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サウンド・オブ・メタル 聞こえるということコメント(20)
月並みですが聴こえることの有難さ、健常であることの有難さをしみじみ感じさせてくれる疑似体験型社会派ドラマ。
うるさい!というのはメタルロックでは褒め言葉だそうですが耳をつんざくような爆音から始まりラストの無音の終焉までこれほど耳を澄まし目を凝らしてしまった映画は珍しい。
ミュージシャンの主人公が聴力を失うというのも酷な話、かのベートベンもピアノの鍵盤に歯形が残っていたという逸話がある。
主人公と少年が滑り台を叩いて振動を体で感じて微笑むシーンは秀逸でした。象の足の裏には感音組織があり遠くの仲間と低周波音でコミュニケーションしているとテレビで聞いたことがある。
個人的には無音と静寂は別物、静寂は心で聴くのであって風にそよぐ木の葉の擦れる音、小川のせせらぎ、星の瞬きなども広い意味では静寂だと感じています。
映画のラストシーンの無音の街の光景とは真逆な印象ですが、昔、ウォークマンを付けて街へ出た時、見慣れた光景がまるで映画の一シーンのように変貌した体験は強烈に覚えています。聴覚が担っているのは実用的なコミュニケーション能力だけではないのです。
ただ映画の中でも語られるがろうあ者だから皆が不幸せと決めつけるのは短絡的なのでしょう。
メンタル的には観ていて楽しい部類の映画ではないので強いてのお勧めはできません。
映画 #サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~ (2019年)鑑賞
冒頭の轟音に始まり、ラストの無音という流れもそうなのだが、聞こえないということを上手く伝えており、アカデミー音響賞も納得
聞こえるということに執着するとことも依存と表現していたが、なかなか難しい問題
そう気付ける事に感謝
そして次のステージへ
人生の扉を開く
医者からは治る見込みはないと告げられるし、インプラントは2~4万ドルとひどく高価な手術だという。恋人ルーの勧めもあって、ろう者コミュニティに参加したルーベン。最初は手術を受けることしか頭になく、手話も覚える気がなかったのに徐々に馴染んでいくのだ。
今までにないほど素直になれる作品。というのも、こうした突発的な病気に罹ってしまったら、癇癪を起したり独善的になったりと、彼の風貌からしても乱暴者になることが想像できるのに、まったくそうはならない。ある意味、従順で高潔なイメージさえもたらしてくれるのだ。しかし、子どもたちにドラムの基礎を教えたりピアノの音を触って感じる訓練をしていくうちに、ドラマーに戻る希望を断ち切れなくなってしまい・・・
後半は手術を受けてからのルーベンの様子。全体的に鳥のさえずりとか自然の音が効果的に用いられているのに、都会に住むルーの家の周りにはノイジーとしか思えない雑音ばかり。完全な聴力回復ではなく、脳を刺激するという手術には弱点があったのだ。ルーの歌う曲でさえ雑音に阻まれ良さがわからなくなってくるルーベン。トレーラーハウスでジプシーのような全国ツアーは互いを救ってくれたし、二人をそれぞれ幸せに導いてくれた・・・それだけを思い出にして新生活をスタートできるのか?ドラマーだからといって繊細なメロディーを追わなくてもすむのか?彼の決断がラストシーンに集約され、見事な余韻を残してくれる。
自然の音と比較して雑踏の中の騒音。澄んだ音から重苦しくメタリックな効果音が脳を突き刺すのだ。この音作りがとても凄い。オーバードライブさせて、ファズをかけて、メタリックな倍音とホワイトノイズを付け加えたような、風邪ひいたときに頭がガンガンするみたいな感覚にさえ陥ってしまう。静寂の美しさもたまらん!