トムとジェリー

TVアニメシリーズが好きで観ました。
感想
トムとジェリーの世界観そのままでした！動物だけがアニメ調で残りは実写ということで、アクション映えする場面も多々ありました。クライマックスの場面はまるでアクション映画の様な迫力があり楽しめました。
トムとジェリーの声質やエディング場面もアニメへのリスペクトが感じられる表現にになっていて感動しました。
安定のかわいさ全開の物語にケイラが混じることで就活という重みも出ていて良い具合にバランスが取れていたと思います。
ケイラ役のクロエさんが可愛すぎました。クロエさん目当てでみた部分もあったので嬉しかったです。
物語構成も荒唐無稽になるかと思いきや思いの外伏線回収していて驚きました。bgmもラップ調で見た事がないトムとジェリーが観れました。
番犬の登場やジェリーの部屋の扉、飛び回る時のグルグル感などファンには嬉しいサービス演出などもありました。
トムとジェリーの友情が過去無かったのではないかというほどに重厚に描かれていたと思います。
社長の何でも受け入れ感は優しすぎるなと思いました。
総評
子供向けとあなどるなかれ！万人向けの良作映画。
クロエさんの可愛いさとトム、ジェリーの可愛さは必見です！

トムジェリ始め登場する動物キャラが全てアニメ。実写との融合は楽しいし上手くマッチしてて見応えあった、と思った…んだけどストーリーがな～。
ドタバタ劇と言えばそれまでだけど…主人公もマネージャーもバーテンダーも金持ちカップルもとにかく人間のキャラ設定が半端で面白くない。残念。

「あ、俺今『トムとジェリー』観てる」、文字にすると当たり前の事だが、子どもの頃に昔のTVアニメ版を繰り返し観ていた思い出がそのまま蘇ってきた時点で、本作は成功。
『ロジャー・ラビット』もアニメと実写の融合に驚いたが、本作はそれよりもスムーズに違和感なく混ざり合っている。ホントにCG技術の進歩には驚かされる。
TVアニメ版のエンディング曲の「仲良くケンカしな♪」の歌どおり、いつもケンカばかりしているトムとジェリーが後半、ある理由から協力し合っていく件は、常に彼らが仲良しだった『新トムとジェリー』を思わせる。
ただ、トムとジェリーの特徴といえば「セリフを喋らない」。他の動物キャラは普通にセリフを喋るのに、彼らだけは頑なにセリフがない。『ロジャー・ラビット』に彼らが登場しなかった理由がそれだった。
実は彼らは「喋れない」わけではないが、特にそれについての説明はない。これはアニメ版から脈々と受け継がれているルールみたいなものだけど、本作の中盤でそのルールがアッサリ瓦解してしまうのに、今更ながら違和感を感じ、今更ながら余計に浮いてしまった印象。子供の時にはそんな事気にもしていなかったのに…
でもまぁ、そんな細かい事は言いっこなしで愉快に楽しめるのは間違いなし。クロエ・グレース・モレッツも可愛いし。

ネタバレ！ クリックして本文を読む
戦前、アメリカのアニメ業界は、ディズニーと萌えキャラの元祖でたまに日本のCMにご登場の『ベティ・ブープ』、その他に『ポパイ』『スーパーマン』やディズニーの『白雪姫』に対抗する目的で製作された為か、どことなく『白雪姫』と似ていた日本では、初となる長編カラーアニメーション映画『ガリバー旅行記』を製作したフライシャーの二社の独占状態だったものが、その後、ワーナーやMGMやその他の映画会社が参入するようになったことで新しいキャラの誕生した経緯がある。
日本では変態的ワンマン社長であり、希代のスーパー・パワー・プロデューサーの大川博が手掛けた日本アニメ界初のカラー・アニメで金字塔映画．．．　『白蛇伝(1958)』　大川のおっちゃんがいなければただの漫画が一つの芸術のサブジャンルというアニメーションには何時になったことやら、程遠かったかもしれない。

トムとジェリーというキャラは最初の構想では、別の名前が予定されていたけど、その名前を知った時、やはりこの名前じゃないとねと思えるし、トムがいつもジェリーにやられてしまうのは、シットコムの定番で、その事がワーナー・ブラザース・アニメーションでも反映されていて『ルーニー・テューンズ』の中で登場するキャラ "ワイリー・コヨーテとロード・ランナー" でもいつもワイリー・コヨーテがトムの立場になっている。ワーナーのアニメ・キャラは個人的にはどうしても好きには慣れないけれども．．．　それは大人の事情で今はそんなことは言えやしない。

二人の巨人のおかげ．．．
『トムとジェリー』の生みの親ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラが後にMGMから独立して作ったハンナ・バーベラ・プロダクションのおかげで70年代中頃までは、日本のTVでも多く放送されていた。

アメリカのアニメと日本のアニメの違い
日本のテレビのアニメーションは 基本、手塚治虫大先生が取り入れた1秒間8コマの"リミテッド・アニメーション(Limited animation) で成り立ち、ディズニーを代表するアメリカの大手アニメ会社は1秒間24コマのフルアニメ（フルアニメーション: full animation) を採用している。
それは何ってか？　手塚治虫の初期のテレビアニメの駄作『ビッグX』がその事を物語っている。いくらテレビアニメの黎明期と言えども同じリミテッド・アニメの『鉄腕アトム』とはかなりクオリティが違っている。　失礼、手塚ファン

After a lifetime of being the world's most famous enemies,
Tom & Jerry are about to start over...
1992年に『トムとジェリーの大冒険』以来の上映映画として、しかも実写とアニメーションのハイブリッド・コメディ映画に仕上げている本作品．．．　その上、初めて巨匠ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラの手を離れて製作された第一号の映画。そんな中、古くは、ハイブリッドとして手塚治虫原作による水谷豊さんがまだ高校生の時に初主演したテレビドラマ『バンパイヤ』があり、また今秋公開予定の『スペース・ジャム2』と呼ばれている『スペース・ジャム ア・ニュー・レガシー』もそれにあたる．．．　ただし、前作で主演を務めたマイケル・ジョーダンは今回、出演を固辞しているとのこと。付け加えるとティム・ストーリー監督は『ロジャー・ラビット(1988)』のVFXへの影響を受けたと語っていた。

I will not let this hotel be ruined by a cat and a mouse!
金切り声・悲鳴・叫び声・あえぎ・遠吠えといった音声は原作者の一人ウィリアム・ハンナが録音したオリジナルの『トムとジェリー』の音源を本作品では使っているので、画面とのしっくり感が半端ではない。

Chloe Grace Moretz, the 20-year-old “Kick-Ass” star tells Variety
that she was once fat-shamed by one of her male co-stars on
the set of a movie. 　　　　　2017年8月の Variety の記事より
2016年の出来事で女優業を休業すると宣言した直後にひるがえすように撤回をした主演のモレッツ．．．　暗い映画ばかり出たがるダコタ・ファニングと同世代の所以か同じように体重の増減を繰り返すオナゴたち．．．　特に『グレタ GRETA(2019)』では、そう感じれたけれども、女子として今回はかなりシェイプを保っていて、映画の中のジェリーをまねたようにチョッピリ、オーバーアクション気味の軽快な動きは彼女の復活を思わせる。

The problem with making a Tom and Jerry movie is that you
can’t make it about Tom and Jerry.
ロバート・ゼメキス監督の映画『魔女がいっぱい』でも彼のCGIにこだわった実写/アニメーションハイブリッドによって撮影された3DCGアプローチの代わりに、本作品はより古典的な2Dアニメーションで描かれている。　もしジェリーを3DCGなんかで描いたら、『魔女がいっぱい』じゃあないけど、それこそホラー映画のようになってしまうので安心、アンシン。

アメリカのテレビガイドによって、 "60人のクズでどうしようもない・ビラン" に選ばれたワイリー・コヨーテが砂漠を駆けずり回ってロード・ランナーを追うような広い空間ではなく、7分間のワンジョークのジッピーでしばしば混乱と騒動をまきおこし部屋だけを主に駆けまわるアニメーションショート・シットコムのそのセットアップだった『トムとジェリー』から長編アニメを作ることは不可能なことかもしれないと見る前は思ったけれども．．．　今まで『トムとジェリー』と言えば、ちょうど子供が座った目線で見る高さで、人は必ずと言っていいほど腰のあたりしか出てこないので大人の身体全体はワザと見えなくしていた。それがニューヨークの町や五つ星級のホテルを縦横無尽に駆け巡るって、こんなイカしたことは初めてかも．．．

アニメーションは概念的に巧妙に製作されているのが分かるのが、生き物全てが、トムとジェリーを含めてラップ・シンガー・バード(テロップではピジョン・アナウンサー)やプリータとベンが結婚式で乗る巨大なゾウなどビンテージ級の手描きの2Dスタイルでレンダリングされている。それとは180度違うようにトムとジェリーが使ったり、触れたりする多くの物は、ジェリーの小さなバックパックからトムがホテルの壁を登るのに使ったトイレの吸引ラバーカップまで、フォト・リアリスティック(スーパーリアリズムと呼ばれることも)な3Dアニメーションでレンダリングしている。

COVID-19の流行のために、ポストプロダクション・スタッフがリモート作業をしているあわただしい中、映画製作者がトムとジェリーを3次元でアニメーション化しないことを選択したことは、嫌なイメージを避けるとともにテレビ・アニメをオマージュし、ノスタルジックにも浸る事ができる。ただし、一部の方は2Dにした事に違和感を覚えているのも事実として．．．

スパイク、ブッチ、金魚のゴールディー．．．etc. テレビ版でもお馴染みのメンバーが総出演しているなんて粋な計らいも．．．　しかもエンジェル・トムとデビル・トムが出てきた時は感涙ものになっている(霜降り明星の方たちが吹き替えを担当)

In October 2014, Moretz was named one of the 25 Most Influential
Teens of the year by Time magazine
従来の働き方である終身雇用ではなくて、COVID-19 禍によるオンライン上のプラットフォーム等を通じてシーズナル・ワーカーの市場というギグエコノミー（Gig Economy）の今どきの世界を生き残ろうとし、しかも高みを望む向上心の塊のような女性を演じたクロエ・グレース・モレッツさん．．．　ここ数年、声優などをこなし、女優として評価は高かったものの映画自体がそれに追いつかず、テレビの場に活躍の場を移したのではないかと思っていたけど．．．　この映画は題名が『トムとジェリー』となっているのは彼らには失礼だけれどもサイド・キャラの印象が強く、その代わり、この映画では彼女クロエ・グレース・モレッツさんの映画と言っても良いと個人的に思っている。
彼女は女性でも憧れてしまいそうになる演技スタイルを確立し、生き生きとしている。　　そんな中、オープニングのシーンでトムが目が見えないふりをしてエレクトーンをひいて投げ銭を受けるシーケンスは、エディ・マーフィーの『大逆転』の約40年前までなら許されたけれど、今はアウトかも．．．　でもトムですから何か？
そんな映画です。

言うまでもなく「トムとジェリー」の歴史は古い。アニメと言えばディズニーか「ポパイ」や「スーパーマン」で知られるフライシャー・スタジオしかなかった1930年代のハリウッドで、MGMのアニメーターだったウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラが生みの親である。以来、実に90年に渡って、世界中の子供たちに愛されてきた理由は、たった一つ、図体もでかいし本当は強いはずの猫のトムが、若干お人好しだったばかりに、体はちっちゃいがけっこう狡猾なネズミのジェリーに、コテンパンにやっつけられること。つまり、逆転の発想が最大の魅力なのだ。実写とアニメを融合した最新作でも、ニューヨークのホテルを舞台に人間たちの結婚式の顛末が描かれるが、場を盛り上げるのはいつも、ところ構わずバトルを展開するトムとジェリーのボケとツッコミ。古いTVアニメと見比べるとビジュアルがかなりアップデートされているのが分かるが、2匹のキャラクターは昔も今も変わらず。単純だがオリジナリティに溢れる永遠のヒット作を、筆者も童心に返って堪能させてもらいました。