約30年ぶりに一緒に暮らすことになった、家族を捨てた父と発達障害のある息子が、本当の親子関係を築くまでを笑いと涙を交えて描いたイスラエル製作の人間ドラマ。母の急死により、残された発達障害のある50歳の息子。かつて家を出て行った父親が呼び出され、約30年ぶりに親子2人での生活がスタートする。生活習慣へのこだわりが強い息子に、父はどう接したらよいか戸惑いながらも2人は徐々に打ち解けていく。そんな中、父が末期の腎不全と診断され、人工透析が必要となる。特別給付金申請の面接の場で、特別な支援が必要であるとアピールするため、息子が靴ひもを結べないふりをする。イスラエル・アカデミー賞で8部門にノミネートされ、父親役のドブ・グリックマンが助演男優賞を受賞した。
靴ひもコメント(2)
イスラエルで実際にあった、腎移植が必要な親へ、精神障害のため子どもがドナーとして認められず亡くなったケースを下敷きにしているそうです。また、主人公ガディのこだわりや仕草は監督自身のお子さんの行動がモデルになっているとのこと。
一口に「サポートを必要としている人」と言ってもその濃淡や個性は千差万別。その上で、誰もが共に生きていくという事について深く考えさせられました。
多民族国家イスラエルならではの人種間描写もさりげなく盛り込む。2人を取り囲む人物たちもイイ人ばかりでハートフルな展開が続く分、ラストが切ない。
都合3回登場する、息子が靴ひもを結ぶシーン。それぞれが違った意味を持つ。
『アンコール!』然り、『私の小さなお葬式』然り、年齢を重ねるとこうした家族愛を描いた映画が観たくなってしまうのは、人の性か。