カメレオンマン プロット

周囲の環境に順応し姿かたちが変わってしまう特異体質の持ち主ゼリグの生涯を、擬似ドキュメンタリー形式で描く喜劇。製作はロバート・グリーンハット。エグゼクティヴ・プロデューサーばウディ・アレンと長年のコンビであるチャールズ・H・ジョフィー。監督・脚本は「サマー・ナイト」のウディ・アレン。撮影はゴードン・ウィリス、音楽はディック・ハイマン、編集はスーザン・E・モースが担当。出演はウディ・アレン、ミア・ファロー、ステファニー・ファローなど。日本語吹替えで上映。

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カメレオンマンコメント(1)

xvcurh
xvcurh
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ウディ・アレンはひねくれている。
愛について、人生について、あれやこれやとユーモアを交えながら、ぐだぐだと、ある種の面倒臭さも醸し出しながら、叙情豊かに語りつくす。

その一筋縄では行かない、少なくとも友人としては付き合いにくそうな所こそ、ウディ・アレンの魅力であって、僕が大好きな部分なのだが、その「人格」が最も出ているのは、代表作とも言える「アニー・ホール」や「マンハッタン」ではなく、実はこの作品ではないのかと思う。

まず、フェイクドキュメンタリーという、一見変わった変化球の作風に見える(初期の作品である「泥棒野郎」も似たような手法だが)ものの、コミュニケーションの上手く取れない男が、不器用ながら器用に、ただ女に愛を伝えようとするという構造は、紛れもなくウディ・アレン映画なのであって、本質は全く変わらない。

自身のコンプレックスについてもそうである。
わざわざフェイクドキュメンタリーにしておきながら、顔の知られた自分を主役に据えているのだ。
そうして、あくまでも「ウディ・アレン」を出す事で自虐的な表現をし、それをもって世間を批判している。

こんなひねくれた奴、そうそう居ない。

何よりウディ・アレンは、劇中で「チェンジングマン」なる劇中劇を撮っている。
これは要するに「映画化もされるほど有名なカメレオンマン=ゼリグ」を表現する為の映像なのだが、わざわざ違う俳優を使い、30年代の質感を再現して、本編と同じ内容の劇映画の数シーンを撮っているのだ。

僕が何を言いたいかというと、じゃあ本編はそれでいいじゃねえかという話なのである。

実験映画としての試みも、もちろんあるのかもしれない。
むしろ、ウディ・アレンは実験が好きそうだが。
しかし「カイロの紫のバラ」のように、万人受けする映画として、いくらでも売り出せたはずなのだ。
映画監督ならば、その方が確実にヒットを生み出せると考えるはずだ。

実際、この「カメレオンマン」は脚本的にも普通に面白い。
最後の展開などいかにも映画的で、劇映画として撮っていれば、ウディ・アレン作品の中でも、もう少し人気は高かったのではないだろうか。

だがウディ・アレンはあえて、ギャグのために、そしてウディ・アレン=ゼリグという人物の、世の中における立場をより深く考えさせ、観客にテーマを伝えるために、とてつもない手間をかけてまでフェイクドキュメンタリーとして制作し、世間を、そして事実をドラマチックに変えたがる映画業界を、ものの見事に茶化している。

なんてひねくれた奴なのだろう。
どれだけチャレンジ精神旺盛なのだろう。
自分がやりたい事を、とことんやっている。

いい具合に古さを感じさせる音楽や、小道具の作り込みも半端ではなく、かつてカメレオンマンが本当に存在したように錯覚させるほど、時代の再現に徹底している。
「フォレスト・ガンプ」の10年前に作られた映画にもかかわらず、ヒトラーやベーブ・ルースが映っている昔のフィルムに、ウディ・アレンを合成する技術も違和感が無く先駆的だ。
このフェイクフィルムが、より作品の完成度を上げている。

だが一方で、壁を歩いたり、足の関節を逆に向かせたりなど、到底信じられないような一発で嘘と判る荒唐無稽な映像も、ギャグとして造っている。

ドキュメンタリーという体裁で行く以上、普通なら出来る限り「本当らしく」見せようとする所を、この「嘘」と「本当」の矛盾を衝突させ、ギャグに転化させているのが、たまらなく良い。

特に滑稽なカメレオン・ダンスの酷さなど、もう苦笑いするしかない。
なんて意地悪な奴なんだろう。

一般受けはしないだろうが、個人的にはこれがウディ・アレン作品のナンバーワンだと思っていて、名前を拝借する程に惚れ込んでおり、僕の中では生涯のベスト映画のひとつになっている。

ちなみに「泥棒野郎」の方も間違いなくフェイクドキュメンタリー・コメディの傑作だと思うが、より洗練され、突き詰められたこちらの方が僕は好きだ。