60代になってから世界に見いだされたピアニスト、フジコ・ヘミングのドキュメンタリー。日本人ピアニストの母とロシア系スウェーデン人のデザイナーである父との間に生まれ、母の手ほどきによって5歳からピアノを習いはじめたフジコ。やがて演奏家として高い評価を受けるようになるが、大事なリサイタルの前に聴力を失うという大きなアクシデントに見舞われるなど、数奇な人生を歩んできた。1999年にNHKで放送されたドキュメント番組によって日本でも広く知られるようになったフジコの、初のドキュメンタリー映画となる今作では、ワールドツアーで世界を巡って演奏する姿や、自宅で愛する猫に囲まれて過ごす時間など、公私にわたるフジコの素顔に密着。父との別離、厳しい母のレッスン、ハーフへの差別、貧しい留学生活や聴力喪失など、数々の苦難に見舞われても、夢をあきらめずに進んだフジコの人間性と音楽に迫る。
フジコ・ヘミングの時間コメント(20)
まったりとしたありのままと、舞台の上の奏での対比に魅了された。内から溢れてくる音の抑揚に取り込まれちゃう様。
パリ、下北沢、京都、ベルリンなどなど、演奏会、自宅、選ばれし人の日常は目まぐるしく移動しているのに、彼女の回りだけは、思い出と共に淡々と時が流れている。
淡々としているので、彼女の面白さと魅力を存分に感じる事は出来ないけど、カンパネラだけは一見の価値あり!
ドキュメンタリー作品としては、フジコヘミングの演奏に加担された作品と感じる。
癒しの時間をいただきました
母がピアニスト。祖父が動物病院の院長の家系であり、犬3匹、猫3匹を飼い、動物愛護活動もしているらしい。
1日に、4時間、ピアノの練習をするとのこと。誰も触らないと、ピアノも錆びるらしい。
音楽が好きな人には、オススメである。
こんなに自由に生きている日系女性がいることに驚嘆した。
本名:イングリット・フジコ・ゲオルギー・ヘミング
出生地:ドイツ・ベルリン
父:ロシア系スェーデン人で画家、建築家
母:裕福な家庭に育ったピアニスト
フジコ・ヘミングは60歳を超えても、ヨーロッパ、アメリカ、南米に赴きピアノを奏でる。訪れた国の数は2016年~2017年だけでも10か国を越える。劇中でも語られるが会場によっては満足なピアノが無いことも。
それでも彼女は”仕方がないわね”と言って、与えられた条件の中ピアノを奏でる。
多くの観衆(特に私は感じなかったが、女性の観客の感動度合いが高いとの事)を魅了する彼女のエネルギーはどこから来ているのか、の判断は観客に委ねられる。
<一人の女性の見事な生き様を写し取ったドキュメンタリー作品>
<2018年8月11日 劇場にて鑑賞>
年齢は公表してないらしいが、約86歳くらいのフジコ。還暦を過ぎてから売れ出したピアニストだ。80を過ぎても年間60か所のコンサートをこなすくらい、歳はまったく感じられない。パリ、ベルリン、サンフランシスコ、東京、京都、と自宅を持っているが、猫や犬を飼っている事実。ベルリンの愛犬アンジンがとても可愛かった。また、ラフマニノフの住んでた家など、人が暮らした家に興味を持ってることも彼女らしいんだろうなぁ。
彼女自身難聴のためだろうか、自宅のピアノはちょっと調律されてないようにも感じられたが、彼女の奏でるピアノは優しさに満ち溢れている。弟で俳優の大月ウルフが茶化したように「ピアノは男が弾くもの」だという言葉もあったが、まるでそれに抗っているかのように女性の繊細さを表現している気もした。
ハーフだということで学校ではイジメにも遭い、戦争直後は国籍を失うという過酷な経験をしながらも飄々と語る過去がとても新鮮に聞こえる。14歳当時の絵日記を織り交ぜながら、フジコの人となりを感じられ、全ては天使から試されていると施しをしたり、動物愛護に満ちた優しさが伝わってきた。今度はどんなピアノに出会えるんだろう?他の楽器と違い、自分のピアノを運べないのもプラス思考で考える生き様が素敵でした。