TOKYO JOE マフィアを売った男
プロット
日本
12月13日 2008 劇場で
ドンを撃った男
プロット
日本
04月10日 1999 劇場で
ペレを買った男
プロット
アメリカ・イギリス合作
12月08日 2007 劇場で
首領を殺った男
プロット
日本
05月14日 1994 劇場で
竜馬を斬った男
プロット
日本
10月17日 1987 劇場で
リバティ・バランスを射った男
プロット
アメリカ
08月07日 1962 劇場で
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皮膚を売った男コメント(13)
デルボアはティム・ステイラーという男性の背中に作品としてタトゥーを施し、展示会場では観客側に背を向けて彼を座らせていた。「TIM」はドイツのコレクターに落札された。ちなみに、デルボアは保険会社の社員役で本作にカメオ出演している。
シリア難民の人権問題にこの奇想天外なアートを絡めて、独特の切り口で人間の自由について問いかけてくる映画。
ちょっとした発言のため官憲に追われ難民となったものの、恋人に会うため高名なアーティストの作品のカンヴァスとなり、「美術品」となることで移動の自由を手にしたサム。ところが恋人と連絡はついたものの諸事情によりすれ違い続け、サムは目的を果たせないまま、作品として扱われながら流浪してゆく。
割と淡々と話が進んでゆくが、サム本人の意向を全く顧みない人権団体とのやり取りなど、皮肉めいたおかしさを感じるシーンもある。直接関係のない第三者が、当事者の個々の事情を汲まずにプロパガンダのネタ扱いするのはよくあることだ。
他にも作品である背中に吹き出物が出来てしまったり、薄口のユーモアがちょいちょい挟まれる。人権の問題をしっかり織り込みながらも、語り口はライトだ。
ところがラストはペースが一転して、短時間での急展開。うまく行きすぎでは?いややっぱ現実はエグいな、からのええええ?!感情の高低差とスピード感に、一本取られた気分になる。
アートを題材にしているだけあって、色合いや構図の美しい場面が多い。様々な美術品が額縁のように作品を彩っていて眼福だ。
サムを演じたヤヤ・マヘイニは、演技経験は学生時代だけで本職は弁護士だそうだ。でも全く違和感のない演技だし、何といっても作品のカンヴァスとなる肉体が自然で美しい。ベネチア国際映画祭で受賞したのも納得の、役にはまった存在感だ。
恋人のアビール役のディア・リアンは薄い色の瞳が印象的な美人。そしてモニカ・ベルッチはカッコよさに迫力がある。重ねた年齢に相応しい、こなれた美しさ。
美術品としてモノ扱いされた方がむしろ自由という、シリアの国内情勢に最後は自然と思いを馳せる。アート作品のあり方と人権問題、ふたつのことを考えさせてくれる作品。上手いです。
ビザを取れない人の背中にビザを描き、芸術という付加価値を付けることで、ビザを持たずして世界を行き来できるようになる皮肉。
人間の尊厳を放棄してモノになることで得られる自由。
芸術の名のもとの傲慢さ、芸術を笠に着る商人に、愛憎劇まで加わって面白すぎる!!
ワンシーンワンシーンにいろんなメッセージが込められていて、映画の楽しさを満喫しました。
序盤の、揺れる電車の窓枠越しの二人は
国内の事情に詳しくない私にでも、この先に障害が待ち受けていることや、二人の立場が不安定なことが伝わります。
全体を通して、鏡やガラス、フレームなどが効果的に使われていて、二面性や虚像や芸術性を強調していました。
タトゥーを入れるラボのシーンで流れるオペラのアリア(?)が素晴らしく、芸術を生み出す行為を高尚な美しさで印象づけていたと思いますが、とくに2回目の生身のグロテスクさと修復の繊細さがものすごく好き!!
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、理由があって強烈に印象づけていたのだとわかります。
高級なローブの美しい動きや、模様の入った豚の置物など、暗示や隠喩も効いていて
なかでも一番のお気に入りは美術館に並ぶ人の列を見るシーン!
しょっぱなから額縁を意識させるアングルと銅像。
自分では気づかないうちに、既に美術品側の作品になっている感じが面白い。
《以下、ファーストシーンでわかることなのでネタバレではないと思いますが…》
タトゥーが芸術であることは理解できます。
とくに和彫りの美しさったら。
その昔、旧池袋文芸坐ル・ピリエで、彫り師さんによる実演付きトークイベントがありました。
いろんな国のタトゥーをスライドで見ながら、タトゥーの歴史や文化、モチーフの意味、和彫りと洋彫り、手彫りと機械彫りの違いなど、貴重な説明を聞くことができ、それまでちょっと怖いと思っていた認識が180度変わりました。
タトゥーは文化であり、メッセージであると同時に芸術でもあるのだなぁ。
魔除けの意味を持つ、幾何学模様で単色のタトゥーも美しいと感じましたが、とくに和彫りの線の細さ、ボカシによる陰影、発色の美しさに驚きました。
そのトークショーで、刺青の標本が存在することも知りました。
本人が死んでからも作品として永遠に残るのかぁ。
イベント当日、実演のモデルさんが発熱で来られず、残念ながら刺青の施術を生で見ることは出来ませんでした。
もしかしたら、はなから客寄せだったのかも…?そんな疑念もよぎりつつ。(^^;;
でも、もし、本当にそんなモデルさんがいたとしたら、出演を決めた経緯は何だったのか?
刺青を広める為の使命感?
彫り師さんの熱狂的なファン?弟子?
はたまた、お金に困ってのビジネスライクな関係だったのか?
今でも気になります。
自分から望んでした事なら、良くも悪くも自己責任だけれど、結果として利用される立場に見えてしまうと人権侵害や搾取になりかねない。
逆に利用して自分の本当の目的が達成出来れば人生の勝者になれる。持たない者にとっては一か八かの大勝負。ビッグチャンスでもある。
芸術家はこの契約によってセンセーショナルな現代アートを残すことができた。
届けたいメッセージは、ビザを取得出来ない人=自由に国を行き来出来ないことへの問題提起であって、移民や民族差別、格差社会に言及している。一か八かの大勝負に出なくても良い世の中を訴え、最後には更にもう一つのメッセージまでも加わって…
芸術家の作品は主人公の立場の人々へ還元される。
芸術家の一人勝ちかと思いきや、主人公の一人勝ちだったのかもしれない。