といった距離がずっと横たわっているんですね。
そんな気持ちは二人、遂に辿り着いた国境で完全に浮き彫りになります。
絶対に帰ると決めた故郷と、絶対に戻りたくない向こう側。
紛争下における、それは家族であってもある世代による意識の違いを写し込んでいるのは見事でした。
もう一度観たくなる、余白を残した作品でした。
セリフがこんなに少ない映画をはじめて見ました。
自分の妻を自国に埋葬するため、孫娘と国境を目指していくお話です。
エンディングは、感動します。
寒い冬のトルコの風景が二人の旅路の厳しさを際立たせています。
妻の骨を埋めるために故郷に戻るお爺さんと孫娘のロードムービー。
ストーリーとしては二人が故郷に戻りに行くだけ。
トルコ国内情勢と戦争の関係などの一定知識が必要なのかなと感じた。
妻を故郷へ戻したいお爺さんと逆に故郷に戻りたくない孫娘の対比が描かれているのは理解できた。
戦争はおろか死や、都会育ちで故郷というものに対する思いが薄い自分にはまだ早い映画だった。
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