ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ
プロット
西ドイツ・ジャマイカ合作
02月09日 劇場で
雨降って、ジ・エンド。
プロット
日本
02月10日 劇場で
フレディ・マーキュリー The Show Must Go On
プロット
イギリス
02月16日 劇場で
フィリピンパブ嬢の社会学
プロット
日本
02月17日 劇場で
アリランラプソディ
プロット
日本
02月17日 劇場で
マダム・ウェブ
プロット
アメリカ
02月23日 劇場で
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VORTEX ヴォルテックスコメント(20)
カット切り替え時の暗転はギャスパー・ノエの特徴的な演出であるけれども、妻の葬儀時のやはり暗転を挟んで展開される「在りし日のスライド」やそれに続く家の片付けのシーンを見て、この映画全体が老夫婦と彼らの家を送る「在りし日のスライド」であったのかと思い至った。
特に印象に残ったのは家の描写で、大量の草花で飾られたバルコニーから始まるオープニングを皮切りに、溜め込まれた書類や本、貼られまくるポスターや写真や手紙などが執拗に描写され、彼らの時間と暮らしが刻み込まれた第三の主人公として機能していた。
家が夫婦と不可分の存在であるがゆえに、妻が書類や原稿を捨てるシーンが彼女の病の、ひいてはこの映画のクライマックスとなり、夫は妻の病がいくら進もうとも介護施設への引越しを決断できない。
思わずうるさいと叱りたくなるような、大事な話をしているときにミニカーをぶつけてうるさくする男の子もすごく良かった。
評論では字数の都合で触れられなかったが、本作はたびたび夢に言及している。ダリオ・アルジェントが演じる映画評論家は、映画と夢についての本を書いていると友人に明かす。執筆途中の原稿は「psyche(魂)」と題されている。エドガー・アラン・ポーの詩「夢の中の夢(A Dream Within A Dream)」を著書で引用したいと言う。映画館の雰囲気は夢を見るのに似ている、とも。闇があり、周りから切り離されて、ベッドと同じだと。「夢は短く、夢の中の夢はさらに短い」という言葉も語られる。
人の一生は夢のように、あるいは映画のように儚(はかな)いもの。その考え自体はさして独創的というわけではなく、これまでにも似たような言葉はたびたび語られてきたが、人生をそのようにとらえることは、決して避けられない死に向き合うときある種の救いになるのではないかと思う。
ラスト近く、主をなくしたアパートメントの家具や雑多な品々が徐々に処分されていく過程が、スライドのように静止画の連続で示される。人生の思い出が染みついた品々が減っていくたび、家も生気を失っていくように見える。そして、夫婦が暮らしたアパートの建物を見下ろすように上昇し回転しながら薄れていくラストショットは、昇天する魂の視点だろうか。ここでの回転もひとつの“渦”ととらえるなら、きれいさっぱり何もなくなって消えていく渦は、評論でも言及したバスルームに出現する「美しくない渦」と対(つい)になっているとも考えられる。老いや病によって衰えていく日々の悪夢のような濁流と、死によって苦しみや悲しみや重力からも解放され地上を離れていく無の状態と。ギャスパー・ノエ監督なりの、映画によって死を相対化する試みのようにも感じた。
結論からすると本当に良い映画でした。むしろ、どんよりとした重たい空気に包まれる映画ではあります。でもこういう現実は世界中そこかしこにあるんだろうし、この先自分の親にも、自分自身にも起こりうるだろうと。いや、映画では夫婦揃ってるだけもしかしたらまだマシなのかも知れません。
独り者の高齢者の現実ってもっと悲惨なんだろうと容易に想像できるような。題材はなんにせよ、映画を観て現実を顧みて、何かしらの影響を及ぼすってこれ映画の究極の理想な気がして。その意味ではガッツリ術中にハマったと言わざるを得ません。
画面サイズでの試みはスタンダードサイズで始まり、開始早々に画面は分割されます。途端にスタンダードの画面が横並びになる。間の黒味も含めるとトータルでほぼシネスコサイズ。シネスコサイズにスタンダードを2つ詰め込んでる。部分的な画面分割はデパルマ はじめ色んな監督がやってますけど、全編分割しっぱなしというのは初めて観ました。
なので言うなれば2本の映画を同時に鑑賞しているような感覚で最初のうちは人物関係や状況設定の説明なども含めて情報量多すぎてぶっちゃけこれはついていけない、諦めようと思ったりしました。ですが、2、30分したあたりから次第にグイグイ引き込まれて、終わった時にはもう一度観たいという気持ちになっていました。本当に術中ハマりまくっちゃいました。