交渉人 真下正義 プロット

大ヒット・シリーズ「踊る大捜査線」の中心的キャラクターのひとり、真下正義を主人公にしたスピン・オフ。03年の劇場版第2作「踊る大捜査線2
レインボーブリッジを封鎖せよ」で、警視庁初の交渉人となった真下正義警視。その1年後、地下鉄の実験車両が何者かに乗っ取られて地下鉄網を暴走するという事件が勃発。この事件を引き起こした犯人は、交渉の窓口に真下を指名する。シリーズの常連登場人物たちが多数登場。

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交渉人 真下正義コメント(11)

myegvym
myegvym
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総合:65点
ストーリー: 55
キャスト: 65
演出: 65
ビジュアル: 75
音楽: 70

交渉の中で駆け引きがあったり、電話の話の中で相手の情報を集めるためのさりげない努力をしていたりという、交渉人という仕事とその映画として基本的な部分は押さえていた。しかし物語は、犯人の目的もよくわからないままの犯人の提示するゲームの謎解きがあり、また彼の仕掛けた爆弾の解体があり、そして複雑な電車の路線の話があり、複雑になっている。これは良く言えばいろいろ詰め込まれているのだが、悪く言えば散漫になっていて集中できる部分がなかった。だから映画の中で犯人に示された映画「ジャガーノート」「サブウェイ・パニック」に登場した、爆弾解体のための張りつめた緊張感や周到な計画と実行の迫力を、本作品からは強く感じることはなかった。「愛と哀しみのボレロ」の音楽といい、名作のいい部分を抜き出して取り入れようとしたのだろうが、必ずしもいいとこどりにはなっていない。

犯人に関しては納得いかない部分が多い。簡単に犯人像を書いてみると、犯人は普通の人が知りえない地下鉄のことについてあまりにも知り過ぎている。工事中の路線のことにまで知っているし、試験中の新車両のことにまで知っている。そしてそれを遠隔操作で自由に操ることが出来る能力まである。だけど携帯電話を遠隔操作の端末にしていたが、地下鉄の路線の中って電波が常に届くんだっけ? そんな遠隔操作を正確にするような装置を独力で作ったうえに、車両に人知れず設置した? しかもこれだけの爆弾、いったいどうやって作って仕掛けたの? 地下鉄の運行システムにスリーパーウイルスが潜んでいたということだし、この複雑な計画も含めて、これ一人でやったとすればあまりに超人的でまるでゴルゴ13なみ、それなのにやっていることは日本初の交渉人と頭脳勝負したいというだけの幼稚さ。いったいどんなやつが犯人なんだろう。
そう思って期待して見ていたのに、この終わり方はあまりにひどいんじゃない? いくらなんでもそれはないだろうと思って唖然とした。結局のところ脚本家や製作者側にもそんなことが出来る人物像を探して作り上げることが出来なかったから、最後まで正体不明ということにして責任放棄して逃げたのだとしか思えない。地下鉄の複雑さや爆弾の話を織り込めば視聴者受けはいいのかもしれないが、それが出来る犯人を用意出来ないのならば本末転倒。それならばもっと実行可能な普通の犯罪にして、交渉人の仕事をより細かく見せてくれたほうが良かった。