クエンティン・タランティーノの監督第1作で、宝石店強盗計画に失敗した男たちがたどる運命を、独特の語り口で緊迫感たっぷりに描いたクライムドラマ。宝石店を襲撃するため寄せ集められた黒スーツ姿の6人の男たち。彼らは互いの素性を知らず、それぞれ「色」をコードネームにして呼び合う。計画は完璧なはずだったが、現場には何故か大勢の警官が待ち伏せており、激しい銃撃戦となってしまう。命からがら集合場所の倉庫にたどり着いた男たちは、メンバーの中に裏切り者がいると考え、互いへの不信感を募らせていく。キャストには本作の制作にも尽力したハーベイ・カイテルをはじめ、ティム・ロス、スティーブ・ブシェーミ、マイケル・マドセンら個性豊かな顔ぶれが揃った。
レザボア・ドッグスコメント(20)
今更ながらの鑑賞。
無駄話がこんなに面白いなんて〜
会話が多いせいか、途中オレンジが仲間に言われた小噺は話の細部が大事だみたいな台詞が妙に印象的でした。
銀行強盗後の合流予定地と思われる倉庫で展開するくだらないお喋りと得体の知れない共犯者達。
ワンハリ見た後だと撮影場所の数やバイオレンスの派手さも全然少ないのに飽きないし最初からタランティーノ節でカッ飛ばしてたんだな…
これを機に古い順から並べて見るのも良いかも。
もしかしてタランティーノ自分に合わないのかも。
舞台劇のようにセットが変わらず同じ場所で延々とコミカルな会話を
続ける展開がメイン。
この会話が趣味が合うのなら面白いのかもしれないけど
まるでホントのチンピラやバカな学生が喋っている話と
何も変わらず全然楽しめなかったな。
レザボアドッグスはタランティーノ初の監督とからしいけど、
予算の問題なのか?でもイングロリアスバスターズも同様のノリだから
きっとこの人の持ち味なのだろう。
個人的にはストーリーをもう少し重視してほしかった。
随分昔に見たから覚えてないけど、キルビルやパルプ・フィクション
そんなノリだったっけ?
「どん底」はご存知黒澤明監督の1957年の作品
もちろんのこと筋立てもゴーリキーの原作ともまるで関係ありません
それでも観て感じるのは、これはタランティーノ版「どん底」だという印象です
結構な長回しとマルチカメラ、俳優の演技力を信じきって突き放した演出
それらが異常な緊張感となって全編を支配しています
タランティーノ節の原点です
お話はハッキリ言ってどううでもいいことなのだと思います
最初の10分の与太話と同じです
観るべきは独特の脚本とカメワークに追いまくられ追い詰められる俳優達のハイテンションです
それがどのようにタランティーノだけが撮りうる映像であるのかということです
傑出した才能
いや異常なほどに特異な才能であるというべきもの
それが全編に証明されていると思います
○作品全体
大の大人がテーブルを囲んで雑談をし続けるシーンから始まる本作。今となってはタランティーノ監督の「定番の脱線」…と感じることは否定しないが、その雑談で築かれていく人間関係がドラマの礎になっているのも事実だ。
物語の鍵を握るホワイトとオレンジの関係性についても、ホワイトが不注意だったことを悔やんでいるということだけではジョーに銃口を向ける理由としては弱いが、くだらないジョークをかます空間に必ず二人がいて、関係性を築いていったという痕跡を重ねていけば、「定番の脱線」がタランティーノ監督作品にあり続ける意味が見えてくる。ホワイトがオレンジに故郷や本名を教えたのはそうした雑談の中での一幕なのだとすると、「定番の脱線」は脱線ではなく本筋になるのではないか。
その一方で印象付けられるのは残酷さだ。この残酷さは視覚的なグロテスクな表現というのももちろんあるけれど、それ以上に築いてきた関係性を一瞬で崩壊させてしまう容赦なさに残酷さを感じる。冒頭の雑談からのオレンジの大怪我、ブロンドの優位性を一気に覆すオレンジの発砲、対立するジョー、ホワイト、エディの相打ち…一秒前には思いもしなかった状況の変化。この衝撃は突拍子のなさだけではなく、長く時間をかけてきた関係性を一瞬で崩壊させる時間の使い方があるからだと感じた。
状況の変化を客観的に映し出す残酷さ。言葉という人と人とのやりとりあるからこそ、それをあっという間にひっくり返してしまうことに、冷酷だと感じた。
雑談が作る人と人同士の関係性とそれを覆す残酷性、この2つをつなぎ合わせる時間間隔。どれもがエッジの効いた作家性に彩られていて、唯一無二の作品だった。
○カメラワークとか
・オレンジが小話を覚えるシーンが特に良かった。カンペを見ながら自宅で練習するところから同僚へ練習するところへ繋ぎ、ジョーたちの前で話すところへシームレスにカットを繋ぐ...このアイデアが面白い。さらに小話の世界へ入り、警察官に睨まれるオレンジを映して視覚的にも小話の説得力を演出していた。
小話中の警察官とジョーたちを重ねているのもテクニカル。どちらにもオレンジへ向けた疑心の目があるように見える…というシチュエーションの重ね方が上手い。