2010年にフランスで上演された舞台「名前」をドイツで映画化し、ディナーに集まった5人の男女が、子どもの名づけを巡って繰り広げる舌戦を描いた会話劇。ライン川のほとりにたたずむ優雅な邸宅。哲学者で文学教授のステファンと妻エリザベスは、弟トーマスとその恋人、友人の音楽家レネを招いて自宅でディナーをすることに。しかし恋人の出産を間近に控えたトーマスが、生まれてくる子どもの名前を独裁者ヒトラーと同じ「アドルフ」にすると発表したことから大騒ぎに発展。友人レネも巻き込んだ大論争の末、話はドイツの歴史やナチスの罪へと展開し、やがて家族にまつわる最大の秘密まで暴かれてしまう。ステファンを「帰ってきたヒトラー」のクリストフ・マリア・ヘルプスト、弟トーマスを「はじめてのおもてなし」のフロリアン・ダービト・フィッツが演じる。監督は「ベルンの奇蹟」のゼーンケ・ボルトマン。
お名前はアドルフ?コメント(20)
会話劇を映画にしたと言う事で、小難しいのかと思っていたが、そんな事はなく、会話自体が面白い。
皮肉と比喩、ウィットに富み、会話に引き込まれていく。
ただし、そのシーンは、四人食卓に向かい合ってすわるそれそれぞれの顔に、焦点を当てながらグルリと回って映すものだから、観客の私はちと落ち着かない。他にもカメラワークは、難ありの点あり。
けれど、話は、すごく面白い。
登場人物は、ほぼ四人だが、その関係性がおかしい。
姉弟、姉が親友と呼ぶ中年独身男性クラリネット奏者ルネ、ルネは姉弟と一緒に育ってきた。そして一言居士のステファン、ステファンと小学教師エリザベスは夫婦なのだが、二人は小学校の同級生。いわば皆、幼なじみなのだ。つまり幼い時の思い出を皆が共有している。
で、話は、不動産会社経営の弟トーマスが、産まれて来る子にアドルフと言う名前にしたと言う事から、文学教授でもあるステファンは異を唱える。トーマスは、それに対して、名前とは関係のない事を絡めステファンを批判していく。それは幼なじみの気やすさ故か、批判とステファンに対する自分の本音が暴露されていく様子と他の二人の様子。暴露合戦や批判が波及していき、それが張り詰めた糸の様になり、目が離せなくなる。
この映画の監督らしくって言うか、ドイツだからか、難民問題や差別も絡めてある。だからカレーなのか?ドイツ人が、カレーを作っていた、しかもライスカレー、フォークで食べるシーンがある。へーって思った。
最後のシーンは、〔はじめてのおもてなし〕にも同じようなショットがあったような気もするけど。が、しかし、おかしみがありどんでん返しもありなかなか見応えがある映画だと思う。
登場人物は冒頭のピザ配達人を入れても7人、ほぼ室内劇で舞台みたい。シンプルな内容だけど面白い。
途中までは、弟よお前のせいだー!って感じで、まぁ実際そうなんだけど、そこからみんなの本音がズルズル引き出されて、と言っても胸が張り裂けるような事実という訳でもなく、終始笑える。
舞台となる主人公の邸宅のインテリアがとても素敵。
アドルフというとヒトラーを連想してしまう。ドイツ人であればその嫌悪感は想像を超えたものなんだろう。
その言い争いを楽しんでいたが、意外とアドルフのくだりは早めに決着がつく。そこから第2ラウンド。この第2ラウンドがさらに面白かった。そこでの姉の夫の告白が異常すぎて笑えた。意外と掘り出し物の良作だった。
シニカルな大学教授、明るい国語教師の妻(LiLiCoさんタイプ)、妻の幼馴染の音楽家の友人、学歴が高くないものの事業で成功したセレブでイケメンの妻の弟、の
4人の会話劇から始まり、途中から弟の妻(妊娠中)が加わり、更に会話がヒートアップして・・・。
TBSドラマ「カルテット」(会話の独特な空気感が面白く、ハマりました。松たか子さんが可愛い女性を演じていました。)を思い出しました。(個人的には、少し
言い淀んだり、相手の顔色を見たり、の日本人あるあるの「カルテット」の方が好みでしたが。)
舞台演劇が元になっていると、鑑賞後に知りました。
会話のテンポがいいので、舞台はより面白いかも知れません。
映画館で鑑賞