1984年にドリュー・バリモア主演で映画化されたスティーブン・キングの小説「ファイアスターター」を新解釈で再映画化。不思議なパイロキネシス(自然発火)の力を持つ少女チャーリー。その能力は成長するにつれて覚醒しはじめ、10代を迎える頃には感情の揺らぎに呼応して暴走するようになり、チャーリー本人でさえも制御できなくなっていく。父アンディは娘の能力を必死で隠し続けるが、チャーリーの存在を知った政府の秘密組織が彼女を軍事利用するためスパイを送り込む。「トゥモロー・ウォー」「ブラック・ウィドウ」のライアン・キーラ・アームストロングが主人公チャーリー、「グレイテスト・ショーマン」のザック・エフロンがチャーリーの父アンディを演じる。「ザ・ヴィジル
夜伽」のキース・トーマスが監督を務め、「ハロウィン KILLS」のスコット・ティームズが脚本を担当。
炎の少女チャーリーコメント(1)
スティーブン・キングのアンソロジー・ホラー『Cat's Eye (1985)』にも出演していたドリュー・バリモアがチャーリーを演じた1984年の映画『炎の少女チャーリー』はスティーブン・キングとしたら珍しく "イン・メディアス・レス" というストーリーの中途から始まる技法をとっていて、そのために過去に起こった出来事をフラッシュバックで挟むノンリニア・ナラティブの時間軸を無視したようなストーリー展開を見せていたけど本作は原作とは違いそんなことはしてはいない。
1984年の作品の共演者の中には、ハートアタックの為に『地獄の黙示録』では弟のジョー・エステベスが兄のマーティン・シーンの代役を引き受け、それでも彼の名前はクレジットには載ってはいない兄思いなところがあり、そしてマーティン・シーンといえば『デッド・ゾーン』という別のキングの小説の映画化されていたものに狂気の大統領スティルソンを演じていた。
オスカー嫌いのジョージ・C・スコットが低予算のB-movieになぜご出演なされたかは、定かではないけど彼の出演依頼の為に映画の予算が1000万ドルに対して、追加として予算の10分の1の100万ドルをユニバーサルピクチャーズにプロデューサーのラウレンティスは要求したとされている。
さらに前作では同じサイキック物で設定が似てるようで似ていない『キャリー』が親から疎まれ、同級生から陰湿ないじめを受ける根暗なティーンの設定とは違い、親子の固い絆を描いた逃避行もので小説の設定とバリモアの実年齢と容姿が小説と同じで前にも言ったように低予算の為に最後に出てくる火の玉はディズニー映画『トロン』のようなCGではなくて、ローテクの実際に作ったと言われている。だからよく見れば危険なシーンではバリモアには代役のスタント・ダブルがついているところやお人形さんを彼女の代わりに使ったりもしている。その為、低予算の手作り感まるへその映画と個人的には思っている。
本作はというとフィルム・スコアが映像とマッチしていないところがシナリオにも表れていて政府の秘密組織から雇われたレインバードというおっちゃんの暴走ともとれる訳のわからない行動がラストまで一体全体何がしたいのか?皆目見当がつかないヘンテコな展開を見せているし、そもそもチャーリーは母親思いの女の子なのに母親を誤って焼き殺しそうになるなんて、お惚けにもほどがある。それと今回のチャーリーはバリモアが演じた8才よりも2~3才年上なのでどうしても違和感があり、比べてみるのは残酷で可哀そうかもしれないけれどもバリモアの自然な演技を見せられると彼女の素晴らしさが目立つものとしか映ってはいない。
それとどいつもこいつも大人の俳優は話のシリアスさを打ち消し場面展開をぎこちなくするダイコンばかりで前作とははっきりと一線を画す別物となっている。