電脳空間から現実世界に逃亡した凶悪無比な人工生命体と、それを追う元刑事の戦いを描いたSFアクション。仮想体験、ナノ(超微小)テクノロジー、人工知能といった最先端技術を取り入れつつ、エンターテインメントに徹した作風が見どころ。監督は「バーチャル・ウォーズ」のブレット・レナード。脚本はエリック・バーント、製作はゲイリー・ルチェシ、エグゼクティヴ・プロデューサーは「ウェインズ・ワールド」のハワード・W・コッチ・ジュニア、撮影は「エメラルド・フォレスト」のゲイル・タッターサル、音楽は「スピーシーズ
種の起源」のクリストファー・ヤング、美術は「スター・トレック」シリーズのニロ・ロディス、編集は「ジェイコブス・ラダー」のB・J・シアーズ、衣裳はフランシス・ジャミソン=タンチェク。視覚効果監修はジョン・タウンリーが務め、特殊視覚効果は監督の率いるSFX工房のL2コミュニケーションズが担当。主演は「クリムゾン・タイド」のデンゼル・ワシントン、「クイック&デッド」のラッセル・クロウ、「ヘブンズ・プリズナー」のケリー・リンチ。2度のトニー賞受賞経験を持つスティーヴン・スピネラ、「ブルー・スチール」のルイーズ・フレッチャー、「野獣教師」のウィリアム・フォーサイスらが助演。
バーチュオシティコメント(5)
内容はチープ。
1995年に制作された近未来を舞台にしたサスペンスアクション。少しブレードランナーに似た世界観ですが、中途半端なSFシチュエーションが安っぽさと古臭さを醸し出す残念な作品でした。
無理にSF感を出さずに、現代物として制作した方が不気味さが深まったように思えます。
ラストはダイ・ハードを思い出させるシチュエーション。そう考えると、1988年に制作されたダイ・ハードの新しさは目を見張るものがあると、改めて感じさせた一作でした。
サディスティック・バイオレンスのオンパレード、流石にまともに撮ったら顰蹙をかうと考えてテレビゲームもどきの虚構、犯罪シミュレーターを思いついたのだろう。
ラッセル・クロウ演じるSID(Sadistic・Intelligent・Dangerous)はAI時代のフランケンシュタイン、なんと183人の凶悪犯罪者からモデリングされた殺人狂、当初はVR上のアバターだったがマッドサイエンティストによってガラスで自己再生するアンドロイドに転生され世に放たれる。
クラブにスタジアムにTV局ジャックと劇場型殺人ショーを繰り広げ、「どうだこいつが殺されるところをみんな待っているのだろう」とうそぶく、たしかにローマのコロッセウムを持ち出すまでもなく人類の辿ってきた凶暴性の側面は否めないのだからダークサイドをいたぶる映画は後を絶たない、「ダークナイト(2008)」のジョーカーの悪行にも通じるものがありますね。
善玉はデンゼル・ワシントンだから勝つのは分かっていますが気が揉めます、仕留めたSIDの口を割らすためにシミュレータに戻すのですが段取りを見せてくれないので観ている方も一杯食わされました。それにしても街中のテレビはまだブラウン管というのに犯罪研究所のハイテク振りは凄いですし研究員も異常者揃いでした、見方によってはSIDより始末が悪いのがマッド・エンジニア、まだ漠然としてはいるもののAI時代にはどんな新手の悪だくみが出てくるのか暗示しているようでもあり少々怖くなりました。
冒頭ではジャパニーズ・レストランが舞台のバーチャル・リアリティ。芸者さんみたいな人がいっぱいいた(笑)。