バルド、偽りの記録と一握りの真実 プロット

「レヴェナント
蘇えりし者」「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で2年連続のアカデミー監督賞受賞を果たしたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が、自伝的要素も盛り込みながら、ひとりの男の心の旅路をノスタルジックに描いたヒューマンコメディ。ロサンゼルスを拠点に活躍する著名なジャーナリストでドキュメンタリー映画製作者のシルベリオ・ガマは、権威ある国際的な賞の受賞が決まり、母国メキシコへ帰ることになる。しかし、何でもないはずの帰郷の旅の過程で、シベリオは、自らの内面や家族との関係、自らが犯した愚かな過去の問題とも向き合うことになり、そのなかで彼は自らの生きる意味をあらためて見いだしていく。イニャリトゥ監督にとっては2000年に発表した「アモーレス・ペロス」以来、故郷メキシコで撮影した作品となった。「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」「Biutiful ビューティフル」も共同で手がけたニコラス・ヒアコボーネとイニャリトゥ監督が脚本を担当し、「愛、アムール」「セブン」などで知られる撮影監督のダリウス・コンジが65ミリフィルムでメキシコの風景とシルベリオの旅路を美しくとらえた。主人公シルベリオ・ガマを演じるのは、「ブランカニエベス」などで知られるメキシコの俳優ダニエル・ヒメネス・カチョ。2022年・第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。Netflixで2022年12月16日から配信。11月18日から一部劇場で公開。

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バルド、偽りの記録と一握りの真実コメント(2)

Osmxsgknhpi
Osmxsgknhpi
東京国際映画祭の舞台挨拶にて、イニャリトゥ監督は「理論スイッチをOFFにして、感じてみてください」と語った。

その言葉の通り、本作は理解しよう、分かろうとする映画ではない。本作の主人公はジャーナリストであり映画製作者。現実と夢の世界を往来する様子は“映像の魔術師”フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』を考えずにはいられない。

米国が誇るアカデミー賞で2度監督賞を受賞したメキシコ出身のイニャリトゥ監督にしか描けない内省的で半自伝的ともいえる本作。言ってしまえば、万人向けの映画ではなく、理解しようとすると退屈に感じてしまうのは間違いない。(実際、睡魔に敗れた人も少なからずいた)

しかし、制作まで6年を費やし、65mmフィルムで撮影された映像の美しさは言うまでもなく素晴らしい。(撮影監督は『愛、アムール』『ミッドナイト・イン・パリ』のダリウス・コンジ)

『バードマン』のワンカットのシームレスな映像、『レヴェナント』の自然光のみの撮影、それらを組み合わせたような『バルド』のルックは、浮遊感のある独創的で美しい映像体験をもたらしている。夢と現実を行き来する様子は、さながら監督の記憶の中を旅している感覚だ。

チベット仏教の教典「チベット死者の書(バルド・トゥ・ドル・チェンモ)」に由来すると言われるタイトル。「バルド」とは、死んだあと輪廻転生して新しい命が宿るまでの「中有(日本でいう四十九日)」のこと。まさにその精神世界を映像で表現していると考えると、一人の人間の魂と同化したような感覚だ。

「成功が私の最大の失敗だった」

偽りの記録からみえる一握りの真実。人生はままならない。フェデリコ・フェリーニは『8 1/2』で「人生は祭りだ。共に生きよう」と締めくくった。後悔に満ちた『バルド』だが、そんな人生でも「あなたがいなくなったら寂しい」と言われたようなイニャリトゥ監督の人間讃歌を感じた。

余談だが、会場となった有楽町よみうりホール、非常灯が煌々と輝き、暗い場面の多い本作のため、非常に見づらい環境で残念だった。本作、一部劇場公開でNetflix配信がメインだが、ドルビーシネマなどの環境でこそ観たい映画。公開は一部劇場のみだが、Netflixで本作を楽しむのは厳しい気もするのが本音だ。
Hoipkssgmxn
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ロサンゼルス在住のジャーナリスト、シルベリオ・ガマはその活動が母国メキシコで認められてある賞が授与されることになるが、帰国の過程で奇妙な体験をすることになる。

幻想的なカットで始まったかと思えばいきなりスラップスティックなギャグがブチ込まれ、その後も日常風景の中にシュールな映像が紛れ込んできて正直混乱してきますが、それらの映像がどれも滑稽かつ重厚でひたすら圧倒されます。そうして積み上げられた不思議な体験が主人公の過去に対する忘れ難い悔恨や苦悩に根ざしていることがクライマックスで提示され、タイトルがまさしく本作を端的に表現していることを知らされます。

“バルド“とは仏教における中有、すなわち生と死の間の状態のこと。世界を俯瞰しながらフワフワと漂っているかのような錯覚は幽体離脱を疑似体験させられたと形容してよいかと。鑑賞後に残る何とも形容し難いずっしりとした印象は『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』とどことなく似ていて、イニャリトゥ監督の強烈な作家性に改めて驚かされました。