「世界の中心で、愛をさけぶ」「今度は愛妻家」の行定勲監督が、本多孝好のベストセラー小説を映画化した日中合作の恋愛ミステリー。時計修理工の青年リョウは、知りあったばかりの美女ルオランから、彼女の双子の妹ルーメイへの婚約祝いのプレゼント選びを手伝って欲しいと頼まれる。魅力的なルオランにひかれるリョウだったが、ルオランはルーメイの婚約者ティエルンを愛しており、大切な妹への嫉妬心に悩んでいた。リョウはそんなルオランの気持ちを優しく受けとめることで少しずつ彼女との距離を縮めていくが、ルオランとルーメイが旅先で事故に遭ってしまう。三浦春馬が主演を務め、「ドラゴン・コップス
微笑捜査線」の中国人女優リウ・シーシーが双子のヒロインを1人2役で演じる。双子の妹の婚約者役に「台北の朝、僕は恋をする」などで知られる台湾の人気俳優ジョセフ・チャン。
真夜中の五分前コメント(20)
ですが!とんでもなくドキドキさせられました(笑)
まさかのミステリーに、最後の最後までドキドキハラハラです。
日本の青年が、中国へ時計職人の見習いとしてやって来たところから話は始まります。
中国の美しい女性と出会い素敵な恋愛がスタートするのかと思いきや、その女性は双子の片割れ。
姉なのか妹なのか、自分がどちらと付き合っているのか分からなくなって行くのです。
頭がこんがらがってしまう内容に、最後までヒィヒィでした。
唯一の癒しは三浦春馬さんの笑顔です。
賛:“一卵性双生児”という点を絶妙に絡めた人間関係が、非常に奥深い。「彼女が本当は誰なのか?」という謎が、物語を引き立たせている。
否:展開自体は非常に穏やかに進むので、興味がないと眠くなってしまうこと請け合い。
中国が舞台なので、全編を通してほぼ中国語で話が進みます。一卵性双生児の謎めいたヒロイン達が物語を引き立たせていて、今目の前にいる彼女がどちらなのか、主人公はおろか本人達ですら錯覚してしまう雰囲気が、非常にミステリアスです。ただ、ストーリーそのものはかなり淡々と進むので、恋愛モノに全く興味がなかったりすると、思わず眠くなってしまいそうです。
恋愛とサスペンスの中間を行くような、少し変化球の作品です。
三浦春馬はあんまり人付き合いのニガテな日本人、っていう雰囲気じゃなくて(なんとなく器用そう)ちょっと違和感感じたけど、繊細な雰囲気がとても映画にはまっていてよかったです。中国語も流暢!劇中の会話では詩詩ちゃんの通訳いらないのでは?と素人の私にはみえました(笑)
そしてジョセフ・チャンは鼻に付く感じのいい男の役。わりと誠実な役をしているのばかり見てきたので、えっ、こんなイヤな感じも出せるんだ…と衝撃。やっぱり台湾一の上手い俳優さんだなぁ。
こんな合作映画がもっとたくさん作られたら、アジアが近く感じられてうれしいな、と思える作品でした。
リウ・シーシーさん目当てだったが、かなり面白く、深い内容だった。
どちらかわからないほど瓜二つなこの双子は、自分自身がそれぞれルオランとして、ルーメイとして、本当に承認されているのか、愛されているのか不安に駆られていたのかもしれない。自由に生きるルーメイに比べて、やりたかった仕事やティエンルンを取られてしまったルオランは、とりわけ自分のアイデンティティがあやふやだったのではないか。
作中に出てくるフェルナンド・ペソアの「誰も他人を愛することはない」の詩は、ルーメイ(仮)にとって救われた言葉だったのではないかと思う。ルーメイ(仮)は自分がルーメイなのかルオランなのかを、他人から識別してもらうのではなく、自分がどう思うかを選択していくのではないか。個人的にもこの詩の内容はものすごく腑に落ちた。
ルーメイ(仮)と表記したが、旅行中の手紙の内容とラストシーンを合わせて考えると、やはり生き残ったのは姉のルオランなのではないかと思う。時計を戻しに来たのは、自分がルオランであることを証明するためではないか、と思った。
監督はこれを日本で撮ろうとして、入りが悪そうだからと映画会社に断られたそうですが、だからこんなに素敵な作品に仕上がったのだとすると、何だかとても残念ですね。
にしても、双子の娘達の葛藤はひとりっ子である自分の中で起きているやり取りに似ているなと、ふとおもいました。