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グッド・ウィル・ハンティング 旅立ちコメント(20)
名前だと知らなかったので狩りの話かと思ったがハートフルドラマだった。ストーリーは主人公ウィル・ハンティング(マット・デイモン)の孤児の時代の不遇を運命の神様が償うように善き人たちに巡り合わせ、愛情、友情、支援に恵まれて大人として自立してゆく様を描いている。
劇中でも話されているがウィルのような独学の天才青年(シュリニヴァーサ・ラマヌジャン)は実在し「奇蹟がくれた数式」(2016公開)という映画にもなっている。
驚きなのは初々しい青年像からはうかがえなかったがハーバード在学時代にマットが書いた脚本がきっかけとなり映画化、アカデミー賞までとった作品ということだろう、マットはIQ160と言われているから単なるアクションスターではないようだ、認識を改めました。劇中のセリフも光っている、名著の引用や心理分析のやり取りもアカデミック、NSAを嫌う理由もシニカルだ。
映画を観て昔お世話になった先生や先輩たちの顔が浮かんできた、出会いとは不思議なものですね。
<序盤>
・”フィールズ賞”受賞者のジェラルド・ランボー博士(ステラン・スカルスガルド)と”ギフテッド”青年ウィル(マット・デイモン)の出会いのシーン。
MITの廊下の黒板に整然と書かれた数式。モップを残したまま、逃げるように立ち去るウィルの後ろ姿。
ー見事な、オープニングである。-
・ランボー博士がウィルのために紹介したセラピストに次々に辞められ、6人目に紹介した元級友の心理学者ショーン(ロビン・ウィリアムズ)とウィルの初見のシーン。知識をひけらかすウィルがショーンが描いた”嵐の中の港”についての”コメント”に激高するシーン。そして、ランボー博士にウィルのセラピーを約束するシーン。
ー ショーンは、ウィルの”生意気なコメント”から、彼が自分と同じ哀しみを抱えた人間だと感じたのだ・・。-
<中盤>
・ウィルが悪友、チャック(ベン・アフレック)、モーガン(ケイシー・アフレック)達とバーに出掛けて”凄い歴史の知識”をひけらかすシーン。そして、ハーバード大の明るく、下ネタもOKな女子学生、スカイラー(ミニー・ドライヴァー)と交流を深めていくシーン。
ー スカイラー絡みのシーンには、必ず、E・スミスの儚げな声の美しきアコースティック・ミュージックが流れる。”Between The Bars" ”No Name #3”・・。-
・ウィルのセラピーの時間にショーンが語る言葉。
”君の話は全て本から学んだ事だ。本物を知らない・・””けれど、君自身の話なら聞こう。君について、知りたいんだ”
ー驚く、ウィルの顔・・。そして、二人は公園などで、親し気に笑いながら、話をする。ショーンの奥さんのオナラの話など・・。-
・ウィルはスカイラーから、”一緒にカリフォルニアに来て欲しい”と頼まれるが・・。ショーンからは”君は本当は何がしたいのだ、友達はいるのか?”
ー 過去のトラウマの影響で、彼は、自分の知っている範囲でしか行動できない。一歩足を踏み出せない。-
<後半>
・スカイラーは”何度も振り返りながら”カリフォルニアに旅立つ。
ー E・スミスの”Angeles"が、切ない・・。-
・ウィルの代わりにランボー博士が紹介した会社の面接に行ったチャックがウィルに言い放つ言葉。
”お前は宝くじの当たり券を持ちながら、現金化する度胸の無い奴だ!俺の一日で最高の瞬間を教えてやろう、お前の家のドアを叩き、10秒間待つ間だ。お前が出てこないことを・・”
ー このシーンは(も)、何度観ても沁みる・・。これ程の友人はそう簡単には出来ないだろう・・。(どう考えても、マット・デイモンとベン・アフレックの深い交流から出てきたとしか思えないセリフでもある。)-
・そして、ショーンはウィルに”君は悪くない”と何度も言いながら、大きく抱きしめる。ウィルは無垢な子供の様に泣きながら、”僕を許して・・”
ー このシーンは(も)、もう私にとっては・・。ー
・ショーンが自らの旅立ちと共に、”グッド・ラック・サン!”とウィルを送り出すシーン。
<そして、”ウィルの21歳の誕生日に悪友たちがプレゼントした手作りの車”に乗って、彼はカリフォルニアに向けて車を走らせていく・・。>
<何回、鑑賞したのか分からない作品。>
彼を見つけた数学者(ステラン・スカルスガルド)は、社会性を持たせるために、友人のショーン(ロビン・ウィリアムズ)にウィルを預け、カウンセリングを頼む。
ハーバードの才媛(ミニー・ドライバー)や兄のような役割を果たす友人(ベン・アフレック)とのエピソードも秀逸で、映画の神様が降りてきたような作品だ。
当時の第70回アカデミー賞は、現時点でも最多受賞記録を持つ「タイタニック」があった年で、そんな中、「タイタニック」が14ノミネートに対し、本作は、作品賞、監督賞(ガス・ヴァン・サント)、主演男優賞(マット・デイモン)、助演男優賞(ロビン・ウィリアムズ)、助演女優賞など主要9部門でノミネートを果たしていたのです! そして脚本賞と共に、ロビン・ウィリアムズが初の助演男優賞を受賞しました。
本作の主人公ウィル・ハンティングは、MIT(マサチューセッツ工科大学)で清掃員をしたりして生計を立てる青年である一方で、100年に数人級の頭脳を持った人物として描かれています。本作のリアリティーの源泉には、ラマヌジャンという1900年頃のインドの数学者の存在があったりします(詳しく知りたい人は「奇蹟がくれた数式」という映画を!)。
マット・デイモンはハーバード大学にいた(中退)だけのことはあって、学問的なリサーチがしっかりしていて、主人公にリアリティーを巧みに与えているのです。
そして、そんなウィル・ハンティングを才能を見出し、その才能に惹かれ翻弄される「フィールズ賞」(いわば「数学のノーベル賞」)受賞者のランボー教授、そして、ランボー教授に頼まれてウィル・ハンティングを更生させようとする心理学者ショーンとのやり取りも深いものがあります。
なぜウィル・ハンティングは素直に能力を活かすことができないのか? その謎を追う過程において、周辺の人たちを巻き込み、思わぬ展開が続いていきます。
「エンディング以降のウィル・ハンティングはどのように生きていくのか」を想像するのも意味がありそうですし、本作には数々の名言もあります。
今この作品を見直して良かったな、と思えたのは、本作でアカデミー賞を受賞したロビン・ウィリアムズが、実社会においては、2014年に63歳で自殺してしまったのです。
当時は勝手に「パーキンソン病や、幻覚が見えたりする(レビー小体型)認知症に苦しんで亡くなってしまったのか」と記事を見て思っていましたが、ショーン(ロビン・ウィリアムズ)の
「そのことだけで私が君の気持ちをわかると思うか? 『オリバー・ツイスト』を読めば理解できるのか?」という言葉の通り、想像でしかないですし、「本当の気持ち」は誰にも解らないものなのかもしれませんね。
3月30日にCNNが、志村けんさんの訃報の際に「日本のロビン・ウィリアムズが亡くなった」と伝えていたので、「パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー」の際のロビン・ウィリアムズが被ってきたりと、さらに多くの感情が去来しました。
学問をモチーフにしながら、様々な人間関係や深層心理などを考えたりできる名作です!
この映画のテーマを脚本のお二人がどこに置いていたのか、ホントのところはわかりませんが、たとえば、社会の中での大学みたいな場の意味であるとか、そこに関わ(った)る者の社会との関係、なんかも考えさせられるところがあった。
そこだけじゃなく、受験を勝ち抜き、官僚とか権力者とかになる者、資産家の家に生まれシード権のある者、その両方がある者、そのどちらも無い者、様々ですが、その様々な人間が、自分の意志であったり、否応なくであったり、これまた様々ですが、社会で役割分担を行っていく。
その方法がパターン化されてしまった世の中は、老化によって劣化してしまった身体のように、荒れ果て、乱れていくのかな、、
なんて、汚職にまみれた権力者が跋扈し、カネで心も身動きも封じられたサラリーマンやる同社で溢れる今の日本なんか、特にそう思いました。
以上、この映画を90年代ではなく、2020年代に観て、感じたことでした。