「パーフェクト・ブルー」の今敏監督が、数十年にわたり1人の男性を思い続けた女優の姿を、時間や空間を超えて描くオリジナル長編アニメーション。小さな映像制作会社の社長・立花は、かつて一世を風靡した昭和の大女優・藤原千代子のドキュメンタリーを作るため、人里離れた千代子の邸宅を訪れる。30年前に突如として銀幕から姿を消し、隠遁生活を送っていた千代子は、立花が持参した1本の鍵を見て、思い出を語りはじめる。千代子の語りは、いつしか現実と映画のエピソードが渾然一体となり、波乱万丈の物語へと発展していく。第5回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門では、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」と同時に大賞を受賞。そのほか、第33回シッチェス・カタロニア国際映画祭最優秀アジア映画賞を受賞するなど、国内外で高い評価を獲得し、ドリームワークスにより世界配給もされた。
千年女優コメント(20)
内側から自然に湧き出てくるものじゃなくて、外側から自分の存在を固めたくなる。自身を振り返ると共感する部分もありますし、気を付けないとと思いました。
一度に理解しがたい、というか理解できているのかわからない部分もありますが、良い作品だと思います。
見終わって、期待どおりの喜び。一人の大女優の一生が、たった90分の中にこの上なく高い密度で凝縮されている。その上、我々観客は、昭和という時代をも同時に駆け抜けるのだ。
さらに女優のもつ本性のようなものを感じられた気がする。どんな時代のどんな作風にもあわせて、そのどの場合でも、自分の魅力を振りまき続ける。唯一、年齢を重ねると、かっての自分の若さだけが恨めしい、というかうらやましい。
「千年女優」というこの本当にぴったりなタイトルを、あなたもぜひ映画館で、実感してほしい!
デジタル化必須でしょ。
2021/1/5 再度鑑賞。
昨年は、「パーフェクトブルー」 との併映、今年は 「東京ゴッドファーザーズ」 との併映だ。来年、「パプリカ」 との併映を観れば、自分的には、今敏監督を観る旅の、完成かな。
あらためて観ると、様々なことに気がついて楽しい。
まず、「SF版家かぐや姫」 から始まっていたんだなあ。そしてエンディングもそれ。いい感じ。
制作年は2001年。そうか、21世紀は 「千年女優」 とともに始まったのか...
制作はもちろん "マッドハウス" だが、動画設計には "シャフト" の名が。動画サポートは、"DR MOVIE" という中国の会社。日本と中国のアニメ会社の密接な関係をみる。
"時の糸車" を回す老婆、というイメージは、自分の中のなにかにひっかかる。黒澤明 「蜘蛛巣城」 へのオマージュなのか。でも俺、その映画みていないしな。不思議だ。
明治 → 大正 → 終戦 → 昭和 と繰り広げられる主人公千代子が出演する映画のひとつひとつのシーンが、「ああ、そんなシーンを観たいなあ」 と心から思わされるシーンだってことが、とにかく凄い。ずうっと楽しめる!
そして、がれきに書かれた千代子の絵。映画という舞台の上で、千年を駆け抜ける、まさに千年女優! ドラマティックとは、この映画を言うのか!
あの人に、老いた姿を観られるのはいやだった...女優とは、追い求め、追い続ける者...
ああ、人生とはまさにこれだ。
今年も、心から堪能!!!!
最初、千年間生き続けた女優の話かと思った。
実際は1人の女優が役を通じて千年の時を過ごしたという意味だった。小学生の頃会った男を想いつづけるパワーは凄いと思ったが、「実は既に死んでいる」という事実を何となく察しているのにも関わらずガラスに写る自分の顔を見て老いを感じ隠居する。
というのは何とも難しい感覚であるなと思った。
恐らく亡くなっているが自分の中で生き続けていて、自分の中で生きている彼に会う事を想像してという事なのか。
「わたしは、あの人を追いかけている私が好き」
この一言に尽きる。
ただ…
ひとりの女優の一生は
ひとつの恋として消化してもいい程度のものだったのだろうか…。